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飛行中のソフトウェア・アップデートは安全をもたらすか(IISIA研究員レポート Vol.11)

米国勢が飛行中の航空機のソフトウェア・アップデートに成功した。

 

多くの航空機では現在も、フロッピー・ディスクを用いたソフトウェア・アップデートが行われている(参考)。フライト・プランを作る際に使う空港、滑走路、飛行経路といった重要な情報もフロッピー・ディスクを用いて航空機に移される。

 

今回米軍が成功したのは、飛行中の航空機に対してソフトウェアのアップデートに必要なコードを地上から送信することでアップデートを行うことであった。

これを可能とするソフトウェア・アプリケーション管理の自動化システムにはGoogle社の「Kubernetes」が使われた(参考)。

注意すべき点は、2018年に同社がAIとドローンについて米国防総省と契約を結んでいることを認めた際、軍事産業からは距離を置くそれまでの姿勢から逸脱するものとして従業員から強い反発が起こっていた点である(参考)。

 

今回、飛行中のソフトウェア・アップデートに成功したのは「最も操縦が難しい飛行機」と呼ばれるU-2偵察機である。1955年のプロトタイプ初飛行から65年もの間現役であり続けている、米国空軍における最も古い航空機の一つでもある。1962年にはキューバ勢においてソ連の弾道ミサイル基地が建設されていることを突き止めた、冷戦期における重要な役割を担った偵察機でもある。

 

(図表:飛行中のU-2R 80-1068号機)

450px-1st_Reconnaissance_Squadron_Lockheed_U-2R_80-1068

(出典:Wikipedia)

 

最古のU-2偵察機への飛行中のソフトウェア・アップデートが可能になったとすれば、後続の航空機に対して同様の手法による断続的なアップデートの実施が可能となることも想定される。こうした断続的なソフトウェア・アップデートは戦闘においては有利に働く可能性がある一方で、これを上回る技術によるハッキング、もしくはそうした被害の“演出”も可能となろう。

 

飛行中のソフトウェア・アップデートが実用化された後、どのような進展を見せるのか。引き続き注視していきたい。

 

 

グローバル・インテリジェンス・ユニット リサーチャー

佐藤 奈桜 記す

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