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アベノミクスの次は日本バブルだ!

(IISIA研究員レポート Vol.3)

2012年9月から続く安倍(晋三)政権が
終わりを迎えようとしている。

民主党の野田(佳彦)政権の後に続き、2012年12月26日に始まった第2次安倍内閣からは現在の第4次安倍内閣に至るまで実に7年半以上続いた長期政権であった。第2次安倍内閣は①大胆な金融政策、②機動的な財政出動、③民間投資を喚起する成長戦略という「3本の矢」を柱とする経済政策、「アベノミクス」を打ち出して始まった。

 

(図表:アベノミクス「3本の矢」)

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(出典:首相官邸ホームページ)

内閣府によればアベノミクスによりデフレ脱却・経済再生に向けて大きな成果が生み出されてきたと“喧伝”されている

対して(1)円安が進んだにも関わらず実質輸出が伸びていない、(2)企業業績が回復したにも関わらず能力増強投資が増えていない、(3)円安で実質購買力が損なわれている、(4)追加の財政政策により民間の建設投資が抑制されているといったことを中心に厳しい見方もあった

いずれにせよ今年に入ってからの新型コロナウイルスによるパンデミックの影響は大きく、去る17日に我が国政府により発表されたデータによれば、2020年4月から6月期の実質GDP成長率が比較可能な統計のある1980年以来最大の落ち込みとなる27.8%減となった。「アベノミクス」から始まった長期政権は、「アベノマスク」という稚拙な政策を以て終焉を迎えることとなるのではないか。

 

(図表:「アベノマスク」を着用する安倍総理)

「アベノマスク」を着用する安倍総理

(出典:Wikipedia)

安倍総理にとって「健康上の問題」を引き起こす7月末に公表された米国勢のシンクタンク「The Center for Strategic and International Studies: CSIS」の報告書があるのではないかと言われている。 “China’s Influence in Japan” (「日本における中国の影響力」)と題された同報告書は、米国勢が中国勢に対する態度を強める中、「媚中」政策をとる我が国を批判する。特に自民党の二階俊博幹事長や今井尚哉(たかや)首相補佐官の名前が挙げられ、安倍政権を特に「媚中」に向かわせていると批判したのである。

振り返ってみれば2007年9月、第1次安倍政権も安倍総理の突然の辞任で幕を閉じた。当時辞任の理由は「健康状態」と説明されたのであったが、実はその裏に別の問題があったという見方もある。

(図表:2007年9月12日辞任会見時の安倍総理大臣)

2007年9月12日辞任会見時の安倍総理大臣

(出典:首相官邸)

それが『週刊現代』(2007年9月29日号)で報じられた相続税3億円の脱税疑惑であった。父の安倍晋太郎氏が総理総裁を目指して用意していた巨額の資金の相続に不透明なところがあるのではないかというのである。これが報じられる直前、しかも所信表明演説を2日前に行い国会での代表質問を受ける当日という、前代未聞のタイミングでの辞任表明であった。

今回も「体調不良」を理由に辞任がささやかれているものの、むしろ米中関係が悪化する中で自身の側近や政治の中枢にいる人物らが米国勢によって「媚中」政策を推進していると名指しで批判されたことの心痛がたたったのかもしれない。

次の総理は果たして誰になるのか。アベノミクスを超える、どのような経済・金融政策を打ち出すのだろうか。

いよいよ“日本バブル”へと本格的に加速するか否かを中心に、今後の動向に注視が必要だ。(註:「2020年夏・中期予測分析シナリオ」“Credo quia absurdum”パラメーター7参照)

 

 

グローバル・インテリジェンス・ユニット リサーチャー

佐藤 奈桜 記す

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