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「政体」勢力の無力さが露呈した瞬間に”全く新しい次”が始まる。(原田武夫の”Future Predicts”. Vol. 12)

かねてより弊研究所が繰り返し述べてきたことがある。それは民主主義によって選ばれたリーダーシップという意味での「政体」勢力はこれから音を立てて崩れ落ちて行き、代わりに全く新しい仕組みが人類社会の行く末を決めるために構築されていくということだ。我が国でこれを具体的に説明するならば、要するにGHQと言う名で我が国を管理・統治した米国勢が植え付け、残していった「アメリカン・デモクラシー」を範とする現行の議会政治・政党政治システムが終わるということを意味している。

想えば「このこと」を私が最初に想起したのは、2003年に拙著『劇場政治を超えて』(ちくま新書)を上梓した時であった。それまで営々と維持されてきた官僚優位の政治体制が溶解し、その代わりに「劇場政治型」と言われた政治家優位のシステムへの転換が進んだのがちょうどその頃であった。「自民党をぶっ壊す」「抵抗勢力だ!」と叫ぶことでこの道を突如として切り開いたのが小泉純一郎であり、「平成バブル崩壊」でやり場のない怒りを託され、とにもかくにも(外務)官僚たちを叩き切ることで拍手喝采を浴びたのが田中眞紀子であった。私は当時、外務省大臣官房総務課に属し、外務省という「霞ヶ関の伏魔殿」と国会という「劇場政治の現場」の狭間で日々働いていた。そして強く想ったのである、これらどちらにしても長く続くことは絶対に無い、と。その後、我が国の政治は「政治家優位」のまま表面的には推移することになり、それを決定的としたのが菅義偉による「高級官僚の人事権を完全掌握」であったわけであるが、しかし事態はそれで収まるどころか、ますます混乱するに至った。

こうした混乱を収めることを期待され、間を挟みつつ2回にわたり、あらためて総理大臣に任命されることになったのが安倍晋三である。「森永」の係累の方からご紹介を受け、私はかつての様に官僚の一員としてではなく、「野賢」の道を自ら選んだものとして、時の権勢の人であった安倍晋三とたった4人だけの会合で1時間余、じっくりと話したことがある。その時、私は米国勢のインテリジェンス機関からの重大メッセージを伝えたが、高度に金融かつグローバル・ガヴァナンスに関わる事項であったそこでの話題について安倍晋三は全く理解が出来なかった。そうした様子を見、私は大いなる不安を覚えたわけであるが、何のことはない、その後、安倍晋三は凶弾に倒れてしまうことになる。原因は、表立って明らかにはされていないものの、現地・奈良の人士であればよくご存じのとおり、グローバル・リーダーシップからすると安倍晋三の様に「自らの意思を持ち行動するリーダーがニッポンにいてくれては困るから」であったわけであり、米英勢が土足で乗り込んできては安倍晋三をロックオンし、我が国公安当局は「敗戦」という歴史上の経緯からこれを黙殺せざるを得なかった。「あれをやったのは東洋人と思しき若い女性のスナイパーであり、遊説現場の斜め前にあるビルからの発砲で生じた事件発生直後に逃走した」と語る現地・奈良の人士(県公安委員会のトップと昵懇のグループに属する人物)から内話を受けたことがある。

そして時代は下り、現在2024年9月。政権与党2党がいずれも総裁・代表選挙に入り、かつ最大与党も代表選挙に入るという、前代未聞の事態に我が国は遂に陥るに至った。自由民主党では9名の代議士らが「総裁選」に立候補し、連日の様にテレビに呼ばれては「集団討論」を披露させられている。しかし、これが何とも要領を得ない議論(?)の連続なのだ。

各候補の発言を聞くと、それなりに自己主張をしようとしているのが分かる。しかし、結果としてそれが「民意=大多数の有権者が求めていること」と乖離すると、いくら自由民主党の党員でなければまずは投票出来ない同総裁選における主張であるとはいえ、その直後に国会で首班指名を受け、総理大臣になるのが確定的であることを踏まえるならば、近い将来、大変なバッシングを受けるのが目に見えているのである。したがって保守系と言われる候補らは社会保障政策や教育政策を巡り、「およそ心にもない左派的発言」をテレビでは繰り返しする様になっている。他方で中道左派と見なされている候補はその逆なのであって、防衛問題、対中問題などについて問われると、なぜかタカ派の発言をしてきているのである。その結果、政党政治研究で言うところのいわゆる「総花的=catch-all-party」的な議論に終始してしまっているのであって、結局は「何でも頑張ってやります」としか言っていない様に聞こえるというわけなのだ。

