「FAXの時代」が再びやって来る。PHP問題が問いかけるもの(原田武夫の”Future Predicts” Vol. 102)
「インターネットっていうのはね、とどのつまり、世界全体で7つのサーバがあって。そこに最終的には回線が集約されているので、それら全部をシャットダウンしてしまえば使えなくなる代物なんだよ」
今から23年前。米国のインテリジェンスを司るファミリーの一つに直結する女史から、こんなことを聞いたことがある。「インテリジェンスを司る」といっても政府機関としてのそれではない。今、我が国では「国家インテリジェンス能力の強化」が叫ばれているが、実際のインテリジェンスとは「家業」なのであって、サラリーマンがやるべきことではないのである。事実、米国勢におけるインテリジェンス機関(全部で20余りある)は全て、それぞれにオーナーシップが実際には歴史的に決まっており、それぞれのファミリーに紐づけられている。当時、私がsynchronicityで接続していたのは、その中の一つ、ユダヤ勢のセファラディにつながる一族のルートであり、当時は実にたくさんの「真実」をその流れで耳にしたものである。そして中でも聞こえてきたのが、インターネットが決して盤石ではなく、むしろ「ある時、壊れる=壊される」ことを前提にグローバル社会全体(当時はまだ「国際社会」と呼んでいた)にインストールされているという事実、なのであった。
つまり、こういうことだ。インターネットは確かに便利であり、それから着実に世界全体へとネットワークが広げられてきた。しかしそれは「ある目的」の下、世界秩序全体を転換させる時、正に世界の「底が抜ける」事態を創り出すために導入されてきたというわけなのである。当時は「ラスト・ワンマイル問題」などというのが語られ、「デジタル・デヴァイド問題」などというのも語られ、インターネットの普及イコール「善」といった論調が支配的であったわけだが。同時に私はというと、米系インテリジェンスの「内奥」から、そこに潜まされた本当のアジェンダ(hidden agenda)を聞かされていたというわけなのである。
そして今=2026年10月後半。それはいよいよ「現実」となって最初の姿を現した様に見受けられる。「PHP問題」が正しくそれ、である。警告が全世界に対して発せられたのが去る21日のことだ。かの高市早苗総理大臣ですら、公式Xアカウントを通じて我が国の全国民に対して「今すぐパッチを入れて!」と騒ぎ立てたわけであるから尋常ではない。我が国、そして全世界が騒然となっており、とりわけ公的機関や大企業の公式HPでは改修のためのシャットダウンが相次いでいる。PHPというと、ホームページを作る際にはほぼ間違いなく利用されるプログラミング言語であるだけに、大変な出来事になっている。
こうした事態の推移をまざまざと見て、私自身はあの時、上述の女史が教えてくれたhidden agendaを思い出している。そして、思うのである、「こんなものではないだろう、これからは」と。今、全世界では騒擾・騒乱が相次いでいる。それが戦争にまで至る悲惨な例もあるが、他方で「合法的な争いの場」であるはずの民主主義的な選挙において、それまで君臨してきた政治的リーダーたちがまたぞろ、引きずり降ろされそうになっているのである。そうである以上、為政者たちからすれば「予防的措置」を講じるべきであることは言うまでもない。そしてその際、留意すべきはたった一つ、「有事への対応となれば、時の政権担当者が必ず優位になる」という鉄則なのである。「PHP問題が果たして人為的な問題であり、ある種の偽旗作戦(false operation)であったのか」という、実に”深淵なる問い”についてはここで度外視しておくことにしよう。仮に「そうであった」としても、仕掛ける側は絶対に「そうであったとも言えるし、そうでなかったとも言える」という、いわゆるplausible deniabilityをもって事に臨んでいるはずだからだ。したがって決定的な証拠をつかみ取ることは不可能であり、その証左を山積みにするのが関の山なのであるのだから。
それよりも大切なのは、「それでは今後起こり得るであろう、デジタル・アポカリプス(digital apocalypse)にどの様に備えていくべきなのか」なのであると筆者は想っている。そして想うのである、「ここからは実のところ”FAXの時代”なのではないか」、と。
無論、FAXもIP回線を使っているのであればインターネットと同じ脆弱性を抱えている。これはこれでチェックしなければならない。また秘匿装置がかかっていない限りは、絶対的に大丈夫ということは全くないのであって、盗聴は可能である。しかしインターネットを巡り、今回「PHP問題」で生じたような規模での障害、というか「仕掛け」が発動されるのは決定的にそれが違う点が一つあることもはっきりしている。それはインターネットであれば世界中どこからでも、ネット上に載せられているものへの攻撃が出来る一方(その意味で脆弱性は著しく高い)、(IP通信ではない)電話回線を用いたFAXの通信を盗聴・傍受するためには物理的にその通信回路に介入する必要があり、この観点では少なくとも脆弱性は低いという点なのだ。そして事実、例えばかの米国務省であっても秘匿装置付きという限定はあるものの、未だにFAXを用いていることが知られている。そう、彼等は当然のことながらデジタル通信への集中が持つ「脆弱性」について十分熟知しているのである。無論、国家レヴェルでのサイバー攻撃に対してFAXが盤石であるとは言えないが、しかしインターネットに対する攻撃とは種類も、範囲も違うこともまた確かなのだ。つまり、純粋に電話回線という意味でのFAXによる通信を持つことにより、「デジタル通信への過度な依存」を濫用した「デジタル・アポカリプス(digital apocalypse)」に完全に巻き込まれる可能性を少なくとも(時には大幅に)低減することが可能なのである。
そういえば、香港在住の有名なスイス人投資助言家の御仁は、全てそのレポートをネットではなく、未だに「郵便」でクライアントに送り届けていると聞いたことがある。確かに、マーケットは「戦場の中」でこそ動かされるわけだが、そうなるとネットではかえって危ないかもしれないのである。だからこそ、あえて「デジタル通信への過度な依存」を避けるべく、超アナログな「郵便」であえてレポートを配信しているのであろう。何ともまぁ、物が分かっている賢人たちは先手、先手で動いているものである。
そこで最後に一つお願いがある。弊研究所の会員制サーヴィス「原田武夫ゲマインシャフト」の会員各位には是非とも、当方のサポート担当宛に「FAX番号」を御伝え願いたいのである(このコラムが掲載されている公式HPにPCでアクセスすると無人チャットで連絡をとることが出来るので、そこにご芳名・会員ランク種別・FAX番号を記載しておいて頂きたい)。「有事」の際には、皆様と弊研究所の間の「生命線」はそのFAX回線になる可能性が十分ある。
そういえば、筆者が先般、人工知能学会で発表した研究論文において許諾を得て利用し、また、かつて外務省北東アジア課北朝鮮班長であった際に仕事で日々利用していた「北朝鮮FAXニュース」を出している我が国の(民間)インテリジェンス機関である「ラヂオプレス」は、その名の通り、この世界的にも評価されているインテリジェンス資料を日々、有料ではあるが、インタネットではなくFAXで配信し続けているのであった。実に、「玄人」とはそういうものである。あらためて先人たちの慧眼に恐れ入るばかりである。
2026年10月24日 東京の寓居にて
株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 ファウンダー/代表取締役CEO/グローバルAIストラテジスト
原田 武夫記す
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