今度の崩壊は前回とは比べ物にならない崩壊になる (連載「パックス・ジャポニカへの道」)
去る7日、念願の福井県訪問を果たしてきた。目的はこの地にあって画期的な農法として知られる「ピロール農法」の開発と普及にこれまで40年間を捧げてきたエヴァンジェリスト・黒田与作氏との直接のご面会を果たすためである。
私は実に偶然の出来事からこの「ピロール農法」に出会った。私は普段”先生“と呼ばれる稼業をしているが、当然”先生“にはさらにその”先生“がいる。これを「マスター(master)」と呼ぶ。そして私にとっての敬愛すべき「マスター」であり、かつ我が国屈指のエンジニア兼イノヴェーター兼幕末思想研究家の方から、今年(2016年)に入って早々にこう諭されたのである。
「なんだ、君は何を食べたら良いのかすら知らないのか。ならばこれを示す」
例によってエスプリと科学的論理とで彩られたそのペーパーには、私たち日本勢が今、何を食べて体を整えるべきかが書いてあった。そしてその中でひときわ目立っていたのが「ピロール米」という言葉だったのである。
「これは一体何でしょうか。聞き慣れない言葉です」
すると我がマスターはやや呆れ顔をしながらもこう教えてくれたのだ。
「ピロール米というのは、太古の昔から地上に存在しているシアノバクテリア、すなわち藍藻を用いた農法で育てたコメのことだ。福井県でその手法の開発・研究が進められている。普及しているのは黒田与作という人物で、その科学的根拠を示したのが“北陸のエジソン”とまで言われた賢人・故酒井弥だ。一度調べてみてごらん、いろいろと学ぶことが出来るから」
それから私は「ピロール農法」とその周辺について、文科系である私なりに徹底的に調べた。そして実際にその農産品を購入し、継続して食してもみた。端的にいうと「ピロール米」はおにぎりにし、しかも時間が経ってから食べるとその威力が分かるのである。パサつき始める普通のコメのおにぎりとは全く異なり、何時間も経過しているというのにツヤとハリがあるのである。これには圧倒され、爾後、すっかり“はまって”しまった。
おそらくは私と同じ様に「文系頭」であろう読者の皆さんのご理解のために申し上げるならば、「ピロール農法」とは要するにこういうものである:
―人類は体内バランスを保つべく、血液は弱アルカリ性、胃は強酸性、腸は弱酸性になっている。とりわけ重要なのが血液の弱アルカリ性を保つことなのであり、これが酸性に傾き始めた時にアルカリ性に押し戻す働きをするのが体内に蓄積されているカルシウムである
―ところが現代社会、とりわけ我が国において一般に販売されている食べ物はほぼ例外なくカルシウムに乏しい。その結果、かなり意識的に摂取しなければ、カルシウムが体内に溜まることはなく、結果として骨粗鬆症になってしまうのである
―それ以上に深刻なのが、我が国の土壌が年々「酸性化」しているという現実である。地域を問わず、我が国で降り始めの雨のpHは驚くことなかれ、2弱である場合が多い。これは硫酸を希釈したレヴェルなのであって、如何に我が国の土壌が酸性化しているのかがわかるのである。そこで「体に良いから」といって無農薬・有機野菜などが大量に販売されているわけだが、どういうわけか「カルシウム含有量」「pH」についてそこで一切語られることはないのである
―これに対してシアノバクテリア(藍藻)による土壌改良を施すことを中心とした「ピロール農法」で育てた農産品は、そもそも弱アルカリ性なのである。そのことはトマトやじゃがいもなどがこれによって育てられると、収穫後、3か月たってもみずみずしいことから明らかなのだ。一般にこれは「水分含有量のため」と理解されているが、大きく間違っている。そもそも野菜がしわくちゃになるのは要するに酸化が進むからであって、元来「酸性」だからそうなるのである。ところが「ピロール野菜」は弱アルカリ性なのだ。結果として酸化は著しく遅延し、いつまでもみずみずしいということになる
―もっと驚くべきなのは、通常の農法では絶対に土壌から作物に取り込まれることはない「ビタミン12(B12)」がピロール農法で育てられた作物に中には多く含まれている点である。ビタミン12には造血作用、とりわけ赤血球を創り出す作用があることを考えると、「ピロール米・野菜・茶」を継続して摂取することがどれほどの意味があるのかは推して知るべしなのである
さて、こうした「ピロール農法」によって育てられた作物について、その効用は健康上、一体どの様なものなのであろうか。あくまでも「自分は医者じゃないから・・・」とはにかみながら、黒田与作氏が今回教えてくれた”事実”に私は正直驚愕してしまった。なぜならばこれまで40年余の間に次のような効果が明らかに経験則上、見られたというからである:
―アトピー性皮膚炎については、ピロール米を摂取することにより2か月もすれば症状に劇的な改善が見られる
―糖尿病についても、「もはや治療によって根治は不可能」と言われてきた肥満体質の日本人男性がピロール米・野菜の摂取によるこれを「根治」してしまった。すなわち血糖値が劇的に下がったのである
―さらに緑内障についても症状に大幅な改善が見られた。これもまた現代医学ではありえないこととされているが、専門の眼科医がそろって首をかしげるような「根治例」が現実に起きている
