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「グローバル進出する日本企業が直面する課題」~第32回 和とチームワーク

 

欧州はすっかり春色。毎日青い空にピンク色の花々。これならうつ病患者も一気に気が晴れるでしょう。欧州では冬季のうつ病患者の割合が異常に高いのですが、やはり病は気からなのですよね…。真っ青な空に白い雲、美しい花々が咲き乱れる春になれば、誰しも笑顔がこぼれること間違いなしの美しい季節がやってきて、うきうきです♪日本のようなひどい花粉症もないですしね !

今回は、前回の「和」つながりで、引き続き「和」=絆について話してみようと思います。というのも、仕事の大きな「輪」という感覚は別として、「和」=チームワークという意味では、日本人も欧米人も差異はなく、寧ろ欧米人の方が積極的に親睦を図ろうとする傾向にあるともいえるからです。

日本でも欧米でも職場での忘年会やクリスマス会といった年次の食事会や飲み会は存在しますが、一番の大きな違いは自分記念日(笑)についての対応でしょう。少なくともフランスでは、自分の誕生日や勤続×周年記念日に、クロワッサンやケーキを買ってきたり、ちょっとアペリティフを用意したりと、自分で記念日を盛り上げて上手にコミュニケーションツールとして利用し、仕事仲間とちょっとした楽しい時間の共有を図ることで、チーム力を活性化させるのが得意です。今のところ、日本人で「今日私誕生日です」とクロワッサンを持って現れた人は見たことはありません(笑)。日本人的感覚からしたら、今日記念日だからお祝いして!と周りに強制するようなものですから、流石に恥かしくてなかなか真似できないですよね…。これが出来るようになれば、立派に海外で生活していけます(笑)。かくいう私も誕生日は数えたくないので、「かわいい息子が生まれました会」ぐらいしか職場ではしていませんが。

ですので、自分が入社や退社する際にも、自らお披露目会なり送別会を開かなきゃいけないのですよ!周りの人が開いてくれると思ったら大間違い。自分でアレンジするのです。特に送別会は重要です。駐在で来ている場合には、他国にまた駐在で行くなり、日本に帰国するなりしても、海外拠点の元仲間とは直ぐにまた直接仕事で接する機会がある場合もあれば、数年後に仕事を一緒にする可能性もあるわけで、「終わり良ければ総て良し」というわけではないですが、みんなにちょっとした食事をふるまって「今までありがとう」の挨拶をしておくだけで、その後に良い影響を与えることは間違いなしです。日本でしたら、誕生会にしても送別会にしても誰かがアレンジしてくれるのが当たり前になっていますが、ホームパーティーが大好きなお国柄ですから、「ホスト」として振る舞えるように鍛錬しておく良い機会でしょう。

こうした意味では、日本人も欧米人もなく、皆「和」を尊ぶことの重要性は理解しているのだと思います。まぁチームワーク無くして仕事はできませんから、当然といえば当然のことなのですが。

日本式であれば、職場でというよりも仕事の後の付き合いの一杯で、部下や同僚とのコミュニケーションをとりがちである一方で、欧米では職場でのカフェタイムやお昼の時間を使って、同僚とのコミュニケーションを育んでいるのが大きな違いと言えます。フランス人のカフェタイムは本当に長いです。朝来て、まずカフェ。10時半のカフェ。昼食後のカフェ。おやつのカフェ。夕方5時のカフェ。。。カフェを飲みながら仕事の話をしている、ということにしてあげなければ仕事時間がないのではないかと疑ってしまうぐらい、カフェの時間が長い(笑)。チーム力を向上するのも仕事の内と考えるからこそ、職場での時間を使ってコミュニケーションを図ろうとするのでしょう、ということにしておきます。よく、欧米では公私をはっきり分けるので、仕事後の付き合いはしないとも言いますが、それはいきなり仕事後の付き合いをしないという意味であり、この職場でのコミュニケーションでチーム力が育まれてくれば、当然仕事後の付き合いもありえます。順序があるのです。そこを間違えて、いきなり一杯付き合って話を聞いて仲良くなろうとしても断られるだけで、お互い気まずい思いをしてしまうという、文化の違いからくるよくある失敗談です。

先週言ったこととは正反対になりますが、欧米主導のグローバルスタンダードが全て良いとは言いませんが、やはり最初は、郷に入っては郷に従わなければいけないところもあります。そうしないと「きっかけ」が掴めないからです。文化の違いを理解した上で、欧米式、日本式、お互いの良いところを上手に操ることができ、日本式の良さを上手く理解させることが出来てこそ、一流のグローバルプレーヤーと言えるでしょう。ぜひ、「グローバル進出する日本企業」の一員として、グローバルプレーヤーを目指して下さい。

 

プロフィール

川村 朋子

元外交官。大臣官房儀典官室、在フランス大使館、在ガボン大使館にて勤務。
現在は在仏日系企業に勤務。留学、外務省時代、現在と在仏歴通算15年以上。

リヨン第二大学歴史学修士、リヨン政治学院DEA(博士予備課程に相当)取得
主な論文に「アンシャンレジーム期のリヨンの倒産・破産状況」「日本の軍事問題の現状」がある。

 

 

 

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