対する野党第一党=立憲民主党の代表選はというと、それ以上にお粗末なのが大変気になるところだ。まず候補者が4名しかおらず、選択の余地がないことは明らかだ。党勢が自由民主党ほどではないのだから、立候補にあたっての推薦人を20名も求めなければならないというのは厳しすぎるわけなのだが、結局、このルールは今回も変えられることがなかった。そしてまた、事実上、今回の代表選そのものをアピールするために立候補したと思われがちな最も若年である候補はテレビの「討論」において、質問をされると常に「ここにいらっしゃる先輩方がおっしゃっているとおり・・・」と繰り返し、目線が党員はおろか、国民全体に向いていないことを自ら露呈させてしまっている。他方で、その「先輩方の主張」はというと、これまたいずれも精彩を欠くものばかりであり、「既に何か巨大な利権・経済構造があり、その再分配について恵まれない方々を優先すべきだ」という要するに述べるものばかりである点が鼻につく。

「それではどうすれば良いのか」

弊研究所を2007年に株式会社として設立登記するにあたり、私はそのミッションとして次のフレーズを掲げた。

“Giving the People Hope and Future(人々に希望と未来を与えること)”

その当時は多くの周辺の方から「???」といぶかしがられていたものだ。しかしどうだろう、今=2024年秋になって見ると正に「このこと」そのものが我が国そしてグローバル社会全体において最大の課題であることに気づかざるを得ないのである。事実、我が国では「Z世代(GenZ)」を中心に、「将来に希望を抱けない」と世論調査に対して回答する者が実に有効回答者数の半分を超えるという調査結果が次々に公開されるに至っているのだ。「希望と未来を創り出すこと」そして「それに向けての道筋を示すこと」ほど今、大変枢要な事柄はないのである。

昨日(17日)の深夜に偶然見受けた某民放TVの「討論会」において「若い世代に対して今、送りたいメッセージは」との問いに対して、自民党総裁選の候補者たちはいずれも、「まずは賃金を引き上げること」「経済成長を続けること」を連呼していた。しかし、そうであればこの場で問いたい。ただでさえ街角景気がすっかり冷え込み、苦境に陥っている我が国経済の根幹と言うべき中小企業の「現場」で、賃金を引き上げることが何をもたらすというのか。「経済成長」と簡単に言うが、要するに私たちの国・ニッポンはこれから一体、何でメシを食っていくというのか。かつての「自動車」「半導体」といった基幹産業を打ち立て、そこから裾野を広くとって国民経済全体を潤わせるという戦略と、その実行を裏付けるだけの莫大な資金は一体どこにあるのか?そして誰がこれを指揮し、整然と実現していくだけのリーダーシップを有しているのか。

かの討論会で小泉進次郎「総裁候補」は次の様に概ね述べていた。

「ネット上の誹謗中傷対策をプラットフォーマーらに強く要請していく。頭角をあらわしたり、一度失敗したりすると誹謗中傷の嵐で再起が出来ない我が国社会の在り方は是正されなければならない」

確かにそのとおり、ではある。だがしかし、これはある意味、枝葉末節の議論でもあるのだ。「やるべきこと」が見えており、それをやっていると「自らがバラ色の人生を送ることが出来る」と分かるのであれば、人々は己に回帰し、他人の誹謗中傷など後回しにするものなのだ。だからこそ、リーダーたるもの、こうした弥縫策をまずは語るのではなく、何をもってメシを全員に食わせて行きたいと考えているのか、そのための具体的な戦略は何であり、資金源はどこから調達するのか、さらにはその科学技術的な根拠が何であるのかを語り、グローバルに見た時にどの様にしてこれを展開し、友好的な諸国民との間でwin-winの関係を構築させていくのかを掲げるべきなのである。しかし・・・これが出来る人材が払拭している、今の我が国「政体」では。それが実態であり、だからこそ「政体」は程なくして総崩れにならざるを得ないのである。

だからこそ、私たちはいよいよ覚悟しなければならない。コレ、とは全く違うやり方で今後、我が国、いや人類全体は物事を決め、かつ全ての課題を処していかなければならないのだということを。問題は今や、人智を超えないレヴェルでの諍い事を超えてきている。「線状降雨帯がどこで急発生し、その結果生じる洪水で何人が被害を受けるのか」「来年夏はそこまで暑くなり、何人の死亡者が出るのか、冷房をいきわたらせるだけの電力をどうやって確保するのか」などなど、もはや人智を「超えた」レヴェルでの出来事こそ、最重要事になりつつあることは誰の目にも明らかなのである。気候変動問題への対策をsexyなどと戯言で語っている暇は到底ないのである。

今年から来年(2025年)前半までが最初の「勝負時」である。そしてそこで我が国「政体」が物の見事に崩壊し始めることを私たち全員が目の当たりにすることになる。

「進むべき道はない。しかし進まなければならない」(ルイジ・ノーノ)

このことこそ、が本当の重大事なのであって、マーケットでの乱高下やそこでの裨益、資産形成や資産防衛など、もはやその次の次であるということを、多くの皆様が言葉では語らずとも分かり始めた様に見受けている。「ここ」が始まりである。全てが誰の目にも明らかな形で変わり始める今、だからこそ、ここに書き記しておきたい。私自身、何をここから新たにすべきなのかを明確に自覚しつつ。

2024年9月18日 

広島・宇品にて 

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 ファウンダー/代表取締役/CEO

原田 武夫記す

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今回のコラム、いかがでしたでしょうか?

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