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平和の女神“Pax”が語る世界イメージとは何か?(“情報リテラシー”教育の発展とその向こう側(Vol.20))

皆様にご覧いただいている「社会貢献事業ブログ」も、今回で20回目を迎えました。投稿すると欠かさずにチェックしてくださる方、そして温かいコメントをくださる方。いつもありがとうございます。

本題に入る前に、過去の社会貢献事業ブログの人気ランキングを大公開!

(※2024年4月1日~12月31日のページ閲覧数を参照。タイトルをクリックすると記事が読めます。)

ランキングを見て、「あ~、あのブログ読んだわ!」と思い出していただけていましたら幸いです。上記の記事をはじめとする社会貢献事業ブログは、皆様の何かを“想う・思考する”きっかけとなるよう執筆しております。お時間のある際にご覧いただき、アンケート(本ブログのアンケートURL: https://form.run/@bdg-gGcHeNdjRAhgMh17v3uQ)にてご感想等いただけますと非常に嬉しく思います。・・・それでは、今回の本題に入ってまいります。

・・・

さて、弊研究所のヴィジョン(追及する世界イメージ)は、“Pax Japonica(パックス・ジャポニカ)”であるが、これと全く同じタイトルの分厚い書籍がある。弊研究所ファウンダー/代表取締役CEO・原田武夫が2017年に英文で出版した書籍“Pax Japonica -The Resurrection of Japan-”である。ご覧になった方はいらっしゃるだろうか。同書籍は、弊研究所が実施している“アントレプレナーシップ教育(情報リテラシー教育)”参加学生へもお渡ししたことがある。なぜなら、未来を担う彼らが、我が国の姿を正しく認識し、今後の我が国をあるべき姿にadjustするという思考と強い意志を持ってほしいからである。“Pax Japonica”が何を示すか、長年弊研究所会員制サーヴィス「原田武夫ゲマインシャフト」の会員を続けられている皆様にご説明の必要はないだろう。しかし、今回は社会貢献事業ブログだからこそ、今一度弊研究所のヴィジョンである“Pax Japonica(パックス・ジャポニカ)”について皆様と一緒に考えたいと思う。

はじめに、“Pax”はラテン語である。ローマ神話に登場するPaxは、ローマの王神ジュピターと女神ジャスティスの娘とされている。彼女が、ローマ帝国の美徳の一つであった「平和」の擬人化だったことから、Paxは以降「平和」という意味の単語として使われてきた。

(写真:サンクトペテルブルクに所在するPax像)

(参照:Wikipediaより)

(本ブログ執筆のためローマ神話の女神Paxについて調べていたところ、弊研究所とゆかりのあるサンクトペテルブルク市内の「パブロフスク庭園」所在のPax像が有名と知り驚いた。)

おそらく、学校の授業で“Pax ○○”という用語を耳にしたことがあるだろう。筆者自身も学生時代に世界史の授業で「パックス・ロマーナ」や「パックス・アメリカーナ」と習った。前者は、紀元前一世紀末のアウグストゥス帝時代から五賢帝時代(高校生の時、五賢帝:ネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウス、マルクス・アウレリウス・アントニヌスを呪文のように唱えて覚えたのを思い出しました笑)までの約200年を古代ローマの黄金時代として捉えた呼び名であり、後者は一般に、IMF=ドル体制、GATT体制(1947年に署名された「関税および貿易に関する一般協定(General Agreement on Tariffs and Trade)」に基づく国際協定体制)、冷戦体制として現れた世界的政治軍事体制という米国勢の一極体制によってもたらされた世界の均衡を意味する。

他にも、大英帝国勢が世界の海を支配していたとされる1815年(ワーテルローの戦い)から1914年(第1次世界大戦勃発)までの期間に“最強の資本主義帝国”となったことにより、相対的に世界平和が保たれた時期を示した「パックス・ブリタニカ」や、騎馬を中心とするモンゴル人の機動力によって軍事的に安全を確保された時代を示す「パックス・タターリカ」という用語も存在する。つまり、“Pax Japonica(パックス・ジャポニカ)”の直訳は、「我が国の平和」であり、すなわち我が国を筆頭にもたらされる「我が国と世界の平和」を示すのである。

上記のような意味を持つ“Pax Japonica”とタイトルがつけられた書籍。わざわざ英文で執筆されたわけであるが、何が書いてあるか知りたくはないだろうか。

(画像:書籍Pax Japonica)