―重大な外傷を負った患者が劇的なスピードで回復した例がある。ピロール米・野菜・茶を長年にわたり常用している老夫妻が農作業中、熊に襲われ、重傷を負った。しかし20針もの重症を負った夫人は翌日から農作業を行い、頭を「齧られた」ご主人も3日目には退院し、通常の農作業を行うほどであった。しかも両名ともに痛みをほとんど感じていない
実は他にもたくさんあるのだが、この辺にしておこう。これらはいずれも「ファクト(事実)」なのであって、いずれも医学的・科学的に説明がつく出来事なのである。後は「食べないという選択肢を選び取ること」の方が難しいというのが率直なところなのだ。
しかし、今回、「ピロール農法」の現場を訪れて確認することが出来た重大事があったのである。それはエヴァンジェリストである黒田与作氏が何故に40年にもわたって、この「ピロール農法」一筋でこられたのかという点である。例によって失礼を顧みず、率直に質問する私に対して氏はこう教えてくれた:
「実は32年ほど前、他の農業従事者たちがあまりにも呼応してくれないので、借金も重なり、もうやめようかと本気で思ったことがあるのです。しかしそこで、とある方のご紹介で師匠の薫陶を得るに至り、考え方が変わりました。私は、あの先生との出会いがなかったならば、今この様にして”ピロール農法“の開発と普及に人生を捧げることなどしていなかったでしょう」
それでは元来、書道をプロフェッショナルとして志ながらもこの道に入り、それでも挫折しかけた同氏を諭し、現在まで導いてきた精神的な指導者=メンターは一体だれなのであろうか。―――その名を神門務、筆名を「酔生」というのだという。
不覚にもその名を存じ上げなかった私が「どういった方なのですか」と聞くと、黒田与作氏は満面の笑顔でこう教えてくれたのである:
「先生は、この近所でその時、既に40年近くも自宅から一切外に出ないことで有名な方でした。しかし各界の著名人がその門を叩き、教えを請いに来る。するとどんなに高名な政治家たちであっても先生は徹底的に“けなす”のです。“お前が行っていることなど大したことではない”というのです。それである時など、とある市町村の首長が号泣してしまい、“もう2度とこんな人に会うものか”と叫んだことすらあったほどです」
実は何でもこの「先生」、戦後処理に関わったようなのである。いわばその“お駄賃”として莫大な資産を得るに至り、その後、基本的には外に出ずとも悠々自適、食事は全て店屋物といった生活を送っても金銭的に大丈夫だったのである。さすがにいぶかしく思った黒田与作氏が尋ねると、「先生」はこう答えたのだという:
「最近、小佐野賢治が捕まったが、あれなどは自分(先生)よりはるかに下っ端だから捕まったのだ。情けない奴だ」
そしたまた氏に繰り返しこう言ってきたのだという:
「良いか、与作。お前がやっている農法が必要なのは”今“ではない。しかし我が国は必ずそう遠くない将来に崩壊する。それまでの繁栄が嘘のように崩壊するのだ。私は”そうなること“をダグラス・マッカーサーGHQ司令官に直接忠告したが、事態は着実にそちらに向かいつつある。だが今度の崩壊は前回とは比べ物にならない崩壊になるのだ。なぜならば、昭和20年代の敗戦直後には”国破れて山河在り“だったのであり、土地と水が大丈夫だったからだ。しかし高度経済成長を経てしまった今は違う。経済が崩壊したからといってまともな農業に戻ることが普通ならば我が国では出来なくなってしまっているのである。そこで、ようやくお前が開発・研究している”ピロール米”の出番となる。それによって”日本的なるもの“を取り戻すのだ。それがお前の使命に他ならない。与作、泣き言をいうのではなく、歯を食いしばって”その時“までがんばれ」
私はこの話を聞いて、慄然となった。「戦後処理を手伝う中で莫大な資産を得る」「マッカーサーに直接忠告出来る立場」―――これらを重ね合わせると、一つの“立場”が出てくるのである。そう、それは我が国の根底にあって絶対に表には出ずともその全てを変える力を持っている人的ネットワークであり、同時に我が国の本当の”権力の中心“のためにその莫大な簿外資産を管理・執行している集団としての「国体」勢である。
私はこの言葉を聞いて、黒田与作氏から重大なバトンを渡されたと直観した。もはや現在進行形となった円高基調における我が国の資産バブル展開としての「日本バブル第2弾」が加速をつけた後、早ければ来年(2017年)秋からそれまでの株価急騰が嘘の様に崩壊へと転ずる局面において、最終的に生じるのは「食」という意味での我が日本民族の危機なのである。何とかしなければならないのである。そのためには、これまでの様なゲリラ戦法ではダメなのである。真正面から突き進むことはかなわずとも、もっと大きく、かつ有効な手立てがあるはずなのである。さもないと我が愛すべき同胞の生ける肉体が危ない。まさに「民族存亡の危機」が食べ物から来てしまうのである。
私は「行動」することをこの戦線についても決意した。そのことをはっきりと示すべく、ここに久方ぶりの「和文ブログ」を記すことにした次第である。同胞たちよ、sapere aude!(悟性に戻れ)。明日への道を切り開く「いのちのコメ」を今から食べるか否かは、読者一人ひとりの判断次第である(*ご関心をもって頂いた方は一度、こちらに問い合わせるのが良いだろう)。
2016年9月10日 愛媛・松山にて
原田 武夫記す