2015年2月3日に何が起きるのか?動き出した簿外資産 (連載「パックス・ジャポニカへの道」)
私・原田武夫にしばしばこんな疑問を投げかけて来る向きがいる。
「原田武夫はどのようにして情報を集めているのか?」
率直に言おう。情報は「集める」ものではなく、「集まる」ものなのである。なぜそのようなことが起きるのかといえば、全てを削ぎ落して己が果たすべき役割を真に果たし始めると不思議とそうなるのである。ところが人間とは弱いもので、なかなかそうはならない。いろいろなこだわりを捨てきれず、結局は「己の果たすべき役割」というものに辿りつかないままで終わってしまう。己の果たすべき役割について覚醒するに至った者のことを私は“ヒト”と呼び、未だそれに至らず、ただただヒトとヒトの間を漂っている者のことを”人間“と呼んでいる。明らかに激動の時期を迎えた今、何が起きているのかといえば要するにこの”ヒト“と”人間“とがくっきりと世界中で分かれ始めているということなのである。
不思議とこの意味での“ヒト”と”ヒト“は引き寄せ合うことになっている。私の公式英文ブログで「my closest alliance partner(=私の最も近しいアライアンス・パートナー)」として登場する”Mr. HKD”もその一人である。当初の対話の中では出会ったことの「意味」を見出すのはなかなか難しかったが、とりわけ私の方でより「己が果たすべき役割」について鋭敏になるにつれ、この出会いの意味が分かってきた次第である。”Mr. HKD”は無数の金融データを日々、特殊なアルゴリズムをもって分析している。いわゆる定量分析(quantitative analysis)であるが、その結果、どのタイミングでマーケットに激変が生じるのかを特定しようという試みを続けられているのである。
もっとも非常に興味深いのは、そうした定量分析をもってしてはある段階で激変が起き得ることは相当な蓋然性をもってあらかじめ分かるが、その時に「一体何が起きるのか」という点については皆目見当がつかないということなのだ。つまり定量分析をもってしては数値の示す現実世界における「意義」までは分からないというわけなのである。
そこで私・原田武夫と弊研究所の出番ということになってくる。―――私たちの研究所は公開情報分析(open source intelligence, OSINT)を行っている。「定点観測(fixed-point observation)」と「比較(comparison)」を通じて、インターネット上で無数に展開されている公開情報がもたらす意味(intelligence)をつかみとっていくというわけなのである。そしてそのベースとなっているのが過去に一体何が起きたのかを記している文献の徹底した研究だ。それを通じていわば「歴史法則」とでもいうべきものをまずは体得し、それを今現在触れることのできる公開情報に照射することによって、「これからこうなり得る」という気付きを得るのである。定量分析に対し、これを定性分析(qualitative analysis)という。
私・原田武夫は件の”Mr. HKD”と日々密にやりとりをしながら、定量分析に定性分析を重ね合わせ、すぐそこの未来から流れ出て来る時間がもたらす「意味」を読み取り続けている。そしてそれが私たちの研究所・IISIAが提示している様々な分析レポートとして結実することになるというわけなのだ。
そうした観点から、ここに来て気になるタイミングがある。「定量分析」上、あるタイミングがここに来てずっとハイライトされ続けているのである。
20150128 1 17224.26 -544.04 以下
20150129 1 17375.11 -420.62 以下
20150130 1 17203.6 -592.13 以下
20150202 1 17294.39 -501.34 以下
*20150203 1 17540.69 -255.04 以下
20150204 1 17460.62 -335.11 以下
20150205 1 17504.45 -291.28 以下
20150206 1 17667.84 -127.89 以下
20150209 1 17626.21 -169.52 以下
*20150210 -1 17904.67 108.94 以下
20150212 -1 17934.5 138.77 以上
20150213 -1 17936.65 140.92 以上
20150216 -1 17938.87 143.14 以上
20150217 -1 17940.19 144.46 以上
20150218 -1 17941.45 145.72 以上
上記に示す生データ上の個別の数値の読み取り方については「企業秘密」であるのでご勘弁頂きたいわけだが、「*」を付した数値の記された期日こそ、トレンド転換が定量分析上、期待される日なのだ。これを見ると次は「2月3日」さらには「2月10日」ということが分かる。要するにこのタイミングでそれまでの流れが大きく変わる可能性がある、だからこそマーケットの主たるプレイヤーたちはその時点にビッドしている(=賭けている)というわけなのである。
