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高専が日本の未来を担う IT都市の特徴とは?(IISIA研究員レポート Vol.23)

エストニア勢は「電子国家」としてよく知られている。

エストニア勢では「e-レジデンシー」と呼ばれる制度があり、エストニア勢に居住しておらずともヴァーチャル市民の権利を取得してオンラインで会社の設立や経営が可能となっている。

コロナ禍におけるコミュニケーション・ツールとしてよく使われたオンライン通話の「Skype」も実はエストニア勢で生まれたサーヴィスであるが、その創業者もスウェーデン勢及びデンマーク勢の出身で本社はエストニア勢には置かれていない。

(図表:エストニア勢)

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(出典:Wikipedia)

さらにエストニア勢では行政手続きについても電子化がすすめられ、その99パーセントが「eIDカード」と呼ばれる1枚の身分証明カードで完了する。我が国における「マイナンバーカード」のように国民一人一人に番号が割り振られており15歳以上の国民は「eIDカード」の保持が義務付けられている。

我が国の中でエストニア勢のような業務改善やデジタルIDの発行に向けて動き出したのが熊本県八代市である(参考)。

(図表:熊本県八代市)

八代市

(出典:Wikipedia)

八代市では市役所とトヨタ自動車九州に勤める職員を中心として「CivicTech」、つまりITを活用して行政の問題を市民が、市民の問題を行政が相互に解決し関係強化を図る取り組みが進められている。

なぜトヨタ自動車がこの取り組みに積極的に参加するのだろうか。

世界的に脱酸素化が進められる中、従来の自動車産業は大きな転換を迫られている。そんな中でトヨタ自動車は「コネクテッド・シティ」構想として静岡県裾野市での「ウーブン・シティ(Woven City)」建設を発表した(参考)。ITを中心とした街づくりに乗り出したのである。

こうした街のIT化の取り組みで必要なのがIT技術者の人材確保である。

実は我が国において実務レヴェルのIT技術者輩出を支えているのは高等専門学校である。トヨタ自動車を含め産業界においては人材獲得が課題である中、高等専門学校から人材を直接に獲得できることは大きな利点となる。

八代市に立ち返ってみれば同市内にはIT等に関わる学科を持つ熊本高等専門学校が八代キャンパスを置いている。現地で高等専門学校卒業の技術者を獲得することはIT化を進める中で重要である。

静岡県裾野市については比較的近い同県沼津市に沼津工業高等専門学校が所在している。

「ウーブン・シティ(Woven City)」建設、そして運用に関わる人材確保という観点からは立地の条件は良いと言えるだろう。

 

我が国にある高等専門学校の多くが情報学科などITに関わる学科を設置している(参考)。

トヨタ自動車が進める「ウーブン・シティ(Woven City)」のような実験都市建設、また熊本県八代市のような行政のIT化といった動きが今後、高等専門学校を持つ地域から広まっていくことになるのか。引き続き注視していきたい。

 

グローバル・インテリジェンス・ユニット リサーチャー

佐藤 奈桜 記す

 

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