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「史上最大の危機」を「絶好の機会】に変える。(原田武夫の”Future Predicts.” Vol. 88)

今上天皇が皇后陛下を伴われて行われていたオランダ・ベルギー国賓訪問を無事に終えられ、帰国あそばされた。今回の御訪問をどの様に我らとして「忖度」すべきなのかについては、去る26日(金)にリリースした音声レポート「週刊・原田武夫」で多面的に詳述しているので是非、そちらを聞いて頂ければと思うが、いずれにせよ「ここから」ある意味、全てが始まり、同時に「始まらないことが明らかにもなる」というわけなのである。弊研究所ではかねてよりその旨を繰り返し、対外的に表明してきているがここでもそのことを明らかにしておきたいと考えている。

そうした中でここに来て、米欧勢から東京に続々と来訪者があり、筆者にも声がかかってきた。「それなりの御仁たち」であったので会話をしていて思ったが、どなたも言外に示していたのは「ニッポンで何かが起きそうな気配がある」「しかしそれが何であり、かつどの様にフレームワークとして把握するべきなのか、誰も日本人の側から説明してくれないので、個別の事象ばかりが気になり、総体として理解することが出来ない」というものだった。誤解無きように述べておきたいが、筆者はいわゆる「バナナ=国籍こそ日本だが、米欧勢とよろしく自らはやり、自分だけは利益を得ようとする第5列」に属するものではない。むしろ真逆なのであって、そもそも社会人としての第一歩を国家公務員、しかも外務公務員のキャリアとして始めたところから、「我が国」を想う心は誰よりも負けないものと自負している。しかし、そのことと「グローバルとの付き合いをどうするかを常に真剣に考え、率先して我が国から行動していくこと」は矛盾しないのであって、現在はその意味で「グローバル人」をやっているというのが正直なところだ。したがって、こうした米欧勢から続々来訪する御仁たちには筆者の考える、戦後の我が国をそもそもどの様なフレームワークで理解すべきなのか、またその延長線上で何が起きているのか、そして今後、それを乗り越えるために我が国が何を「必然的に」せざるを得なくなることになるのかについて、かみ砕いて説明した次第である(無論、英語で)。御仁たちはいずれも米欧勢における次のトップリーダーたちであったわけだが、得心した様子であったのが印象的であった。要するに、彼等が襲い掛かって来る前に、「我ら何者であるのか」をしっかりと彼らが理解できるように説明しておけば、それだけ先方も身構え、我が国がいよいよ、という時に行われる彼等からの攻撃に伴う傷も浅くなる可能性が高くなるというわけなのだ。

この様に述べると、今はやりの「保守主義」の皆様は大いに激高してしまうかもしれない。しかし、よくよく考えてもらいたいのだ。グローバル社会に流布されている「富」は一定の量しかない。それを戦後の我が国はありとあらゆる知恵と力をつかって集めまくり、結果として世界第二位の経済大国にまえのし上がった。しかしそこで先述のとおり「お陰さん」を守ることが無かったため、今度は全世界から総すかんをくらい、現在の実に荒廃した状況に陥ってしまったというわけなのである。それは誰が見ても明らかな事実なのだ。

したがってグローバル社会との関係性を断ち切り、「アナグマ戦略」を取ることは全く持って論外なのである。そうではなくて、これを機に我ら日本人の側においても「在り方」を変え、かつ「思考法と行動」を変えなければならないのである。幸い、そうした形で真剣に思考し、新たな歩みを始めるための「余裕」を与えてくれる最大のツールが既に世には存在している。人工知能(AI)である。「過去データ」に基づくパターンマッチングという意味での「最適化」は今やAIに任せておけばよいのであって、我々日本人は今こそ先人たちが創り上げた様々な制度(institution)がもはや時代環境に合致していないということそ直に認め、その再配置(reconfiguration)のための国民的な決断をしなければならないのである。ところが高市早苗総理大臣以下、「政治」というと相も変わらず、昭和の大帝以下、整然とかつて行われていた「開発主義的国家(developmental state)」の手法よろしく、(かつてとは異なり財源もないのに)「ばらまき政治」を続けようとしているのである。「食料品消費税減税」と総理は高らかに語るが、しかしそのための財源である6兆円すら「捻出」することが出来ないのである。他方で防衛大臣はといえば、「次の総理の座」を狙ってかこれまでの待遇をかこってきた自衛隊員及び元自衛隊員、さらにはその家族たちの歓心を買おうと、何やら「退役軍人庁」の様なものと作ろうとしているのではないかという風の頼りすら聞くようになっている。しかしそもそも「開発主義的国家」とは、「平和主義」とペアなのであって、1945年の敗戦という現実を踏まえ、そこで聖断が下され、我が国は戦争はしない、その分、国費を産業振興と、それに伴う国富の増大、その社旗全体の隅々までの均霑という意味でのNo one left behind(誰も取り残さない)という「包摂策」へと一択で舵を切ったからこそ、現在の繁栄があるのである。「防衛装備品」とは名ばかりの、要するに「兵器」を切り売りして国富を富まそう、ましてやそれで有権者の歓心を買おうとなどというのは誠に論外なのであって、かつての宮澤喜一総理大臣(当時)ではないが、「落ちぶれても我が国がすべきではないこと」なのである。

「そうはいっても、それではいよいよ破綻へと加速度的に進み始めた我が国が底打ちする様に、あなたは一体何をしているのか?」

そう語る読者の声が聞こえてきそうだ。全くもってそうなのであるが、当然、筆者には「答え」がある。事実、そのことについては来年(2027年)初夏を目途に刊行予定の国連大学AI叢書(英語。編集はSpringer-Nature)で今正に記している最中であるし、他方で「福岡・釜山・香港トライアングル」による全く新しい共存共栄のための金融・ブロックチェーン・ヘルスケア分野でのフレームワークづくりに、関係する方々のご協力を得ながら奔走しているところだ。そして来週(5日週)はこの流れの中でジュネーヴに飛び、国連会合に出席し、その直後には恐らく福岡へと足を延ばすことになりそうだと、我がchief of staffと話しているところなのである。

とにかく「歴史はこれで終わり」ではない。しかし同時に「このままで良い」わけでもない。あぶく銭の様に膨れ上がった金融資産がまだある間に、私たち日本勢がなすべきことは、「未来に向けて大胆な一歩を、自らの足で踏み出すこと」なのである。それが出来る方々と、今後どの様な連帯、そして共闘をすることになるのか。今から楽しみでならない。

2026年6月28日 東京・拙宅にて

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 ファウンダー/代表取締役CEO/グローバルAIストラテジスト

原田 武夫記す

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