「グローバル進出する日本企業が直面する課題」~第29回 接待
先週一週間日本に出張で行ってきたのですが、いやぁ寒かったです~。東京で零下になんて昔なりました?乾燥しているせいか日本の方が同じくらいの気温でも体感温度が低く、寒さに凍えました(笑)。冬の乾燥も、こんなにひどかった??とびっくりするほど夕方には皺がくっきりで、冬の日本おそるべし!!と痛感して帰ってまいりました。冬に日本に戻るのは、考えてみれば10年以上ぶり。
さて、今回は出張中に起きた実体験をもとにグローバルスタンダードから立ち遅れている日本について指摘したいと思います。。。
出張最終日の金曜日の夜のこと。その日は東京の事務所で朝から会議やら情報共有やらで一日を終え、若手は置いてきぼりにして、東京のメンバー2名と私の直属上司そして私の4名でご飯を食べに行きました。ご飯を食べ終えて連れていかれた2次会の先は歌舞伎町。雑居ビルの上の方の階にある女の子がいるお店。噂には聞いたことにある、東京の連中が顧客接待によく使うお店です。勿論、こういうとこ行くけど大丈夫?みたいな、事前の照会は無でした。金曜日だからか混んでいるようで、店先で少し待たされている間、悩みましたよ、帰るべきか帰らざるべきか(笑)。一応仕事の続きのようなものだし。新卒の女の子だったら、こういうのムリです~ってかわいく泣きそうな顔をすればいいでしょうが、傍から見れば酸いも甘いも嚙み分けた(ようにしか見えない)いい年の(←ここにも括弧つけたい(笑))女がそんなことしてもしょうがないし、まぁ女の子が横に座ってお酒を飲むぐらいありだし、これも遅まきながら社会勉強。。。と思っている間に、一人がいつも指名しているらしい女の子がXX~って名前を呼びながら飛んできて抱きつきチュー。。。あれ、キャバクラってこんなに女の子接近していいものなの ?と思う間もなく中に入れば、スケスケの衣装の女の子たち。席について、女の子が来ても暫し硬直していました。だって、こんなお店初めてですし。それはそこ、女は皆、役者ですからね。場の雰囲気を壊さないようにすぐ、楽しそうな振りをしましたよ。この「大人の対応」と思ってしたことが全ての間違いでした。
女性のお客様は触ってもいいんです~って胸に手を当てられた時もそれが本当だと信じ込むくらい、こういうお店にはド素人の私。15分くらいたつ間に、直ぐウソだって気付きましたけど。みんな触っているし。で、ポールダンスのショーがあって、ショーの間にスケスケのドレスを女の子が脱いでティーバッグ1枚になるんですね。皆さん良くご存知かもしれませんが(笑)。まぁ、欧米なんて普通に浜辺でトップレスですし、フランスにはムーラン・ルージュだのリドだのといった有名なキャバレーもありますから、その程度はまぁ許容範囲でした。チップを持った男どもが舞台に上がって愛撫されたりしているのも、ホント男って。。。とは思いましたが、まぁこんな若い子のおっぱいでぱふぱふされたりする機会なんてないのだろうしと哀れんでいればいいだけのことで、女の子が鞭やら首輪やら色々SMグッズを持ってくるのも本物を見るのは始めてだからなるほどこんなものかと手に取って鞭振ってみるくらいの余裕はありました(笑)。というか、何故こんなところに連れてくるという怒りをぶつけました(笑)。そうしたら、調子に乗っちゃったんですよ、上司が!!舞台で叩いて欲しいとか、嫌だって言っているのに無理やり連れていかれて、お尻突き出すとか(脱いではいないけど)、どんだけ変態ですか??そういうお店でプロにしてもらうのは構いませんが、部下にそういうことさせる??完全にアウトでしょ。この辺から、私の限界値に近づき始めました。。。
一緒にいた一人がずっと席から離れていて、最初はトイレにでも行ったのかと思ったのですが、なかなか帰ってこず、仕事の電話でもしにいったのかと思っていたのですね。そうしているうちに、さっきのチューの女の子が戻ってきて、残りの男二人の手を取って消えました。。。どこ行くのかも見当もつかなかったので見届けていたら、消えた先はトイレの横。その瞬間まで、別室が存在していることになんか気付きもしませんでした。一人席に残される私。その時のいたたまれなさと言ったら。。。なんでこんな店で席に一人にされなきゃいけないわけ???というより、席でもそれなりにおさわりし放題なのに別室に行ってまですることって、何 ?それを、部下の目と鼻の先でする、ってどういう神経?もう、気持ち悪くて、限界超えました。可哀想な私の精神。。。たかだか十数人の小さい事務所での直属の上司なんて、下手すると家族よりも一緒にいる時間が長く、話す時間も長いような相手が、二十歳の女の子に数メートル先で何をしてるのかされてるのか知りませんが、何らかのセクシャルな行為を行っているという事実に完全にメンタルやられました。もう気持ち悪い以外の何物でもない。どうにもうけつけない。顔を見るのや、話をするなんてもってのほか。メールを読めば吐き気がし、たった3行返信メールを打つだけでも震えが止まらなくなる拒否反応。会社に行けなくなりました。。。
これって、私が悪いんですか ? こういうのが大丈夫な女性なんて本当に存在すると思っているんですか ?
この程度のことは日常茶飯事なのか、それともある特定の企業でしか起こってないようなことなのか私には分かりませんが、業界によっては未だディープな性接待が行われているところがあるのも事実です。しかもそういう企業に限って、日本を代表するブランドであったりするから、目も当てられません。ここで企業名挙げる気はありませんが。それが当たり前と思っている人たちには、それがグローバルスタンダードからはるかに外れた行為であることが理解できないのでしょう。グローバルに展開しているようで、実はひどく限られた世界常識の中でしか生きていない企業とその企業戦士、こんなことを続けていたら、グローバル世界で未来がないのだけは確かです。
プロフィール
川村 朋子
元外交官。大臣官房儀典官室、在フランス大使館、在ガボン大使館にて勤務。
現在は在仏日系企業に勤務。留学、外務省時代、現在と在仏歴通算15年以上。
リヨン第二大学歴史学修士、リヨン政治学院DEA(博士予備課程に相当)取得
主な論文に「アンシャンレジーム期のリヨンの倒産・破産状況」「日本の軍事問題の現状」がある。