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軍事国家から「知能国家」へ(「私たちIISIAの見解」)

いま我が国では、防衛費が急速に拡大し、防衛産業を「戦略産業」として育成する動きが進んでいます。安全保障環境が厳しさを増す中、一定の防衛力を整備することは当然必要です。しかし、ここで一度、もっと根本的な問いを立てる必要があるのではないでしょうか。

「そもそも、国家の強さとは何なのか」という問いです。

戦後の日本は、ある意味で大胆な選択をしました。安全保障の大きな部分を米国との同盟に依存する一方、限られた資本、技術、人材を民生産業へ集中させました。その結果、鉄鋼、造船、自動車、電機などが成長し、日本は軍事大国ではなく「経済大国」になりました。

これこそ、戦後日本のdevelopmental state(開発主義国家)の重要な特徴でした。

ところが現在、その流れが反転しつつあります。防衛産業へ巨額の資金を投入し、装備品輸出を拡大し、「同志国」と国際的なサプライチェーンを形成しようとしています。一見すると、かつて日本が自動車や電機を国家的に育成した産業政策の再現にも見えます。

しかし、本当に同じなのでしょうか。

世界は既に、産業革命=動力革命の時代から、情報革命を経て、AIによる「知能革命」へ入りつつあります。これから国家競争力を左右するのは、単純な生産設備の規模だけではありません。世界の変化をいち早く察知し、分析し、限られた資源を最適に配分し、必要なら制度そのものを素早く変える能力です。

しかも防衛産業を国際展開すれば、新たな問題も生じます。「同志国」への供給網依存、米英などへのインテリジェンス依存、巨大な財政負担、そして通常戦力を突き詰めた先にある核抑止の問題です。

防衛力を高めようとした結果、財政や民生産業が弱くなったとしたらどうでしょうか。安全保障を強化したつもりが、別の形で日本という国家そのものを弱くしてしまう可能性はないのでしょうか。

だからこそ、私たちIISIAは「軍事国家」ではなく「知能国家」という方向を考えるべきだと思っています。

私たちIISIAが国連などの場で提唱しているPax Japonicaの本質としての「AI-enabled Governance」とは、単に行政へ生成AIを導入することではありません。AIとデータによって国家全体の変化を捉え、経済、安全保障、技術、エネルギー、食料、医療、教育などを横断して分析し、資源配分と制度を絶えず最適化していく国家モデルです。

防衛もその重要な一部です。しかし、防衛だけが国家ではありません。

戦後日本が成功した本質は、軍事力を最大化したことではなく、「次の時代に最も価値を生む分野」へ限られた国家資源を集中したことにありました。ならば知能革命が始まった今、その選択をもう一度やり直すべき時ではないでしょうか。

「どれだけ多くの兵器を持つか」ではなく、「どれだけ賢く世界を理解し、資源を配分し、強靱な社会をつくれるか」。

そこに、これからの日本型developmental stateの姿があるのではないかと考えています。

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