2期目の小池都政 デジタル政策の行方は
任期満了に伴う東京都知事選は昨日(5日)投開票され、無所属現職の小池百合子氏(67)が360万票余りを獲得し再選を果たした。盛り上がりに欠けるとの声も聞かれた今回の都知事選。大方の予想通り漁夫の利を得たのは現職の小池知事であった。
そもそも今回の都知事選は新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を経てのものであった。政府与党にしてみれば、都知事選どころではなかったというのが実情であったし、対する野党側も候補者を一本化することなく乱立させることで票を奪い合うだけに終始した。小池知事は選挙期間中、街頭にはほぼ立たなかった。自身のユーチューブチャンネルを粛々と更新し続ける余裕の選挙戦であった。そして蓋を開けてみれば、低投票率下での小池知事圧勝となったのだ。
(図表 再選を果たした小池百合子東京都知事)
(出典:日刊ゲンダイ)
2期目をスタートさせたばかりの小池都政にとって目下の悩みの種は新型コロナウイルスの第二波についてであろう。連日100人以上の感染者数を出しており、国とのやり取りも含めてどう収束をさせていくのか、改めて手腕が問われよう。そして留意すべきはデジタル政策「Society5.0」の進展がどうなっていくかである。
同政策に関して小池知事は去年、副知事に宮坂学・ヤフー社長を招聘。新型コロナウイルスの情報発信サイトにも宮坂副知事が開設に関わり、そのインターフェイスも注目を集め立ち上げ2か月で累計訪問者数は800万人を超えたという。
さらに重要なのが、小池知事が「5G」推進のみならず東京都独自のデジタル通貨導入を表明している点であろう。諸国勢の潮流を見れば、デジタル通貨の導入において前向きな意見が相次いで中央銀行総裁から出されている。こうした点を踏まえれば、小池2期目都政における「Society 5.0」の推進にロンドン・シティ(City of London)による支援が十分にあり得るのである。尤もそのロンドン・シティ(City of London)にも不安材料があるかもしれない。英国勢と欧州勢(EU)の金融サービス分野の交渉が難航している。英国勢は欧州勢(EU)に対し、ロンドンからEU加盟国での営業を続けられる制度を要望しているのに対してEU側はそれを拒んでいるのであって、仮に交渉が決裂すれば英国勢からの機能流出が進む可能性があるのだ。
小池知事は当選確定後のテレビ番組のインタビューでキャスターから4年間の抱負を問われて「健康面に気をつけて頑張ってまいりたい」と述べるにとどまり、国政への再進出については最後まで明らかにしなかった。
小池知事が「政体」勢力の動向もにらみながら次の一手を考えているのは間違いなさそうだ。
グローバル・インテリジェンス・ユニット リサーチャー
羽富 宏文 記す