ゴールを起点に色々な辿り方を考える(連載「現場課題を乗り越える思考と行動のフレームワーク」その1) – IISIA 株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 – haradatakeo.com
  1. HOME
  2. ブログ
  3. ゴールを起点に色々な辿り方を考える(連載「現場課題を乗り越える思考と行動のフレームワーク」その1)

ゴールを起点に色々な辿り方を考える(連載「現場課題を乗り越える思考と行動のフレームワーク」その1)

本日より全六回にわたり「IISIA特別コラムニスト」としてIISIA公式HPでコラムを執筆させて頂く事となりました、大橋祐介と申します。

本コラムでは経営コンサルタントとして国内外の顧客の現場で直面した筆者の実体験を基にした、「現場課題を乗り越える思考と行動のフレームワーク」について取り扱います。主にジュニア時代に参画していたプロジェクトのエピソードが中心ですが、数年経った今から振り返っても、あらゆるタイプの組織が陥っている普遍的な課題だと日々実感しています。経営コンサルタントの業務を通じて得た学びや企業現場でのノウハウを六回にわたって発信していきますので、あらゆる場面でちょっとした状況の変化が発生しても柔軟に対処できる“思考/行動のフレームワーク”として読者の皆様の指針となれば幸いに思います。

第1回目の寄稿となる今回は『ゴールを起点に色々な辿り方を考える』について書かせて頂きたいと思います。既存の枠組みから脱却して新しい活路を見出すことを目的として、顧客企業の中には新規事業立上げや異業種との合弁事業発足による会社機能の拡張を目指すケースが増えてきています。そのような取り組みの中、下記のような現場課題に陥っている企業が多く見られます。

☑コンセプトレベルの事業の方向性は定められているが、「何をすればゴール達成するか」という達成基準と行動ステップが定まっていないため、メンバーがゴールや業務に対する納得感を感じず、組織における自分の役割や貢献する方法を見いだせない。ざっくりとした方向感は同じだが足並みがそろっていない「風見鶏」のような組織に陥っている。(特に新規事業のプロジェクトではよく事業計画で掲げた売上数値と行動計画の紐づけが十分でなく、何を行動すれば何を達成ができるかが不明瞭なケースというのが往々にしてある)

☑ 直近の行動計画は立てているが、「全体から考えた注力ポイント」を決めていないので、その行動がどれだけ全体の中で優先すべきものなのかが 判断できない。いつの段階でどこまで進めるべきかというステップ曖昧であり、目の前にある引き合いを下から積み上げていけばよい、何事も やってみないと分からないといって近視眼で目の前のことで頭が一杯になっている。いわば「棚から牡丹もちを待っている」状態に陥っている。

これらの課題の裏返しを言えば「達成基準と行動ステップを明確にする」「総合的に優先度が高くて効果の大きい施策に注力する」ということになります。似たようなツールや方法論は世の中にありふれており、いわゆる“戦略ロードマップ”、“判断クライテリア”、“投資グランドデザイン”などといったBuzzwordと共に語られることが多いです。しかし、そういったツールが十分に普及していてもやはり課題は無くならないという事実を考えるとより一歩高い視座で本質を見るべきだと思います。

本質的には、ゴール達成に向けて下から積み上げていくのではなく、目的が達成されたゴールの状態を明確にイメージし、あるべき像から逆算して全てを考えるということに尽きます。ゴールとは取り組むべきことの目的、目標、そして成果を指します。これに対して、「いかに到達するかというシナリオ」を考え抜く必要があります。

ゴールから逆算してシナリオを考える。このシナリオにはあらゆる変化を加味して色々なケースを想定しなければなりません。計画、体制、優先順位といったあらゆる変化に対して、過度に拒否することなく、前向きな姿勢で柔軟に取り組むことができ、キーパーソンの相手のツボと落としどころを鑑みたシナリオ合意が必要になります。この思考プロセスを何回も踏むことで、あるべき像とアプローチの両方が具体化され、より確度の高い実行性のあるものになります。

目的をクリアに精緻にした上でそこから逆算した道(=シナリオ)を描くこと、これが重要なのです。シナリオを描く余裕を持ってシミュレーションを何回も続けることで、自分が何をすべきなのかという存在意義と貢献価値に気づくことになります。何がボトルネックなのかが見極められ、そういった障害を突破できるようになると自分の役割に目が向き、はっきりとした独自性を発揮しようと動けるようになります。

リーダーシップ論、マネジメントフレームワーク、プロセスコンサルテーションといった組織の価値を向上するツールも、あくまでも手段であり、シナリオを考えずに活用しようとしてもなかなか上手く行かないのはそのせいです。自身の向かう方向に対して積極的に貢献してくれない、あるいは無関心なメンバーがいた場合、それが足枷になるのは自明ですが、解決しようと特に目下の組織での状況を鑑みずにこれらの抽象的な方法論を「モグラ叩き」のように試していっても大きな効果は期待できないでしょう。これらの方法論を使う前提は「いかに到達するかというシナリオ」を考え抜いていることです。このように定義づけることが大きな飛躍の一歩になると思います。

先ほど言及したプロジェクトでは、ボトムアップで思いついたことを行動計画に落としただけの組織は、「風見鶏」で「棚から牡丹もちを待っている」状態、推進組織は優先順位の判断が無く、成果も可視化できていませんでした。しかし、組織としてのミッションとゴールを明確にし、行動計画と結果が一元化できる指標を元にモニタリングし、成果を判りやすくしたことで「シナリオ」を考える土壌が整いました。徐々にシナリオが精緻になって現場での議論も深まり、マネタイズ(利益ポイント)を意識した売り方に注力し、各メンバーが組織だけでなく自分のミッションも見出すようになりました。この瞬間から現場が大きく変わったのは言うまでもありません。このように、何から考えるか?という行動規範が組織の中で浸透すると、目的達成に大きく近づきます。またこの浸透を率先して進めたメンバーは現場に感動を与え、組織を牽引する存在へと進化します。

 

【執筆者プロフィール】
大橋祐介(おおはしゆうすけ)
慶應義塾大学卒業後、経営コンサルティング・ファームに参画。戦略、マネジメント、オペレーションを総合俯瞰したコンサルに価値を置く。国内外を跨いだ数々のプロジェクトに従事し、直近では合弁会社設立や新規事業立ち上げに参画。アメリカ発祥の国際的非営利教育団体Toastmasters Internationalにてエリアディレクターも務める。

 

関連記事