あの先生との出会いが、私の人生を変えた──希薄化する社会の中で思うこと。(クスノキ・プロジェクトへの招待 VoL.8)
IISIAインターン生の髙橋こころです。
私は国際協力を専攻していますが、大学入学当初から一貫して抱いている問題意識の根底には「人と人との繋がり」をいかにして強くするかという疑問があります。義務教育課程を経て今日に至るまで、人との出会いによって私の人生は決まっていると実感する経験がこれまで何度もありました。
私が国際協力という分野に将来携わりたいと思ったきっかけを作ってくれたのは、当時、小学校6年生の担任の先生でした。道徳の授業で国際連合児童基金(UNICEF)の活動について教えてくれました。それまで学校で勉強できることやご飯を毎日食べられることは日常だと思っていた私にとって、国や地域の状況によってそうしたことが当たり前ではないと気づいたときに、「私ができることは何だろう?国境を越えて人の役に立ちたい!」という思いを抱きました。あの時、あの担任の先生に出逢わなければ今の私は居ないと思います。
「その時の出逢いが 人生を根底から 変えることがある よき出逢いを」これは詩人・書道家の相田みつお氏の言葉であり、私が大切にしている教訓でもあります。
選択肢が与えられたとき最終的に決断をするのは自分ではありますが、決断に至るまでの過程で出逢った方々は、自分ひとりではどうにもできなかったことを乗り越える味方となり、またその中で得た経験は成長の種となりました。
情報が錯綜する現代において、顔の見えないコミュニケーションが日常となり、人との繋がりを感じにくい環境が広がっています。しかしその一方で、私たちは今まで知らなかったことを知ることができ、国境を越えて対話できる時代を生きています。それは、情報の伝達が効率化した世界であり、誰も見たことがないスピードで進化が起こる時代ともいえると思います。そうした時代において、皆様とともに世代を越えて繋がり、未来のため何ができるのかそして次世代にどのようにバトンを渡していくのかを、考えていきたいです。
さて、皆様も御存知かと思いますが、新卒者の早期離職が社会的な注目を浴びています。帝国データバンクによると、2021年初職が正社員であった離職者が初めて離職した理由の上位三項目として「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」「人間関係がよくなかった」「賃金の条件がよくなかった」が挙げられています。
とりわけZ世代である2021年の卒業生たちは、新型コロナウイルスの影響を受けて従来の就職活動とは異なる状況下だったことも指摘されるでしょう。ただ、採用後3年で3分の1の若者が職を離れることは、企業にとって大損失であり、労働市場全体にも影響を及ぼします。
(参考: https://www.tdb.co.jp/report/economic/col2024111801/#_ftn1)
早期離職者や転職者の増加が社会問題として認識される背景には、こうしたコミュニティ内の意思疎通や人間関係構築に十分な時間が取れていないことが要因として挙げられると考えることができます。
しかし、こうして人材の早期退職傾向が続けば、会社に蓄えられた「暗黙知」が十分に共有されないままに組織が高年齢化し、ついには喪失してしまうことになります。
私たちは我が国社会全体が共通して直面するこうした課題に危機感を覚え、暗黙知をデータベース化し、生成AIを通じてアクセスする「RAGシステム」が解決策になると考え、クスノキ・プロジェクトを主催してきました。また、最新のAI技術と、その利活用の前提となるプログラミング能力の向上を通じて、山積する社会課題の解決が草の根レベルで行われ、ひいては社会の最適化と安定化を実現するというより大きな目標を達成するため、会員様御自身がAIを活用していける方法や手段についてのレクチャーを本プロジェクトでは行っています。
ここで、第一回クスノキ・プロジェクトを終えて、その手ごたえをインターン生の神野にインタビューしてみました!
Q1: 第一回クスノキ・プロジェクトに参加した率直な感想をお願いします。
第一に、会員の皆様がAIの活用に非常に高い関心を寄せられていることを肌で感じ、講義を担当させていただいた身としては非常にやりがいを感じました。
他方で、想定していたよりも講義の進行が速く、内容が複雑に感じられた方がいらっしゃったことも、アンケートを通じて分かりました。せっかく期待を寄せてくださっている会員様方の期待に十二分に応えられるよう、今後は、もう一歩噛み砕いた説明を心がけ、より分かりやすくお伝えできるよう努めてまいります。
Q2: ワークショップの会員様の反応はどうでしたか?
「松下幸之助AI」の実践をしたことはよかったと思います。収集した言語データからデータベースを作成し、RAGシステムを構築して、AIに質問に投げかけて回答を得るという過程を体験いただきましたが、このような新しいAI活用の在り方に可能性を感じてくださった会員様がいらっしゃったことは嬉しく思います。
Q3: 最後にクスノキ・プロジェクトに御参加された方、並びにこれから本プロジェクトに御参加される会員様へのメッセージをお願いします。
今回参加された会員様に体験いただいたように、実際にご自身で手を動かして、コードがどう動いているのかを確認することは重要です。しかし、大規模言語モデルの台頭によりコードの生成を行えるようになった現在、コードを完璧に理解する必要はないと考えています。それよりも重要なのは、プログラミングによって「何が出来るか」を知ることではないでしょうか。回帰や分類、さらにRAGシステムなどの特質を理解さえしていれば、あとは大規模言語モデルの助けを得ながら、ご自身の用途に合わせて実装していくことが可能です。では、いかにして大規模言語モデルと対話をしながらシステムを構築していけばよいのか。その部分のお手伝いをすることが私たちの役割であると考えております。
第一回クスノキ・プロジェクトからの学びを踏まえ、よりパワーアップした形で来年3月に開催されるクスノキ・プロジェクトに向けて動きだしていきます。次回ワークショップでは、いよいよ、「大規模言語モデルとの対話を通じた仮想通貨自動売買システムの構築」についてのより実践的な内容を取り扱う予定です。先日のブログで弊研究所代表・原田武夫からも言及がございましたが、日本社会は現在、市井を顧みない権力争いで政治は混乱を極め、それと同時進行する形で米国勢による我が国の国富簒奪が決定的となる様相を示しています。そうした状況において、個々人が技術(テクネ―)によって富を蓄える仕組みを構築する必要性は日に日に増していると考えております。皆様、是非、次回のクスノキ・プロジェクトに参加ください。
私も皆様と共に、未来への前向きな第一歩として動き出していきます。
次回のブログもどうぞお楽しみに。
来年3月に開催する、ゴールド会員様限定のクスノキ・プロジェクトのイヴェントは、1月31日(土)に開催する「2026年・年頭記念講演会」から募集開始します。是非、御申し込み下さい。
詳細とお申込みは今すぐこちらからどうぞ!(HPにジャンプします)
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※当ブログの記述内容は弊研究所の公式見解ではなく、執筆者の個人的見解です。
株式会社原田武夫国際戦略情報研究所・インターン生 髙橋こころ拝