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なぜ誰も「第3次世界大戦になる」と言わないのか?(原田武夫の”Future Predicts.” Vol. 73)

昨晩(6日夜)遅くから京都に来ている。外交官であった時代より、「春」しかも「桜の季節」はどういうわけか、花見すら出来ない日々が続いていた。本当は春の訪れを存分に楽しみたかったのであるが、外交(diplomacy)とりわけ対日外交となると4月の頭こそ、一番我が国が美しい季節だということを外国の賓客たちは知っている。だから外務本省に勤務していると、とにかく外国からの賓客がひっきりなしに「桜のシーズン」ともなるとやって来るので忙しかった。しかも(今年(2026年)は違うが)4月となると、3月末には政府予算案が参議院でも通過するので、外交関連の国会での各委員会での審議が一斉に始まる。外務省は所管となる委員会が多いことで知られており、下手をすると一晩で質問通告を受けた件数が全部で240問(‼)などという事態に陥ることになる(1つの担当課・室において、である)。したがって、霞ヶ関もまた桜で美しい場所ではあるが、およそ窓外の桜花などを眺めている暇などないのである。20代から30代前半はそんな時代だった。

しかし今や昔、なのであって「今年こそは」と考え、桜の時期には少々早いけれども、京都でしばし過ごすことにした。折しも同志社大学で所属している学会の研究会が行われるのだという。これにかこつけて、しばし京都に滞在することにした。無論まだ桜は咲いていないけれども、ほんの少しだけ和らいだ様子の京都の街並みを見るのが、今はただ心地よく感じられてならない。

そうした中で世間は変わらず「騒然」となっている。「神事」の師曰く、「月」を巡りなにやら暦が揃ったタイミングであったらしいが、その瞬間を狙って米国勢とイスラエル勢がイラン勢を遂に攻撃し始めたことで戦争が始まった。イラン勢は明らかに大混乱に陥っており、トランプ米大統領は「早いところ次の指導者を選ばせろ、ただし自分(同大統領)の承認が必要だ」と言ってやまない。イラン勢はというと指導部が混乱していることは確かなのだが、「革命防衛隊」による応戦は一向の止んでいないのが実態だ。イスラエル勢も猛攻を続けているようだが、イラン勢はとにかく「中東勢の地域全体を完全に破壊する(complete destruction)」と言い出しており、戦争は止まる気配が無い。せめてもの救いといえば救いなのが、このコラムを書いている段階(7日午前)ではまだ中国勢とロシア勢がイラン勢の側に立って参戦していないという点だ。イラン勢は「陥落寸前」であるかの様に見えている。だからこそ、「今のイラン勢は、1980年代になって崩壊寸前となった東ドイツ勢(当時)を何とか守ろうとした計画”Mielke Plan”に酷似した、何とも無謀な状況だ」といった言説(narrative)すら”流布”されている有様だ。

そうした中だからであろう、我が国の防衛関係者の口からはある種の「自信」の声すら聞こえ始めているのが気になる。曰く、「今回の戦乱は拡大はしない」というのである。「イラン勢は完全に追い詰められており、圧倒的な軍事力を持つ米国勢、そして優れた技術力を実装した兵器を持ったイスラエル勢を相手に全くもって勝ち目がない」というのである。グローバル金融マーケットはというと「戦乱の長期化」を前提とした動きに移りつつあることが明らかであるだけに、こうした我が国防衛関係者による(ある意味無責任な(根拠のない))”言説の流布”が目立ってならない。

こうした状況を見て、筆者は先の大戦において、我が国の「大本営参謀本部」も全く同じであったのだろうと強く感じている。あの時は当初、「北進」すなわちソ連勢(当時)と開戦をしてまずは北の守りを固めてから南に海軍を進めるか、あるいは「南進」すなわちまずは油田、特にインドネシア勢の油田を確保すべく奇襲攻撃を仕掛けるべきであって、ソ連勢との関係では「日ソ不可侵条約」があるから大丈夫だという楽観論が対立していた。結果、我が国の「大本営参謀本部」はというと、その直前に大敗を喫した「ノモンハン事件」の責任を上乗せされないようにと「南進」論に決定し、昭和の大帝の裁可を得た。しかし、その後、結果としては1945年8月の「敗戦」ギリギリになってソ連軍の大規模な侵攻が行われ、多くの日本人、特に「満蒙開拓団」として彼の地に送られた同胞たちの尊い命と尊厳が失われたことは歴史の事実なのである。

この10年ほどの間、インテリジェンスのメンター(マスメディアでコラム?を書きなぐっている曰く「異能の人」ではない)から繰り返し言われてきたことがある。「金準備の拡大に努めている状況からすると、ロシア勢はほぼ間違いなく開戦するはずだ。いずれにせよ、我が国にとってロシア勢が極めて重要な存在になる。そのことを忘れないように。ある意味、米国勢ではない。ロシア勢こそがカギを握ることになる。その時に相手と話が出来る様に、あらゆる手段を使ってチャネルを構築しておくように」

