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乗っ取られた世界とたった一つの「ご意思」。(原田武夫の”Future Predicts.” Vol. 86)

あなたが生きている「世界」が例えばこんな感じであったとしたらどうか。

「善かれ」と思って、ある”シナリオ”に沿った物事を実現しようと、ほんの一握りの「エリート」たちが密に結託して世界中で蠢いている。彼らは実に優秀であり、しかもその”優秀さ”を幼少の頃から「そのことを見出すために配置された先輩たち」によって学校、それから大学・大学院ですぐさまチェックされ、ピックアップされるので、「その道」でずっと生きている。彼らはその持ち前の能力をもって「思ったこと・感じたこと」をそのまま実現することが「善」であると思ってやまない。

周囲の人間との関係性はどうかというと、全くもって無頓着なのである。「合意」「同意」等というものには全くもって無関心であり、何となれば「力」によってねじ伏せてしまえば良いと考えている。実際、彼等には二つの「力」がある。1つは「思ったこと・感じたこと」を徹底した論理で語ることが出来るという能力である。それは普通の人々(ordinary people on the street)からすれば、全くもって論破することの出来ない、いやもっといえば非常に「魅力的なストーリー」である。ほんの少しだけ「あれ?」と思われることはあるかもしれないが、「理性」「合理主義」で考えてみよ、と言われると大抵の人々は黙り込んでしまうのである。なぜならばそこに「穴」がないからだ。結果として、こうした「理性」「合理主義」によって構築された論理の世界をもって良し、とする現在の(西洋流の)学問体系の上にある全ての判断機運(米欧の)においてはそれらは全て「好むべきもの」「選択されるべきもの」ということになり、マーケットでは莫大な利益が彼らに流れ込むことになる。なぜならば「理性」「合理主義」で徹頭徹尾考えると、全くもって「正しい」ことばかり、そこでは語られるからだ。

しかしその実、もう一つの「力」がそこでは働いている。「乗っ取り」には「物理的な力」が必要だ。「革命(revolution)」には武力が不可欠なのである。なぜならばヒトというのは「理性」と共に「直感・感性」の生き物でもあるからだ。どんなにカネの力をもって見せびらかし、魅了したとしても、どうしてもそこで反目する者たちが出て来てしまう。しかも厄介なのは、そうした連中がそれこそ「反攻(revolt)」をしてしまっては困るのである。だからこそ、彼等は「力」をもってまずはねじ伏せようと、恫喝する。他方でそれでもどうしても屈服しないとなると、今度は一転して「カネ」で買収しようとする。機会が与えられたと勘違いした人々は大抵この段階で屈服して、軍門に下ってしまう。ところがそれでもなお、ほんの一握りだけ、「信念の人」がいるのである。彼・彼女らは絶対にむき出しの暴力という意味での「力」にも、はたまた「カネ」にも屈服することが無い。あるのはただ一つ、その「信念」だけ、それが価値基準なのである。かのナチスによる絶滅収容所から生還した時の経験を綴り、大反響を戦後に呼んだフランケルと同じなのである。「己の心は誰にも支配されないこと」を知っているのである。そして・・・彼等はついに、このレヴェルの精神性を証明した者に対してだけ、「対話」の機会を与える。「仲間」へと本当に入ってもらいたいという趣旨のことを言い出すのである。ボールはしたがって「信念の人」の側にある。

昨日(12日)にリリースした音声レポート「週刊・原田武夫」においては、現在、グローバル社会、そして我が国が置かれている状況を踏まえ、かつ個別具体的には「スペースXの新規株式上場(IPO)」という一大イヴェントを題材としながら、以上のことについて語らせて頂いた。是非ご関心の向きはお聞き頂ければと思う(今回の号は「特別号」としたがって銘打ってある)。そこで筆者が申し上げたかったことはただ一つ、この「信念」こそ、我が国の側が広いグローバル社会においてこの瞬間に質されていることだという点なのである。もっともそれはどこぞの政治リーダーが自己の保身のために、海の向こう側を睨みながら、やれ「防衛」だ、「ドローン」だ、はたまた「国家情報局」だと、吹き込まれるがままに官僚制と国家予算をいじることを持ってそれに対処しようとしていることとは全く違う。もっと古から続く我が国そのものの「在り方」が問われているのであって、さらに言えばそのことをもって最後に1枚だけ残されたカードを人類史の「どこ」「何」に対して切るのか、それが我が国の根源に対して問われていることなのである。しかも、この(ほぼ完ぺきなまでに)「乗っ取られた世界」において。

本日(13日)、我が国の今上天皇と皇后陛下がご訪欧のために我が国を出立される。昨日(12日)はそれを前にした今上天皇による国民に対する(形式的には記者団に対してという形になっていたが)御言葉が本邦各メディアによって伝達された。今上天皇が諸国勢における「戦争」ではなく、我が国における「震災」について語られ始めていることに注視しなければならない。この「画期」となるべき時であるからこそ、上記について申し述べておきたいと思う。我が国こそが、この「(ほぼ完ぺきなまでに)乗っ取られた世界」において唯一、「いや、違う」と語ることの出来る本当の根源的な存在なのであるから。

2026年6月13日朝 謹んで東京の寓居にて

株式会社原田武夫国際戦略情報研究尾 ファウンダー/代表取締役CEO/グローバルAIストラテジスト

原田 武夫記す