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Antifragile. あるいは「孤独な総理の孤独な決定」について。(原田武夫の”Future Predicts”. Vol. 67)

この週末は連休ということもあって、博多から松山、そして高松を周ってきた。最大の眼目は琴平にある金毘羅宮参拝であった。「神事」におけるメンター曰く、「これからは金星」なのだという。そしてそれ(ルシファー)を司っている同宮にいわば「お出迎え」に行ったわけであるが、数百段もある石段を登る作業はやり切った後に人知れず胸一杯に感じた達成感は、正に一昨年(2024年)秋からの「過ぎ越しの祭り(pass-over)」の終わりを告げるもであった。そう、ここから「再起動」なのであって、しかもそれは「これまで」を全て作り替えることに他ならないのである。だからこそ従来の力(太陽)だけでは足りないのであって、そこに「堕天使」であったはずのルシファーの帰還が必要、というわけなのである。

山上から巷に戻ると「高市早苗総理大臣が総選挙に売って出るのではないか」という公開報道と、それに纏わる様々な憶測、分析のオンパレードであった。「高市早苗政権」は確かに現状、支持率が異様なくらいに高い。「勝つ時にこそ打つべきなのが総選挙である」という永田町の鉄則を踏まえるのであれば、正に今こそが「その時」だということになるのであろう。確かにその限りにおいては誰もそうした「決断」が下されたとしても異論を唱えるはずもなかろう。

しかし、どうやら事態はそんな単純なものではないようなのである。まずは共同通信が一報しているわけだが、それなりの金額について事もあろうに「高市早苗事務所」が政治資金を隠蔽処理していたことが明らかになるのだという。仮に「このこと」が総選挙に売って出る本当の理由だということになると、さしもの自民党も選挙に打って出る大義名分を失う。いや、そもそも自民党の内部ですら、「総選挙に総理は打って出るであろうがもっと後のはず」とたかをくくっていたらしいのである。そんな中、突然動員をかけられるとなれば、いくら「人気者総理」からの指示だとはいっても草の根レヴェルで大反発が起きることは間違いない。そうした状況に鑑みて、総理の座を狙う者たちが一斉に襲い掛かって来ることは目に見えているのであって、高市早苗総理大臣は早くも命運が切れてしまいかねないのである。

さらには「統一教会問題」が再び火を噴いているのだとも聞く。来る13日に奈良で日韓首脳会談が開かれるが、その韓国勢からは「統一教会」の最高指導者からの文書として、はっきりと高市早苗総理大臣と同教会の「関与」を示す文書がどういうわけか”喧伝”されているのである。「要するに何も変わっていないのではないか」ということになってくれば、さしもの「人気者総理」であってもその座を譲らざるを得なくなってくる。だから、「言われる前にまずは批判者を封じ込めるべし」というわけで総選挙なのだが、そうであればあるほど、今度は「選挙の大義名分」が無くなる。後に待っているのは党内外の混乱、そして「人気者総理」の退場だけというわけなのだ。

永田町から流されてきた「読み人知らずのメッセージ」はさらにこうも続ける。

「今回の決定にあたって、高市早苗総理大臣は安倍晋三元総理大臣(故人)につながる2名の側近にしか相談しておらず、総理大臣秘書官にすら声掛けしていなかった」

正に孤独な総理による、孤独な決断というわけなのである。ここまで言われるのであれば意気揚々というはずもないであろう。「後は週明けに公表される内閣支持率を見て最終決断」ということらしいのであるが、事態の黒幕が国内ではなくて、よりによってあのDonald Trump &Co.に他ならないというなると全く話は別なのである。例によって赤坂プレスセンター(米軍管理施設)において綿密に調査した同総理大臣の身辺で「絶対に他人に言いたくないこと」がなぜかメディアに暴露され、それを巡って激しい糾弾が起きる中、物の見事に「人気者総理=その実、孤独な総理」の権力は失墜し、かといって野党の側に政権を単独で担えるほどの力は残されておらず、正に「倭国大乱」という事態へと陥っていくのであろう、我が国は。

そう、思いつつ、筆者は今回の四国行脚の最中に読んでいた一冊の本のことを思い出していた。Nassim Talebの著作”Antifragile: Things That Gain From Disorder”である。日本語で言うならば「反脆弱性」とでも訳すべきこの単語(antifragile)を説く中で著者であるNassim Talebは「予測が出来ないヴォラティリティだらけの世の中で、単にそれに屈する能力があるという意味での頑強さ(robustness)を持つだけで十分なのではなく、むしろリスクが炸裂したからこそ、状況が好転する様な立場を得た者だけがこれから生き残ることが出来る」と明確に述べている。そして「国家が持つ力(statecraft)」についても言及し、「世界が荒れれば荒れるほど皆が持つようになっているスイス・フランを発行するスイス勢の国家は非中央集権的である」と指摘する。つまりそこでは中心がはっきりとしないからこそ、ヴォラティリティのある世界では評価されているのであって、国家たるもの今後はそうした姿を目指すべきだというのである。

「それでは我ら日本勢はどうすれば良いのか?」という点については、31日に東京・東銀座で行う恒例の年頭記念講演会でじっくり語りたいと思っている。しかし今の段階ではっきりしていることがある。それは「孤独な総理による孤独な決断」による総選挙はおよそ時代の呼び声であるantifragileとは相反するものだということなのだ。そしてそうした時代精神に反することをそれでもあえて行う者は徹底した淘汰の波に見舞われることになる、確実に。

正に「他人の振り見て我が振り直せ」である。我が研究所についても、既にこの場でもはっきりと書いたとおり「再起動」にふさわしいメンバーをまずは3つのポスト(代表秘書、広報、ウェブマーケティング)で迎え、antifragileの時代におけるリーダーシップを国内外で発揮する企業へと一気に成長させたいと考えている。なぜならば、もはや「誰かに頼る」「誰かのせいにする」という意味での政治には用はないのであって、正に「今・ここ(now and here)」からこの手で創り出さなければならないのであるから。その意味で、週明けから始める「孤独な総理による孤独な決断」がもたらす顛末に引き続き注視していきたいと思う、「反面教師」として。

2026年1月11日 東京の寓居にて

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 ファウンダー/代表取締役CEO/グローバルAIストラテジスト

原田 武夫記す