組織における知識伝播とAI (クスノキ・プロジェクトへの招待 Vol. 20)
こんにちは。IISIAインターン生の田頭優花です。
3月29日(日)に渋谷ソラスタコンファレンスにて開催されるクスノキ・プロジェクト第1弾は、2月13日(金)正午(12:00)まで募集を行っております。
既に応募いただいた方へのアンケートでは、「生成AIを事業で活用するアイデアを得たい」という声が多く寄せられました。
事業における生成AIの活用とは、単なる業務効率化や文章生成の自動化ではありません。本質は、組織が保有する知識資本を、いかに再構築し、利用可能な形に変換できるかにあります。そこで本稿では、生成AI活用の代表的な手法であるRAG(検索拡張生成)に何ができるのかを整理し、組織の知識伝播にどのように活用できるかを紹介します。
情報を残しておくツールとして、SlackやGoogle DriveのようなSaaSはあらゆる組織で導入されています。たとえば筆者も、大学の講義やサークル活動でSlackを使用しています。Slackでは、過去のやり取りを遡ることで欲しい情報を見つけることは可能です。しかし、そもそも
・自分の欲しい情報がSlack上に存在しているのか
・あるとしても、どこまで遡れば良いのか
が分からず、資料を探すのに膨大な時間を要することが何度もありました。これは、多くの組織に共通する課題ではないでしょうか。SlackやGoogle Driveは情報を「保存」するのに優れていますが、その情報が意味的に整理され、再構成されるわけではありません。もし、
「〇〇の過去資料をだして」
という一言で必要な情報が抽出されるならば、資料収集の時間を大幅に削減することができます。記録が蓄積するということは、判断材料が増えるというプラスの面を持つ一方で、情報が構造化されていなければ、判断までの時間を長くするマイナスの要因にもなってしまうのです。
多くの会社には、過去の成功案件、失注理由、顧客対応の履歴、製品仕様の変遷といった膨大な情報が蓄積されています。しかしそれらは往々にして、
「保管されているが、活用されていない」
「部署ごとに分断されている」
という状態にあります。結果として、
・顧客提案時に、過去の類似案件や最新製品情報を探すのに時間がかかる
・新人がマニュアルから適切な回答を見つけるのに時間がかかる
といった問題が発生します。
これは、組織の知識循環が止まっていることに起因します。前回のブログで紹介した、野中郁次郎氏のSECIモデルに照らせば、特に
・表出化:経験や勘、判断の背景を言語化、文章化し、暗黙知を形式知へと変換する段階
・連結化:文書やデータといった形式知を整理・組み合わせ、体系的な知としてまとめる段階
が十分に行われていない状態と言えます。
こうした構造的課題に対して有効なのが、RAGという仕組みです。RAGは、組織内に蓄積されたデータを意味的に横断検索し、その文脈を踏まえた回答を生成する技術です。RAGの仕組みは大きく2段階で構成されます。第一に、データを構造化し、「検索可能な知識基盤」へと変換する段階。第二に、その基盤をもとにユーザーの質問に関連する社内情報を抽出し、それを再構成して回答を生成する段階です。

(出典:【手順解説】LLMのRAG実装ガイド|精度向上の仕組みから構築方法まで | AXメディア)
重要なのは、これが単なるキーワード検索ではないという点です。RAGを適切に設計すれば、SECIモデルの中でも次の2つを加速することができます。
・表出化の強化
例えば、商談議事録や失注理由、顧客課題などをRAGに格納することで、ベテランの暗黙知を形式知へと変換できます。
・連結化の強化
過去案件、最新製品スペック、市場情報といった複数の形式知を横断的に結びつけることで、知識の再構成が起こります。
業務効率化を図って生成AIを導入する企業は増えています。しかし、 組織の知識構造を再設計し、知識の循環速度を高めるために、本当に大切なのは、
「どの知識を資産化するのか」
「どのように横断的に結びつけるのか」
という設計思想です。
RAGはツールのひとつにすぎません。クスノキ・プロジェクト第1弾は、単なるAIツールの紹介ではなく、経営視点からAI活用戦略を実践的に学ぶ場です。プログラミング未経験の方でもご参加いただけますので、奮ってご応募ください。
<クスノキ・プロジェクト第1弾のお申込はこちら!>
【開催日程】
東京会場:3月29日(日)13:30-17:00
※13:00開場・17:00完全退場
【会場】
渋谷ソラスタコンファレンス
ゴールド会員限定、参加無料。
(申し込み締切日:2月13日(金)正午)
https://form.run/@bdg-V5rxD1NEPwSL3VASXNjV
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※当ブログの記述内容は弊研究所の公式見解ではなく、執筆者の個人的見解です。
株式会社原田武夫国際戦略情報研究所・インターン生 田頭優花拝