(参照:弊研究所)

同書の目次は、以下のとおりである。(※日本語訳は筆者によるもの。)

序文

第1章:The ‘Pulling-Character’ and ‘Passiveness’ of Japan(「引っ込み思案」で「受動的」な我が国(日本人))

第2章:Japan as a State of Failed Innovation(イノベーションに失敗した我が国)

第3章:The Truth of Japan’s Pacifism After 1945(1945年以降の我が国の平和主義の真相)

第4章:Resurrection of Japan’s Gold Warriors(金塊を巡る我が国の復活)

結論

4章構成の同書は、“In memory of Shunsuke Kagawa, a Gold Warrior sacrificed for ‘Pax Japonica.’”(「Pax Japonica」のために犠牲になったGold Warrior、香川俊介氏を偲んで。)という一文から始まる。

簡潔に内容について述べると、「日本バブル」の再来とそれに続く「日本デフォルト」の発生、更にそこから不死鳥の如く復活(resurrection)し、“Pax Japonica”の時代が到来するというシナリオを描いている。

第1章では、我が国を構成する国民について焦点を当て、「日本人とは何であるか」「日本国の性質は何か」について述べている。第2章では、まずEzra F. Vogelが“Japan as Number One: Lessons for America”(1979)を出版した際、日本の戦後の成功のカギは「集団による知識の探求(group-directed quest for knowledge)」と述べたことを指摘している。国際的には“日本は経済的に成功した”と評価されたが、実際には、日本人は外国勢からの圧力から消極的に耐えるだけであり、知識をため込むものの、それをイノベーションには生かさなかった(=「0→1」を生み出す者はほとんどいなかった)我が国の体制と戦略について解説する。第3章では、平和主義を取り上げた上で憲法とPax Japonicaの関連性について示し、第4章では、山下財宝をテーマとしてスターリング・シーグレイヴとペギー・シーグレイヴによって記された”Gold Warriors: America’s Secret Recovery of Yamashita’s Gold“内で、戦後その金塊を冷戦中の財源として利用したと主張していることを一つの参考としつつ、金塊の動きからPax Japonica実現のためのカギについて語っている。

同書籍内で語られている内容を理解すると、弊研究所会員制サーヴィス「原田武夫ゲマインシャフト」で弊研究所代表・原田武夫が日々語る「音声レポート『日刊/週刊・原田武夫』」や、「IISIAデイリー・レポート」等の内容理解が深まると確信している。ご興味のある方は、是非一度本著を手に取ってお読みいただき、皆様のご感想やご意見を伺いたい。

今回のブログでは、弊研究所のヴィジョン“Pax Japonica(パックス・ジャポニカ)”について取り上げた。社会貢献事業部に所属する筆者としては、今後も数回に分けて、読者の皆様と共に“Pax Japonica”について理解を深めていきたいと思う。

 

【参考文献】

・[Harada 17] Takeo Harada, “Pax Japonica -The Resurrection of Japan-” , LID Publishing.

・[Peace Palace] Peace Palace website, “Pax”, URL: https://www.vredespaleis.nl/peace-palace/interior/sculptures-peace-heroes/pax/?lang=en.

・[河村 24] 河村哲二, 「グローバリゼーション/ディグローバリゼーションのダイナミズムと経済システムの変容―制度・組織革新とシステム形成の視点から―」, 「イノベーション・マネジメント」2024年21巻p.35-70., 法政大学イノベーション・マネジメント研究センター (2024).

 

※当ブログの記述内容は弊研究所の公式見解ではなく、執筆者の個人的見解です。

 

事業執行ユニット 社会貢献事業部 田中マリア 拝

 

ご覧いただき、ありがとうございます。本ブログに対するご感想などは、ぜひこちら(https://form.run/@bdg-gGcHeNdjRAhgMh17v3uQ)までお寄せください。

 

【筆者プロフィール】

田中マリア:高校2年次と大学4年次にそれぞれ約1年のオランダ留学を経験。大学では、オランダ学と社会教育学を専攻し、卒業論文は「日本の初等教育の改善-モンテッソーリ教育からの示唆-」というテーマで執筆した。大学卒業後は、一般保育園にてフリー保育士としてパート勤務をしながら、国際モンテッソーリ教師資格(3-6歳)を取得。2024年4月より株式会社原田武夫国際戦略情報研究所ヘ入所。現在、社会貢献事業を担当する。

 

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