AI×事業継承(クスノキ・プロジェクトへの招待 Vol. 19)
こんにちは、IISIAインターン生の中村友南です。
先日31日より、いよいよクスノキ・プロジェクト第1弾の参加募集が始まりました。ありがたいことに、すでに多くの方からご応募をいただいており、大変感激しています。
クスノキ・プロジェクト第1弾は、
3月29日(日)に渋谷ソラスタコンファレンスにて開催されます。
当日は二部構成となっており、
· 第1部:大規模言語モデル(LLM)および検索拡張生成(RAG)について
· 第2部:知識伝播をテーマとしたプログラミング講座
(学生インターンが講師を務めます)
募集締切は 2月13日(金) です。
奮ってご応募ください。
さて、前回のブログ『事業承継が難航する理由―そして、次の一手(クスノキ・プロジェクトへの招待 Vol. 18)』では、事業承継において多くの企業が直面している課題として、経営や現場に蓄積されてきた知的資産が「視える化」されていない問題を整理しました。
本稿では、AIを活用することで、どのように知的資産の「視える化」が可能になるのかについて、より具体的な「AI×事業承継」の事例に触れていきます。
「視える化」と一口に言っても、その意味はさまざまです。単にデータを残すことと、後から参照し判断に活用できる状態にすることは同じではありません。事業承継においては、後者の視点からもう少し構造的に捉える必要があります。この点を考える際に有効なのが、野中郁二郎氏のSECIモデルです。

SECIモデルでは、組織における知の循環を4つのプロセスとして整理します。
・S(Socialization:共同化)
現場での会話、日々の経験を通じて、暗黙知が暗黙知のまま共有される段階
・E(Externalization:表出化)
経験や勘、判断の背景を言語化、文章化し、暗黙知を形式知へと変換する段階
・C(Combination:連結化)
文書やデータといった形式知を整理・組み合わせ、体系的な知としてまとめる段階
・I(Internalization:内面化)
形式知を実践のなかで活用することで、自身の経験として身につけていく段階
SECIモデルでは、組織における知を「暗黙知」と「形式知」に分け、それらが相互に変換されることで知が循環・創造されると捉えます。事業継承において問題になるのは、暗黙知そのものの存在ではなく、暗黙知が暗黙知のまま固定されてしまうことです。SECIモデルで言う、「E(表出化)」や「C(連結化)」が十分に行われず、知識伝播が止まってしまっている状態です。
もっとも、ここで重要なのは、SECIモデルが人の努力を前提とした理論であるという点です。対話し、振り返り、言葉にし、整理する—本来これらは人が担うプロセスです。しかし、実務の中でそれを継続的に行うのは容易ではありません。このギャップを埋める手段としてAIの活用があります。
最近、AIについて調べていると、「検索拡張生成(RAG)」という言葉を目にする機会が増えています。近年注目されているRAGは、こうした課題に対して極めて相性のよい仕組みです。RAGは、大規模言語モデル単体で回答を生成するのではなく、あらかじめ社内に蓄積された文書やデータを検索し、その内容を参照しながら回答を生成します。
従来の生成AIは、学習時点までの一般知識をもとに回答を行うため、
・社内固有の事情
・過去の意思決定の経緯
といった情報を反映できませんでした。
一方、RAGでは、「どの情報を参照して答えているのか」が社内データに基づくため、文脈を踏まえ、より実務に即した回答が可能になります。主な活用事例として、社内マニュアル検索ボット、カスタマーサポート、法務・技術文書のAI解析、新人のオンボーディング支援があります。言い換えれば、RAGは、SECIモデルにおける「E(表出化)」と「C(連結化)」を、日常業務の中で継続的に支える仕組みだと言えます。
筆者自身、RAGの理解にあたっては、幣研究所代表・原田武夫よりご教示をいただき、私は「Qiita」という技術共有サイトを活用して学習しました。Qiitaには、エンジニアや研究者による実践的な知見や技術解説が数多く掲載されており、RAGに限らず、コンピュータやソフトウェア関連の知識を学ぶ上で非常に有用なプラットフォームです。
ぜひ、みなさまも一度ご覧になってみてください。
RAGのような仕組みによって、情報の探索や整理、過去事例の参照といった作業をAIが担うことで、人はより自由に、創造的な仕事――ゼロから1を生み出す作業や、意思決定そのものに集中できるようになります。
ここに、AI活用の本質的な価値があるのではないかと感じています。
事業承継を「人の交代」ではなく、「知の引き継ぎ」として捉え直すとき、AIは初めて意味を持つのではないでしょうか。
AIが判断を代替するのではなく、人が判断するための材料や視点を整える。その関係性をどのように構築できるかが、これからの経営や事業継承において重要になるのだと感じました。RAGをはじめとする技術はそのための一つの手段にすぎませんが、知を整理し、参照可能な形で支えるという点において、確かな役割を担っています。
まずは、一緒に「知を視える化する一歩」を踏み出してみませんか。
ワークショップ当日は、プログラミング講師担当・インターン学生の神野、高橋が「AIの仕組み」について直接講義を行います。プログラミング未経験の方でもご参加いただけますので、奮ってご応募ください。
<クスノキ・プロジェクト第1弾のお申込はこちら!>
【開催日程】
東京会場:3月29日(日)13:30-17:00
※13:00開場・17:00完全退場
【会場】
渋谷ソラスタコンファレンス
ゴールド会員限定、参加無料。
(申し込み締切日:2月13日(金)正午)
https://form.run/@bdg-V5rxD1NEPwSL3VASXNjV
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※当ブログの記述内容は弊研究所の公式見解ではなく、執筆者の個人的見解です。
株式会社原田武夫国際戦略情報研究所・インターン生 中村友南拝