今が「その時」なのだと筆者は本能的に強く感じている。ロシア勢とイラン勢は「パートナーシップ条約」を先般締結したばかりである。したがって国際約束に則り、ロシア勢は窮地に陥っているイラン勢に手を差し伸べる大義名分を持っている。これはある意味、「国際法」を真正面から蹂躙している米国勢よりも「大義名分」がある話だ。米国勢もそのことを熟知しており、ロシア勢に対して予防的な措置としてある種の「見返り」を与えるためであろう、インド勢をして一定量のロシア産原油の取引を認めると米財務省を通じて言い始めた。中国勢は来月(4月)早々に米中首脳会談を実施する予定であり、とりわけ朝鮮半島情勢を巡り「利益分割」をすればまだ抑えられると踏んでいる様に見受ける。しかし、ロシア勢はというと「ウクライナ戦争」についてまだ利権配分が完了していないのである。そうである中、イスラエル勢といえば、ウクライナ勢から旧ソ連時代に事実上、追放された多くのユダヤ勢を抱えている国なのであって、ロシア勢としてもそうした過去の記憶及び地理的なつながりから、「反ユダヤ勢闘争」としてこの戦争をプレイアップする可能性は十分残されているのである。無論、表立っては決してそういった言説をさしものロシア勢も真正面から主張しないであろう。表立ってはあくまでも上述の様な「国際法」に則っての動きとなるはずだ。しかし、結果としてはユダヤ勢の中でもとりわけアシュケナージ勢を封じ込める、かつアラブ勢との決別というモチーフは、「キリスト教世界」を指導するヴァチカン勢を背後において実質的な存在とする「アーベントラント(Abendland)」の一翼を担う、とりわけドイツ勢、フランス勢、さらにはその反射的効果を受ける存在としての英国勢にとって同調に値する「隠されたアジェンダ(hidden agenda)」なのだ。その結果、然るべきタイミングでロシア勢はイラン勢へと得意の「偽旗作戦 (false flag operation)」を駆使して軍事支援を公然と行い、やがて参戦する可能性がある。すると、米国勢に対して装備品を提供し始めているドイツ勢を筆頭に、西欧勢はロシア勢の「敵国」として認識され、「欧州大戦」が始まる可能性があるというわけなのである。「西欧勢はユダヤ勢、そしてアラブ勢からの決別という意味で軌を一にしているのでは?」と単純に思うことなかれ。それはあくまでも統治エリートのレヴェルでの話なのであって、市井のレヴェルではあくまでも「人口調整」のための戦乱が展開されるに過ぎないというわけなのだ。

ここに来て急に行われた日独電話首脳会談に際し、高市早苗総理大臣は事もあろうに一歩踏み込み、イラン勢に対する軍事攻撃を支持するかの様な示唆的発言をしたように見受ける。19日(米東部時間)には日米首脳会談を控えているが、その際に「明確な支持表明」をトランプ米大統領から求められることは目に見えている。いや、それ以上に「在日米軍基地のそのための使用」そして「自衛隊の派遣」すら求められることになるのもまた目に見えているのである。

「湾岸戦争の時と同じではないか。所詮、最後はカネを出せば良いはず」

そう侮ることなかれ。なぜならば、上述の展開の延長線上での出来事であれば、我が国と国境を接しているロシア勢こそ、交戦当事国だからだ。だからこそ、今私たち日本勢が考えるべきなのは「ロシア勢との関係性をどうするのか」という1点に絞り込まれてくるのである。それを見込んで中国共産党勢という意味での中国勢のコア中のコアからは先月(2月)上旬にメッセージの伝達があった。これについては我が国政府の然るべき部署に筆者から伝達をしておいた次第である。無論、現在の高市政権にはその様な「戦略的複眼」はないわけであるし、行動力も決断力もあるはずがないことは知っている。しかし少なくとも「そこまで」を見込んでの思考・準備が必要であるということを、我が国外交当局の要路にはこのタイミングで刷り込んでおくことが「事態が急変し、結果、全てが崩落してしまった後」に向けて必要だろうと思い、伝達した次第である。

是非、読者の各位におかれてはモスクワ(というか、ロシア勢の中心は「サンクトペテルスブルク」なのであるが)の動きを注視してもらいたいと強く願う。なぜならば昭和の大帝の「遺言」もまた、モスクワとの関係性に関わるものであったのだからだ。「ロシアこそ、問題だ(It’s Russia that really matters.)」なのである。徐々に春めいていく京都の様子を御所脇の窓外に眺めながら、今はただそう思っている。May the eternal peace prevail in the world.

2026年3月7日 京都の寓居にて

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 ファウンダー/代表取締役CEO/グローバルAIストラテジスト

原田 武夫記す

(*弊研究所では引き続き、こうした「次の次」の時代を共に創造するメンバーを募集しています。こちらこちらの記事をご覧頂き、是非ご関心のある方は「Pax Japonicaに対するご自身の想い」を400~600字以内でまとめた上でメール(recruit●haradatakeo.com(●は@です))までご連絡下さい。皆様のご応募をお待ちしております。)