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目覚めよ!米中ロによるグローバル「共同」ガヴァナンスが意味するもの。(原田武夫の”Future Predicts.” Vol. 100)

お蔭様でこのブログのシリーズも合計で「100回」を数えた。まずは読者の皆様に対し、日頃より賜っているご支援に対し、心より御礼申し上げたい。本当にありがとうございます。

毎週綴れているわけではないので、100回だから100週、すなわち2年ちょっとが経過してというわけではないのだが、振り返ってみると実に様々な出来事が起きて来、それを題材としながら皆様に対して筆者自身の考えを述べてきたものだと少々感慨深い。しかし事柄、テーマこそ違えど、実は手を変え、品を変え、筆者は同じことを読者の皆様には御伝えしてきているのである(懸命なる読者の皆様は既にお気づきであろうが)。それはグローバル社会において、何を隠そう、私たちの国・ニッポンこそが「大問題」とされている、ということである。普段はメディアに登場する「学識経験者」たちから「ニッポンは所詮、ミドル・パワーに過ぎない」と刷り込まれているため、多くの読者にとってはこう言われても、今一つピンと来ないかもしれない。しかし、とにもかくにも今、グローバル社会において「大問題」となっているのは、他の何者でもない、我が国=ニッポン、なのである。

このことが如実に明らかになったのが、国際刑事裁判所(ICC)で所長を務めている赤根智子所長に対する、米国勢を筆頭とする大国勢による非難、あるいは制裁措置の発動である。先月実施した日米首脳会談は短時間であったかもしれないが、少なくともその場で我が国の高市早苗総理大臣はトランプ米大統領に対して、我が国は「法の支配」を重要視していることを伝え、曰く、同所長を筆頭とする国際刑事裁判所(ICC)に対する米国勢のネガティブな言動を諫めたと我が国政府は説明している。そしてまた、米国勢が「制裁」を発動したことを踏まえ、茂木敏充外務大臣はルビオ米国務長官と電話会談を実施し、同様の主旨を伝えたとマスメディアたちは一斉に奉じている。

しかし、である。こうした我が国の高市早苗政権による「外交努力」が全くの徒労に終わっているということは、米国勢はおろか、同様の動きを中国勢、さらにはロシア勢も見せていることから明らかなのである。しかもロシア勢に至ってはほぼ同じタイミングで赤根智子・同所長の「引き渡し」をオランダ勢に対して求めたというのであるから尋常ではない。オランダ勢がこれに応じることは通常であればあり得ないので大事には至らないわけであるが、それでも、表面的にはロシア勢が、本来ならば反目しているはずの米国勢と同じ方向性で事実上の対日批判を開始し、しかもそれが中国勢と軌を一にしているという「現実」は決して無視出来ないのである。

筆者はこうした事態が深刻化し、もはや我が国外交がとんでもなく不可逆的な状態に陥っていることが明らかになるのは来月(11月)に深圳で実施されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会合においてであると見ている。確かに、「国家」「政府」のレヴェルで見るならば米国勢、中国勢、そしてロシア勢の間に見解の相違や利益の違いが明らかにある。しかし、そうではあってもこれらの超大国がいずれも狙っている「一点」においては利益を均しくしているのであって、かつその「一点」が叶わないというのであれば呉越同舟となり、そうした「一点」の成就を阻んでいる国を徹頭徹尾、追い込み、攻撃するのは当然の流れなのである。

いや、もっと正確にいうならばそうした阻害要因が「国家」そのものではなく、それを凌駕する存在であるならば、これら超大国による戦いもまた、実に巧妙となり、かつ表向きは「それ」として分からないものになるのだ。確かに国際刑事裁判所(ICC)に対する「攻撃」は我が国に対するそれとは単純に同一視することが出来ない。見ようによってはたまたま、偶然に「日本人」の女性がその長に選ばれていただけなのであって、何も我が国に対する論難ではないと見ることもあるいは可能かもしれない。しかし、我が国のそうした「政体」レヴェル(=民主主義で選ばれるリーダーシップ以下の権力機構にまつわる話という意味でのそれ)ではなく、born-leadershipの世界である「国体」レヴェルでの話にこのことが密接に絡まって来るとなると話は違うのである。なぜならば、制裁を講じ、激しく論難してきている米中ロ勢が狙っているのは「政体」のリーダーである高市早苗総理大臣とそのチームとしての内閣ではないからだ。日本国憲法上は一切の政治的な権能が無い世界に対して彼らが実のところ矛先を向けようとしているのであれば、どうであるのか。何故にこうした迂遠なやり方をとっているのか。―――これらは全て、「そのレヴェル」「その高み」を踏まえての真実を知らない限り、決して理解することが出来ない現実なのである。

米国勢が超大国による同盟政策に特有の手段としてバックパッシング(buckpassing)を講じ、ある時は中国、またある時はロシア勢と組む中、我が国当局はといえば「インド太平洋における応分の負担」を掲げつつ、その実、徐々に「自主防衛能力」の向上を図るべく、重武装化へと着実に舵を切り始めている。こうした動きこそが、バックパッシング(buckpassing)の狙いそのものなのであって、自らの防衛負担を少なくしようと画策し、同時に防衛装備品の大量かつ高値売却をもって国富を増やそうとする米国勢にとってはねがったりかなったりのものであることは確かだ。しかし事今回のことを取上げるならば、どうもそれだけでは説明が出来ないと言わざるを得ないのである。バックパッシング(buckpassing)のために融和政策(appeasement)をとっているにしては、レジームそのものに対するチャレンジ過ぎるのであり、かつ「あ・うんの呼吸」に過ぎるのである。そうである以上、私たち日本勢には決して見ることが出来ず、ましてや入り込むことを決して許されてはいないフレームワークがあり、そこで米中露勢は文字通り「結託」し、かつ我が国を上のレヴェルから「圧搾(squeeze)」し、もって何かとてつもなく重大なものを引き出そうとしていると考える方が、至極納得が行くのである。

だからこそ、筆者はこの場で、全ての同胞たち=日本勢(当然、読者の皆さんも含まれる)に声を大にして語りたいのである。

「目覚めよ」と。「程なくして(来月(11月)には既に)私たち日本勢が驚愕する、全く新しいグローバル「共同」ガヴァナンスのためのスキームが米中露勢によって明らかになることに備えよ」と。

求められているのは重武装化ではない。まずもってこうした奸計を、それを上回る知恵によって取り囲み、打ち砕く知恵に貫かれた「外交(diplomacy)」なのである。その意味で本当の、「防衛力にお追従」のそれではない、外交の本場である欧州勢にも十分伍すことの出来る本物の国家力(stetecraft)を裏打ちする外交力が今、我が国においては求められている。国家の重大事の時に直面して、真にグローバルの立場だからこそ、筆者は今、このことを声を大にして読者の皆さんに呼びかける次第である。

2026年10月11日 東京の寓居にて

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 ファウンダー/代表取締役CEO/グローバルAIストラテジスト

原田 武夫記す