「それは単なるマーケットにおける直感的な賭けの世界の出来事に過ぎない。マーケットという枠組みを超えた世界情勢そのものとは一切無関係である」
そう言う読者もいるに違いないが、その認識は残念ながら決定的に誤っている。「都合の悪い現実があればこれを是正し、都合の良い現実だけを創り出していく」のが米欧勢の統治エリートが用いるインテリジェンス機関の役割だ。そしてそうしたインテリジェンス機関の職員(intelligence officer)たちこそ、投資銀行やファンドといった金融マーケットにおけるプレイヤーの中に入り込み、そこでもまた「都合の良い現実」を創り出しているというわけなのである。つまりこうした「定量分析」と「定性分析」を繰り返していくと、マーケットを題材としながら米欧勢の統治エリートたちがどのタイミングでどちらの向きに国際社会を動かそうとしているのかを理解することが出来るのである。
以上を前提にしながら「定性分析」という観点より私・原田武夫がこのコラムをアップするタイミングで注目している公開情報は次の3つである:
・「イスラム国」がサウジアラビア勢に対していよいよ大規模なテロ予告を発し始めた
・日米間における環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る交渉プロセスの周辺で「ドル高是正という意味で為替レートについて議論すべき」という声が上がり始めた
・EU諸国がロシアを国際銀行間通信協会(SWIFT)から除名しようと画策し始めた
これらについては30日午後にリリースした音声レポート「週刊・原田武夫」で分析しているので詳しくはそこに譲りたいと思うが、私がこれらに接して気付いたことのポイントを挙げるならばこうなる:
―アブドゥラ前国王の逝去で求心力を一時的に失ったサウジアラビア勢に対して「イスラム国」が本格開戦した場合、事の成り行きによってはサウジアラビア勢の産油能力を大きく妨げることになる。それによって原油価格が高騰する可能性が出て来るわけであり、当然マーケット全体に大きく影響が出て来る
―TPPそのものが「我が国から米国への国富の移転のための仕組み作り」である中、円ドル・レートをドル高のままにするのは矛盾している。なぜならば米国勢が今行いたいのはシェール・ガス/オイルの対日輸出だからであり、そのためには通常のセオリーに基づき、「ドル安」にすることで輸出ドライブをかけることが必要なのである。つまり裏を返せば急転直下、「円高」へと転ずることを意味するわけであり、これもまたマーケットに対して甚大な影響を与えることになる
―他方、SWIFTに入っていなければ諸国勢は海外送金が出来なくなる。つまり国際金融という観点で除名国は「死する」わけであり、ロシア勢は正に絶体絶命と言わざるを得ない状況に現在置かれてしまっている。通常であればあり得ない措置であるが、そもそもこうした国際金融システムがユダヤ勢=アシュケナージ勢の影響下にあり、そうしたユダヤ勢=アシュケナージ勢からの脱却を目指して来たのがロシア国民主義の旗手としてのプーチン露大統領の路線であることを踏まえれば、そうした「想定外」もプーチン体制への対抗措置としてあり得るというべきなのだ。もがき苦しむことになるロシア勢が果たしてどのような活路を見出すのかで国際社会全体の運命が決まって来る
要するにマーケットの指標だけ見ると何も起きていないように見えるが、実際には全くそんなことはないというわけなのだ。「これから」を考えるならば実はシステムそのものの転換の時が迫っていることはこうした公開情報の中で如実に示されているのである。そのことをこの場を借りて明確に指摘しておきたい。
そしてもっと決定的な出来事がもう一つある。これもまた”ヒト“と”ヒト“とがつながる中において必ず出くわすネットワークなのであるが、我が国と華僑・華人ネットワークの間で歴史上築き上げられてきた莫大な「簿外資産」がいよいよ動き出すという内報にこの数日来接していることを吐露しておく。端的に言うならばこのことによって(1)エネルギー価格に大幅な変動が生じ、(2)我が国の抱えている技術に対し、グローバル・マネーが殺到するという事態が生じることになる。なぜならばこの歴史的な「簿外資産」はこれら双方への資金注入と利益回収という形で運用されてきた経緯を持つからである。そしてそれが動くということは、表向きマーケットもその意味で動くということを暗に示しているのだ。
いずれにせよ、まず注視すべきは「2015年2月3日」に何が起きるのかである。無論多少の前後はあり得るにせよ、それが国際決済銀行(BIS)のいう「グローバル・マーケットの暴力的な反転(violent reversal of global market)」をもたらすのか、あるいは多少のさざ波で済むのかは、全く予断を許さない。いずれにせよ「何も起きない、何も変わらない」ということはないのだという基本認識を忘れずに前に進んでいかなければならない。
2015年2月1日 福岡・川端にて
原田 武夫記す
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