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「問いを立てる力。―“AI-enabled governance”が問うもの。(インターン生が見たAI・社会貢献事業の現場 Vol. 2)」

こんにちは。インターン生の米丸紘太朗です。

先週公開しましたVol.1では第40回人工知能学会全国大会(JSAI2026)への参加を通じて「AIとともに判断すること」の重要性をお伝えしました。(Vol.1はこちら:https://haradatakeo.com/special/514221/
初めてのブログにもかかわらずたくさんの方にお読みいただき私としてもとてもうれしく思っています。
お読みいただいた方にはこの場を借りて心より感謝申し上げます…!

さて、今回のVol.2では前回予告の通り「インターン生が考える”AI-enabled governance”」をテーマに私なりの考察をお届けしたいと思います。

突然ですが、あなたは今日誰かに対して「いい質問」ができましたか。

AIが日常に溶け込んだ今私たちはかつてなかったスピードで情報を手にできるようになりました。検索エンジンは欲しい情報をピンポイントで教えてくれる。ChatGPTに問いかければ数秒で回答が返ってくる。
「情報が手に入らない」という意味での格差は急速に縮まりつつあります。

ところが今年6月 高崎で開催された第40回人工知能学会全国大会の会場で私は奇妙な感覚を覚えました。
最先端の研究者が集い最新のAI技術が発表される場でも議論の中心となっていたのは「AIの精度」ではなく「問いの精度」だったのです。

「AIをどう使うか」ではなく「AIに何を問うか」。

この言葉にAI時代の本質が隠れているのではないかと私は考え始めました。

経済学には information asymmetry(情報の非対称性) という概念があります。これは、取引や市場において一方の当事者が他方よりも多くまたは質の高い情報を持っている状態を指します。こうした情報格差は市場の失敗や不公正な取引を生む要因として重視されてきました。実際、2001年のノーベル経済学賞はジョージ・アカロフ、マイケル・スペンス、ジョセフ・スティグリッツによる「非対称情報下の市場分析」に対して贈られました。いまや東大生の人気の就職先となったコンサルティング会社がこれまでにわたって隆盛を極めたのもまさにこの「情報の非対称性」によるものでしょう。

しかしAIが台頭した今日常における情報の非対称性は急速に解消されつつあります。誰もが同じ情報にアクセスできる時代が来つつあるのです。

では次の格差は何になるのか。

私はこれを「質問格差」と呼びたいと思います。
この問いに私がたどり着いたのも人工知能学会全国大会での経験がきっかけでした。
同大会のセッションではAIを社会実装するための評価指標や法制度に関する研究が多数発表されました。そこで私が感じたのは「何をもって”よいAI”とするかの定義が難しい」という点です。
学会で語られていたものの一つに「人間のやることをすべて代替できるAIは果たして幸福をもたらすのか」という問いがありました。AIを能力だけで評価するのか、それともその先にある人々の暮らしの姿まで設計するのか。これはAIの問題というより「人間がAIを評価するための問いをどう設計するか」の問題です。

同じことは私たちの日常にも当てはまります。
ChatGPTに「AI導入が組織の意思決定に与える影響を教えて」と尋ねれば一般論として「効率化」「データ活用」「人間の判断支援」といった教科書的な説明が返ってきます。
しかし、「日本企業においてAIが稟議・承認・責任分担のプロセスに導入された場合、意思決定の責任は経営者・現場担当者・AIシステムのどこに帰属するのか。少子高齢化による人材不足も踏まえて論じてください」と問えば同じテーマであっても制度・組織・責任構造に踏み込んだより具体的で深い出力が得られます。

AIの性能が均質化した世界で差をつけるのは「問いを立てる力」なのです。
以前から「AIリテラシーを高めよう」「デジタルデバイドを解消しよう」といった議論は盛んになされてきました。しかし残念ながらその多くは「ツールの使い方を学ぶ」という段階に留まっています。本当に必要なのは「何を問うべきか」を自らの頭で考える力をより向上させることではないでしょうか。

私がこれまでインターン生としてAIによる価値創出に携わる中で感じるのは弊研究所が社会貢献事業として展開するクスノキ・プロジェクトがその実践の場になっているということです。
Pythonプログラミングを学ぶとは「コンピュータに何をさせたいか」を正確に言語化する作業です。クスノキ・プロジェクト第1弾のテーマであるRAGシステムを構築するとは「どの情報をどの問いに対してどのように組み合わせるか」を設計することです。クスノキ・プロジェクト第2弾のテーマである暗号資産の自動売買システムを作るとは「市場の何を信号として捉えどのルールで意思決定させるか」を考え抜く営みです。

これらはすべて「問いを立てる力」を実践的に鍛える場に他なりません。

技術を学ぶことはAIに使われる人間になるためではなくAIに問いを立てる人間になるためなのです。
そしてこれまで組織や地域社会の中で判断を重ねてこられた世代が持つ深い経験知こそがAI時代においては「問いの質」を支える最大の資産になり得るのだと、クスノキ・プロジェクトを通じて日々痛感しています。

ここで弊研究所代表取締役CEO・原田武夫は“AI-enabled governance”という概念を提唱しています。この概念はAIによって人間の統治能力・意思決定能力・社会設計能力そのものを根本から再構築するというものです。
AI社会において統治の在り方がどうあるべきか。
“AI-enabled governance”の本質も「問いを立てる力」に隠れているのではないでしょうか。

AIがますます発達する中で人間が高質な問いを立て続けること。
行政においても経営においても地域社会においても そして個人の学びにおいても「何を問うか」を決める力こそがAI時代の真の競争力となるのかもしれません。

私自身も日々「今日の自分はいい問いを立てられているか」と自問しながらインターンシップに臨んでいます。今後もこの問いを携えながら弊研究所の活動と現場の報告を続けてまいります。

最終回となる次回Vol.3では「インターン生が”ゼブラ型”シンクタンクで働くこと」をテーマにお伝えをする予定です。一般に”ゼブラ型”企業とは利益追求と社会貢献を両立させ持続可能な成長を目指す企業のことです。普通の企業とは異なる弊研究所の在り方をインターン生のリアルな視点からお伝えしますのでぜひ続きを楽しみにお待ちください。

現在クスノキ・プロジェクト 第1弾・第2弾(第2ターム)へのご応募を受け付けております。
AI時代の競争力は「ツールを知っていること」ではなく「問いを立てられること」にあります。その第一歩としてぜひこの機会に御参加いただければ幸いです。

■第1弾(弊研究所インターン生によるPythonプログラミングの基礎講座)
ご応募はこちらから URL:https://form.run/@bdg-ue4WeHBmMtMJjbg4fC7N

■第2弾第2ターム(AIアルゴリズムを組み込んだ暗号資産の自動売買システムの構築)
ご応募はこちらから URL:https://form.run/@bdg-kO0jFR6y2Z4Bi3PpNXUS

詳しくはこちらをご覧ください。
URL:https://haradatakeo.com/news/513704/

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※当ブログの記述内容は弊研究所の公式見解ではなく、執筆者の個人的見解です。

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 インターン生 米丸紘太朗拝