僕のBalanceをどうぞ!
先日シューティングに行って人生で初めて銃を5種類ほど撃ってきました。
レボルバーくらいまでは色々脳内でアニメや映画に突っ込みを入れる余裕があったのですが
カラシニコフ、ショットガンのコンボで完全に私の貧弱な腕の筋肉が限界を迎え、
有事の際の私の生存可能性の絶望的な低さに改めて平和を希った次第です。
ところで射撃場は地下にあり、無数の銃痕に大量に転がる薬莢、どこからか聞こえてくる銃声などいつゾンビが襲ってきても不思議でないような雰囲気だったのですが、
その雰囲気に違わずというかなんというか支払は現金のみ、おっちゃんが無造作に紙幣を乱雑に輪ゴムで止めて無言で奥に引っ込む光景を見て思わずちょっと笑ってしまいました。
一緒に行った1人が現金を持ってきておらず、一旦立て替えてその後お支払いいただいたのですが、「まさかエストニアでクレジットカードが使えないとは…」とぼやかれておりました。
確かに私が知る限りタリンの街中でクレジットカードが使えないところはほとんどありません。
かなり小さな店やベンダーでさえ端末を置いているので、私も基本的には現金は15ユーロ程度と後は銀行のクレジットカードくらいしか持ち歩きません。
そんなこんなで久しぶりに個人間でお金のやり取りが発生したのと、
筋肉痛の最中とりとめとなく話し合った内容を踏まえて、
今回はPocopayというエストニア発のアプリをご紹介したいと思います。
https://pocopay.com/
Pocopayは基本的には個人間のマネー送付を簡単にしよう!というコンセプトの送金アプリです。
(”We want to make money matters as convinient and seamless as possible.”)
ざっくり言うとPaypalのユーロ圏版のような感じなのですが、
まずアプリありきのサービスなので個人的にはPaypalより登録もアプリの利用も簡単です。
ウェブサイトで動画を見ていただければと思いますが、
画面上の円(バランス)をぴゅっとフリックして分割することで支払や貯金や割り勘のステップに進めます。
銀行やお金を取り扱う真面目なアプリというのは得てして無難なデザインをしているのが普通だと思いますが、
このPocopayのUIでは自分の残高をちぎってあげる、という動作もシンプルで非常に直感的なUIになっています。
日本人にとっては、アンパンマンが自分の顔をちぎってお腹を空かせたお友達にわけてあげるイメージと結び付けられるのではないでしょうか。
(少なくとも私はデモムービーを見た瞬間「アンパンマンや…!」と感動し、即ダウンロードしました)
履歴確認や連絡先等の表示も非常にシンプルで、手軽に使えるものになっています。
他にも色々特徴があるのですが、私はまだあまり使いこなせていないので今回は割愛。
残念ながら現在はエストニア、フィンランド、スペイン、オランダでしか使えません。
登録には規定のIDやメインバンクの確認が必要なので誰でも即座に、というわけではありませんが、
デビットカード(任意)の送付や、最初の入金をATMから行うといったことを除けば
完全にアプリ上で完結します。
私の一推しポイントはもちろんまず上記のアンパンマン精神ですが(笑)
第二のポイントは利用履歴がアプリで非常に簡単に確認できる上、
残高に応じて一日のBudgetが表示される、Save(貯金)と称して簡単に残高の一部を積み立てできる(あくまでアプリ上)等々、
日常で発生するお金の出入りを、銀行口座から一旦切り離して一元管理できるという点です。
私は家計簿は一切つけていないしつけられない性格をしているのですが、
日本ではクレジットカード複数枚や現金やICカードやらでバラバラに支払やチャージをしており、更に紐づく銀行口座も複数というズボラさで、
利用履歴や残高の確認が本当に気の向いたときにしかできず罪悪感を持っていました。
幸い残高の数字がじわじわと増えるのがささやかに楽しい、みたいなケチな性なので使い込むということはないのですが、
気づいたら残高がマイナスになっているという友人には是非こういうアプリを薦めてあげたいと思います。
そして第三に、この個人間で送金が簡単にできる、というのが日本でももっと広がって欲しいのです。
何だかんだ言ってカードの分割払いができるエストニアでは今のところ
それほど個人間の送金にこのアプリを使うことはないのですが
(そもそも割り勘する友達がまだあまりいないのも問題ですが)
なるべく現金を持ち歩きたくない人間としては日本で友人と会う度に割り勘用に現金を用意しなければいけないのが地味に面倒なのです。
しかもフィリピンやアメリカでは端数は盛大に端折りられたりチップ制度があったりで
それほど揉めることもないものの、1円まできっちりお釣りを返される日本では
適当に払うと小銭が大量に戻ってくるのもなんとも言えないです。
財布が重くなるのも嫌だし、人によってはその端数の行き先が人間関係にヒビを入れたりすることもあるらしいのでイチイチそんな心配をするのも面倒です。
飲み会に始まる諸々の集金も然り、お金をおろし忘れていて人を待たせてコンビニATMに走るのも申し訳なく思っています。
それに限らずイベント等で、SNSを介した知り合い、または後日の返金や送金に少々の不安が残る相手だとか、(忙しいとか海外に行ってしまうというのも含めて)
それでなくても個人が大量の現金を捌くのは盗難やトラブルの危険性が大きいので、
できるだけこうしたアプリで最低限の情報でその場でサクッと送金が完了するのはとても魅力的だと思います。
類似のサービスとしては
中国の微信(WeChat)、FacebookのMessenger、LINE Pay等もありますが、
日本で利用できるのはLINE Payくらいでしょうか?
(私の周りに利用者が今までいなかったので私も使ったことがないのですが…)
ただこれらはあくまでトランザクションの取り扱いに限られており、利用自体は各紐付いた銀行口座です。
Pocopayは欧州の銀行コードを取得しており、独立のオンライン銀行という立ち位置なので、少々毛色が違うかと思います。
このへんはまた別途色々なセキュリティをはじめとする技術的問題や法的制約が絡んでくると考えられるためそう簡単には日本に入ってこないと思いますが、
こんなちょっと斬新でシンプルなUIや、アプリをつかったお金のやり取りが
今後日本でももっと受け入れらればいいなと思います。
【プロフィール】
楼 まりあ
神戸・東京・マニラのオフショア開発を繋ぐブリッジSEとして、そして東欧での新拠点をリサーチするため現在エストニア現地企業で外部契約社員として在宅勤務。大学時代、マニラオフィスのオープンスタッフとして1年間マニラに滞在。NYでインターン経験有。
東京大学経済学部卒。