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2025年の「本当の焦点」は何か?(原田武夫の”Future Predicts”. Vol. 24)

いよいよ年の瀬となった。つい先日まで異様に暑かった陽気もここに来てすっかり「冬の装い」となり、年末の流れをより一層引き立てている。そうした中で「来年(2025年)は一体どんな年になるのだろうか」と思いを馳せている読者の皆様も数多くいらっしゃるのではないかと思う。

「2025年こそ激動の年であり、そこから最低でも3年間、そしてまずは2033年まで続くフェーズがそこで始まるのであって、その中で生じる”矛盾”の解決は2045年になってようやくもたらされることになる。」

昨日(20日)にリリースした音声レポート「週刊・原田武夫」においても詳述したのだが、これこそが弊研究所が従前より公に提示してきている分析ラインである。長かったコロナ禍の時期が過ぎたのだから、そこから先はもう世の中が変わることはない、あるいは面倒なので変わって欲しくないと考えている方は我が国、そしてグローバル社会の中において大勢いるのではないかと思う。しかし、「ここで終わり」ではなく、むしろ真逆であることをあらためて認識しておく必要があるのだ。

そしてそこでのキーワードをあえて一つ挙げるとするならば「解き」ということになってくる。そう、これまでの”全て”が解かれ、仕組みや構造が音を立てて崩れて行くのである。「私は・僕は関係無い」などと夢にも思ってはならない。なぜならば地球上で生きている全ての人類はまたぞろこの「解き」の渦の中に巻き込まれるのであり、その中でも「次はどうなるのか」「そこで生き残るためには何をすべきなのか」と日々彷徨い、考えあぐね、失敗を重ねた上でほんのひと握りの人たちだけが生き残るという流れの中に追い込まれることになるからだ。

端的に言おう。このために選ばれたのが米国のトランプ次期大統領なのである。しかも彼は「このこと」を熟知しており、決して自分一人だけでこの大役がこなせるとは思っていない。そのことは既に「右腕」として企業家イーロン・マスクを常に従えているところから分かるのである。そしてこのペアがどれくらいの威力を持っているのかは、ここに来ていわゆる「つなぎ予算案」を通そうとする米連邦議会の民主・共和両党の議員たちに対してまずはイーロン・マスクが公然と、しかもソーシャル・メディア上で反対の意を唱え、さらにはトランプ次期大統領がこれに加勢したことで国民たちから非難の声が殺到。結果として同法案はいったんは否決の方向に追い込まれたことからも明らかなのである。「政治の現場」であるべき米連邦議会(Capitol Hill)ではもはや政治が動かされてはいないのであって、その「外側」において、ソーシャル・メディアを通じた民意の誘導・動員であの米国という大国が動かされ始めているのである。これ自体が既に巨大な「解き」であるわけだが、さらにこの後に無数の「解き」が続くことは想像に難くないのだ。

目を欧州に転ずると同じく、大変な騒動がそこでは生じつつある。どこから見ても「欧州系国際金融資本の僕(しもべ)」としか見えないマクロン仏大統領による政権運営は、巨額な財政赤字の発生により行き詰まりを見せている。そして隣国ドイツでもショルツ政権が同様の行き詰まりを見せ、「総選挙しかない!」ということになっている。そうした中に今度は国境を越えて加勢し始めているのがかのイーロン・マスクなのだ。「ドイツを救うのは『ドイツのための代替選択肢(Alternative fuer Deutschland)』党でしかありえない」とツイートすることにより、議論を盛んに吹っ掛け始めている。右翼保守政党、しかもかつてのナチズムの信奉者に支持されていることで知られる同党が優位に立つことになれば、これまでのドイツの在り方がその国内のみならず、欧州勢全体の中で激変するのが目に見えている。そしてその状況が想起される時、私は同時に、かつてメドヴェージェフ露国家安全保障会議副議長が行った「謎のツイート」を思い起こすのである。

「ドイツとフランスが近々、軍事衝突の事態にまで関係を悪化させる。これで既存の欧州秩序が激変する。」

これを読んだ時は確かに「バカな、そんなはずはない」と想ったものだ。しかし、今はどうだろうか。火付け役としてのイーロン・マスクの姿を思い起こすと「さもありなん」と想えてしまう自分がいる。

ひるがってそれでは我が国についてはどうか。―――確かに一見したところ(あくまでも米欧との比較においてであるが)「安定している」かの様に見えなくもない。いつ見ても眠そうで、疲れていそうな石破茂・総理大臣の様子はともかくとして、何とか立法府・行政府・司法府は我が国において機能しているかの様に見える。だがその実、これらについていずれも薄氷であることは、(1)「SNS選挙」によって実は我が国の民主主義(デモクラシー)も操作可能性がかなりあることが判明したこと、(2)まずは地方自治体レヴェルで首長と公務員たちの間で「既得利権」を巡る闘争が激しくなってきており、兵庫県を筆頭に機能不全にまで陥っていること、(3)「起訴されたらば99%は有罪」と言われていた我が国の刑事裁判において実は冤罪が公然と存在していたことが明らかとなり、検察が立ち往生し始めていること、の3つを顧慮すればすぐに分かることなのである。

しかも我が国ほどソーシャル・メディアを「愛する」人々が暮らす国はないのである。無論、いくら「日本好き」「日本贔屓」だといってもイーロン・マスクがツイートしたところで我が国の民心が動くことはないだろう。またこれまである意味、同じ役割を果たしてきた「IT長者たち」(例:孫正義)が同じ様につぶやいたところで効果は薄いはずだ。しかし、2025年から「新たにビリオネアとなる日本人起業家」が忽然と登場し、かつこれらのアントレプレナーたちが盛んに、これまでとは全く違う角度から、時には「それ、買っちゃってよいですか?」とのたまわりつつ、轟然と社会改良を始めるとするならばどうであろうか?折から高まっている「SNS選挙」における動きとこうした流れが合流することで、「これまで」の全てが解かれ、我が国においても音を立てて崩れて行くことは容易に想像出来るのではないだろうか?

「解かれることは分かった。それでは”その先”においては何が一体生じるのか?2025年の本当の焦点は何か?」―――そう思われた方は是非、昨日(20日)に「年末進行第1弾」と称しつつ、かつ1月25日(来年)に上梓する恒例の「予測分析シナリオ」に向けたカタパルトとしてリリースした音声レポート「週刊・原田武夫」をじっくりとお聞きいただければと思う。実はこれから生じるのは、こうした社会的な大騒動のレヴェルに止まるものではなく、もっとより根源的であり、我が国についてだけではなく、人類社会全体に対して深く意識の転換をもたらす「重大事」なのである。それでは一体それは何であり、今から私たちは何をすれば良いのか?―――これこそが、年の瀬、さらには初春を迎える私たち全員が今熟慮しなければならない「本当の問題」に他ならない。私はそう、考えている。

2024年12月21日 東京の寓居にて

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 ファウンダー/代表取締役CEO/グローバルAIストラテジスト

原田 武夫記す

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本日のコラム、如何でしたでしょうか?弊研究所では来年1月、恒例の「年頭記念講演会」」を開催致します。今回取り上げたテーマも含め、じっくりとお話をさせて頂きます。ご関心を持たれた方はどうぞ、こちらから講演会の詳細をご覧ください。皆様のお申込み・ご来場をお待ち申し上げております。