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あなたは「計画破産国家アメリカ」の真意を忘れてはいないか?(原田武夫の”Future Predicts”. Vol. 40)

何事も穏便かつ実務的な解決を図る人物であるかの様に”演出”してきたはずのベッセント米財務長官。そのベッセント米財務長官が発出した「ある書簡」が物議を醸しだし始めている。曰く、「7月中旬までに米連邦議会が連邦債務の上限額(debt ceiling)の引き上げを認めなければ、米国はいよいよ国家債務不履行(デフォルト)に陥る可能性がある」というのである。

トランプ米政権といえば、「関税砲(Tariff gun)」を世界中に向けて乱射しまくり、全世界から顰蹙を買い続けている。ところがここに来て急に、英国勢との間で「関税協定」に合意したと対外公表し、グローバル金融マーケット全体で「安堵感」が急激に漂い始めたばかりなのである。しかもベッセント米財務長官はつい数日前まで、米国勢の連邦レヴェルでの債務不履行(デフォルト)についてはどちらかというと懐疑的であるかの様な発言に終始していた。ところが、なのである。ここに来て同財務長官は急激に発言の方向を変え、米連邦議会に対してブラックメールを送り付けたのである。

こうした展開を見て、筆者は至極納得が行っているということをここでは吐露しておきたい。なぜならばまず、デフォルト(国家債務不履行)とは世の東西を問わず、自然の成り行きで「成る」ものではなく、人為的に「そうする」べきものなのである。無論、関係者は「あらゆる手を尽くしたものの、デフォルトになってしまった」と自然発生論を装うのが常だ。だが、実際にはそうではなくて、明確に「自己破産をして、再スタートを切る」という明確な意識とそれに基づく行動が無ければ、およそデフォルト(国家債務不履行)など生じ得ないものなのである。そのことは、実のところ、これまでの金融史が証明してきている。

事実、トランプ米大統領が続々と発言する「とんでもないメッセージ:の数々も、深謀遠慮としてその背後において実質的な「デフォルト(国家債務不履行)」に向けた意思があると考えるならば至極納得が行くのである。つまり、件のイーロン・マスクを「閣僚級」にまで一時期引き上げたこと一つとっても、あえてそこまで行うことにより、世論からの反発が生じ、もって「世論の声に耳を傾ける」ふりをして穏便な手段へと切り替えることにより、むしろ「デフォルト(国家債務不履行)」にした際の責任の所在を政権側から「世論」の側へと移そうとしていたと考えるならば、全くもって戦略的であり、巧みと言わざるを得ないのである。

上述の「関税砲」もまた同じだ。グローバル社会を構成するすべての国々との間で関税を引き上げようとすれば、当然のことながらまずは諸外国、そして国内において政治的・経済的なハレーションが生じる。事実、そうなっているわけであるが、そうであるからこそ、トランプ米大統領はあえてそれを強行しようと試みたのである。無論、そうした無理が通らないことは先刻承知なのであって、国内外からの反発を踏まえて、「やはり無理は通らない」とフルフレッジの要求を降ろすことになるのであれば、それによって得られるべき関税収入をもって、「デフォルト(国家債務不履行)」を一日でも遅くすることが不可能にするという戦術はもはや不可能になるのだ。当然、そこで生じる「デフォルト」について、その責任はトランプ米政権には無い、と強弁する余地が出て来ることになる。

しかも、である。通常であればブラックメールをベッセント米財務長官から送りつけられた米連邦議会の議員たちは、「自分たちのせいでデフォルト騒動が起きたとなると有権者との関係でまずい」と考え、最後の瞬間には「債務上限額の引き上げ」に応じるはずなのだ。しかしここで、彼・彼女ら「政体」勢力のリーダーシップに対して、より上位の立場から命ずることの出来る人的ネットワークから、むしろ「デフォルト(国家債務不履行)になることを誘導せよ」という指示が出ていたとするならばどうであろうか。つまり、正にbenign neglect、もっと言うならばnoble lie(高貴なウソ)とでも言った具合に、彼・彼女ら「政体」エリートらがあたかも合成の誤謬であるかの様に「債務上限額の引き上げ」に対してGOサインをいつまでも出さないという事態が生じるのであれば、私たち部外者にとってはただそうした壮大な演技を看過するしか方法はないのである。

「まさか、デフォルトになる引き金(トリガー)を引くことなど、そのことに纏わる責任を誰も取りたくない以上、絶対にありえないのではないか」

読者の皆様は必ずやそう考えるに違いない。しかし、世界大恐慌の引き金とされる「ニューヨーク株式相場の大暴落」(1929年)はヴァチカン勢の実働部隊として知られる「マルタ騎士団」の会員であった米国勢の当時の政治・経済エリートらの謀(はかりごと)であったという敵視的な事実は、(残念ながら鬼籍に入られた)鬼塚英昭氏がその著作で明らかにしたとおりなのである。そして「歴史は二度繰り返す」のである、必ず。そうであるが故に「史上初の米デフォルト」という出来事が生じることは、ヴァチカン勢のトップリーダーである新教皇に他ならぬ米国勢が成ったことからも、必ずしも否定し去って良い可能性ではないと筆者には想えてしまうのである。

いずれにせよ、山場は来る7月、しかもその上中旬にやって来る。そこでの「三文オペラ」とでもいうべき乱闘騒ぎを今から想起しながら備えるべきか、あるいは「まさか、そんなことはあり得ない」とそうした”悪い予感”を脳裏から拭い去ってしまうのか。米デフォルトになったらば大暴落するはずの米ドルとの比較においてこの数日、妙にビットコインを筆頭とした暗号資産が急騰している様子を垣間見つつ、今この瞬間だからこそ、私たち全員が判断をし、あらかじめ行動すべきなのである。少なくとも私は、今そう強く想っている。読者の皆さんにおかれてはいかがだろうか?

2025年5月10日 東京の寓居にて

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 ファウンダー/代表取締役会長CEO/グローバルAIストラテジスト

原田 武夫記す

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