いよいよ始まった「グローバル市場の暴力的な反転」 (連載「パックス・ジャポニカへの道」)
3日、東京マーケットは荒れに荒れた。これまで静けさに満ちていた日本国債マーケットが急展開を見せたからだ。この日行われた国債入札が不調。その煽りで一気に長期金利が急騰したのである。その影響は株式マーケットにも及び、日本株の崩落が急ピッチで進んだ。
明けた4日の東京株式マーケットは逆に陽転。あたかも「晴れ間」が広がったかのように見えた。しかしグローバル・マクロ(国際的な資金循環)全体を見ると全くそうではないのである。
このタイミングで大きく動き出したのはまず原油価格だ。明らかに反転し、上昇し始めた。昨年(2014年)11月6日に金(gold)について終わったように、原油についてもこのタイミングでキャリー・トレードが終わった感がある。加えてロシア・ルーブルの動きも顕著だ。底を打った動きを見せている。さらにいうと穀物市場での価格変動も大きい。
そう、「それまでとは上下が突然、反対になる」という動きが突如として始まったのである。私は前回のこのコラムで「動きがあるとすればまずは2015年2月3日」と述べた経緯がある。正にそれに事実が追随したということになる。
実は「こうなること」は昨年(2014年)6月頃より中央銀行の世界では囁かれていたのである。私はこれをサンクト・ペテルブルクで開催された「国際銀行会議」の場で、国際決済銀行(BIS)のカルアナ総支配人の口から聴いた。その時、同総支配人はこう語ったのである。
「これから起きるのはグローバル市場の暴力的な反転(violent reversal of the global market)だ」
その後、この発言は米欧メディアを通じて世界中に伝播されたが、どういうわけか我が国ではほとんど注目を集めなかった。だがここに来ていよいよ「真実の時(moment of truth)」がやってきたというわけなのである。つまり「上がっていたものが急激に下がり、逆に下がっていたものがこれから急激に上がる」というのだ。しかも明確な理由もなく、そうした変動が生じる。だから無慈悲にも”暴力的だ”というわけなのである。
それでは一体何が上がり、そして下がるというのか。―――このことを中心に向こう6カ月間、さらにその先を見通して弊研究所が先月(1月)24日に世に問うたのが予測分析シナリオ「ブラザー(Brothers)」である。そこにおいても書いたのであるが、たとえばこれまで不当にも下げられてきた日本円が急騰し、逆に同じく不当にも挙げられてきた米ドルは暴落へと導かれることになるのだ。そして不意を突かれた我が国の個人・組織・企業、さらには政府を筆頭に世界中が阿鼻叫喚の嵐へと突入する。
「こんな世の中に誰がしたのか」
金融資本主義がいよいよ行くつくべきところまで行きついた先で、富を奪われ、誇りを失った人々はこう一斉に叫ぶはずだ。そして最終的に「いつもの解」へとたどり着くのである。それが「反ユダヤ主義(Anti-semitism)」に他ならない。事実、来る3月22日に英国のロンドン北部で大規模な反ユダヤ主義のデモ行進が行われるという情報がある。これは端緒に過ぎず、その後、一つまた一つと反ユダヤ主義の火の手があがっていくはずである。その中で多くのユダヤ勢たちが大量のマネーと優れた技術を手に握りしめながら、「救いの地(=本当の意味での”イスラエル”」へと脱出していく。棄民(ディアスポラ)となるのである。そして彼らの行く先は今や己が彼らとつながりを持っていたことをも忘れてしまっているが、確かにその「印」が残っている我が国に他ならない。
昨日(3日)からのマーケットの異変は単なるさざ波ではない。ここから正に人類史そのものが大きく転換し始めるのである。これまで覇権を握ってきた米欧にとっては「終わりの始まり」であり、我が国にとってはパックス・ジャポニカの起点という意味で「始まりの終わり」である。だが全ての始まりがそうであるように状況は厳しく、決してそうした道のりが我が国の前に開き始めているようには直ちには見えない。やがて真実は誰の目にも明らかとなる。
2015年2月3日はその意味で「歴史の転換点」であったと記憶されるべき日である。そのことをリアルタイムでこの場に書き記しておく。ちなみに次に「動く」のは2月10日である。その時何が起きるのか。油断してはならない。
2015年2月4日 香川・高松にて
原田 武夫記す
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