1. HOME
  2. ブログ
  3. 制度が届かない現場を変える──人事と現場の温度差を超えて(「IISIA採用人事ブログ」Vol. 18)

制度が届かない現場を変える──人事と現場の温度差を超えて(「IISIA採用人事ブログ」Vol. 18)

近年、「人的資本経営」「キャリア自律支援」「エンゲージメント向上」といった言葉が注目されている。これらに伴い、人事部門が主導する戦略的施策が数多く打ち出されている。タレントマネジメントシステムの導入、評価制度の刷新、柔軟な働き方改革など、変化に即応した制度設計が求められ、人事はその中心的役割を担っている。

 

しかし一方で、現場の反応はどうか。「また制度が変わるのか」「どうせ定着しないのではないか」といった冷ややかな声も根強い。制度の背景や目的が十分に浸透せず、「人事が勝手に進めている」といった印象が現場に広がっている。このような認識の乖離が、制度の形骸化を招き、現場の疲弊につながる危険性がある。

 

この温度差の背景には、人事と現場との関係性の希薄さがある。管理部門と第一線とのあいだには、「制度は整っているが実情に合っていない」「運用しにくい」といった声が多く、現場の実感と制度設計が乖離しがちである。

 

制度が上から与えられる一方通行の形になると、現場はやらされ感を抱え、能動的な運用が期待できなくなる。「なぜこの制度が導入されたのか」「自分たちにどう関係があるのか」という納得感が得られなければ、制度は表面的な導入に終わり、本来の効果を発揮しない。

 

こうした課題を乗り越えるためには、たとえば、評価制度の刷新を行う際には、フィードバックを基に定期的に制度を改善する。制度導入前には、目的や背景、現場での活用ポイントを丁寧に共有する説明会やワークショップを開催し、現場の理解と納得を促すべきである。

 

IISIAでは、制度を運用するのは現場であり、現場に届いて初めて制度は意味を持つ。したがって、制度導入に際しては、現場責任者と密に連携し、その意義と活用方法を丁寧に共有するプロセスを重視している。経営陣より大きな枠組みを提示した中、四半期に一度現場責任者の意見をもとに評価項目を定期的に改善している。

 

人事と現場は、立場は違っても、同じ方向を見据えているチームである。全社として成果に繋げる為に、各部門で自身も設計に携わった納得感のある制度設計のもと、公正な評価を得る。そして「出来ない事が出来るようになる=成長」という点において目標(未達を達成へ)を達成する。自身の成長の先にモチベーションが自然生成される、そんな好循環を生む制度設計を目指していく。

 

2025年4月17日

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 代表取締役COO

長野 修拝

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

弊研究所は企業成長という観点から「どういった段階に立っているのか」そして「求めている人財はどういった方々なのか」について「IISIA採用人事ブログ」Vol. 1 にて掲載いたしております。是非ご覧ください。

我が研究所が今、求めている人財とは。(「IISIA採用人事ブログ」Vol. 1) – IISIA 株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 – haradatakeo.com

 

【過去のブログはこちら】

・IISIAが考える「インターンシップ」(「IISIA採用人事ブログ」Vol. 17)

『会社はあなたを育ててくれない』(「IISIA採用人事ブログ」Vol. 16)

新しいメンバーを募集しています!(「IISIA採用人事ブログ」Vol. 15)

2024年の活動を振り返って(「IISIA採用人事ブログ」Vol. 14)