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「世界時計」をずらしたのは誰か。(原田武夫の”Future Predicts”. Vol. 7)

かつて私のメンターの一人で「経営者とは何ぞや」と「コーチング」について教えて下さった人物がこんなことを言っていた。

「ニッポンにいると”もうダメだ、息が詰まる!”と思う瞬間が年に1,2度、必ず来る。そんな時、僕は必ず海外に、何も考えずに飛び立つことにしている。しばらく海の向こうにいてリフレッシュすると、”また頑張ろう”という気に不思議となって来る。そんなこんなの繰り返しなんだよ、この道は。」

今、このブログは羽田空港第3ターミナルのANAラウンジで書いている。今回利用するエアラインは違うのだが、夏休み前だからだろうか、不思議と静かで混んではいない。スタッフも連れずに一人旅でのんびり今回は海の向こうに行くことを決めていたためだろうか、目の前に少しだけ広がっている「空白の時間」がとても嬉しい(といっても到着地では「やるべきこと」がたくさんあるのだが)。そんな時、かのメンターの御言葉が心の中によみがえってきたというわけなのだ。

「このタイミングが区切りになるということ」―――これについては弊研究所がリリースしている様々な調査分析レポートでこれまで繰り返し述べてきたとおりなのだ。「今年(2024年)は6月と7月の間で一区切りがつく。しかしそれぞれの月はそれぞれなりに大変な渦となる月なのであって、だからこそその間のエアポケットとでも言うべきタイミングでどの様に”息継ぎ”をするのかというのが最大の焦点になって来る」と前から思っていたし、その旨を皆様に対してはお伝えしてきたつもりだ。事実、世上は騒然となっていてさらにその勢いは増すばかりだ。そうした中で「上野の山が官軍との闘いで燃え盛っている最中に義塾では静かに講義を続けた福沢諭吉」よろしく、筆者はというと今年から拝命した広島大学における客員教員の任を粛々とこなすべく、毎週毎週、6月になってから広島へと旅立っていた。そして今、こうして羽田のラウンジにいる。

スタッフから嬉しい報せが届いていた。28日付でリリースした音声レポート「週刊・原田武夫」が”バカ売れ”なのだという。不思議なもので、多くの皆様が「同じ感覚」をお持ちなのだと思う。「このタイミングで”潮目”であるということ」を十二分に認識され、そして「明日はどの方向へ向かうべきなのか」を探索される中、弊研究所の「週刊・原田武夫」に辿り着かれたのだと思う。あたかも間欠泉が噴き上げるかの様に、確かにすごい数の本数が売れている。

「世界時計がずれた」ということ。これが今回の音声レポート「週刊・原田武夫」のテーマである。「一体誰がそんなことを出来るのか?」といぶかしく思われるかもしれない。確かにグローバル化した世界では今、「時」というと西暦を使うのが通常となっており、これにあらがっている国はほんのわずかだ。しかもそうした形式的な意味での「暦」ということを超えて、物事のシークエンス(連なり)という意味での「時」ということになってくると、それをどの様にすれば「ズレさせることが出来る」のか、皆目見当がつかないというのが多くの皆様の率直な印象なのではないかと思う。

しかし、現実に「ずれた」のである。どれくらいずれたのかについても目測出来るわけだが、その点の詳細については件の2024年6月28日号の「週刊・原田武夫」(50分収録)に譲りたいと思う。大事なことは「つい先ほど」まで詰めに詰めてきた流れの最先端が、ふとした拍子に「近未来だが先の先」へと移されてしまい、その間はさらに急こう配の「下り坂」が用意されたということなのである。実に困ったものだが、これもまた致し方の無いことである。結局、時空間は観念上の出来事とはいっても、結局のところそれに縛られているのは「時の目盛り」をつくっており、自分自身があたかも「時を制している」かの様に見える人類そのものなのだから。

「ニッポンにいると時々息が詰まる」という、先ほどの我がメンターの言葉もこれにつながるのではないのだろうか。経営リーダーシップをとっている中で気づくヒトは最初から気づくことが出来ている。しかし、どうしてもそのセンスを持つに至らず、他責で、我執で・・・という周囲の人間に対して「そうではないということ」を語り続けると、最初は良いが実に肩が凝るものなのだ。だからこそ、「リフレッシュ」が必要になってくる。今、の様に「頑張ってきたがえも言えぬ力で結末がずらされた瞬間」など正にそうなのではないかと思う。だからこそ、そうした時に「息抜きをする場所」というのが大事になって来る。

今回は湖のほとりに行こう思っている。シンガポール勢とスイス勢が合同でやり始めた金融会合がそこで行われるからなのだが、指定のホテルではなく、あえて湖畔のホテルに泊まることにした。少々贅沢だが、「世界がずれた」この瞬間だからこそ、時の止まった彼の美しい湖畔にしばしたたずむことは、許されても良いのではないかと思う。

「ここ」から始まる。否、湖畔から我が国へとまた戻ってきた瞬間からまた全てが動き出す。そして7月末まで激動だが、8月は途端に動かなくなる・・・そう感じている。

次回は湖畔から戻った時に記そうと思う。彼の地でいかなる「未来」が語られてたのか、を。

Gute Reise.

 

2024年6月30日 羽田空港第3ターミナル・ラウンジにて

原田 武夫記す

(*本文中で記しました2024年6月30日号「週刊・原田武夫」(音声レポート/50分収録)のお求めは「こちら」からどうぞ!)