「ニッポン不動産バブル」こそ彼らの本当の狙いではないか?(原田武夫の”Future Predicts”. Vol. 35)
「トランプ関税策」が事前通報どおり、容赦なく発動された。それに先駆けて、弊研究所からは公式YouTubeチャンネルにおけるコラム(1日配信開始)を通じて「世界同時株安」の発生可能性について警告を発したわけであるが、果たせるかな、早々とその様相を呈し始めている。しかし、「ここで終わりではない」というのが現段階における弊研究所の基本的な見解である。なぜならば「今回はいつもと違う(This time is different.)」からだ。そのことをまずは繰り返しておきたいと想うのである。
筆者が外務省を自らの意思を持って辞して以来、一貫して申し上げてきたことがある。それは次の一点である。
「これから生じるのは我が国VS.それ以外の諸国勢の全てという構図の中で、我が国の国富が根こそぎ奪われていくという事態である。そうした対日攻撃の先頭に立つのが米国勢であり、搦め手に立つのが英国勢。それらが混然一体となって我が国に立ち向かってくる中、私たち日本勢は否が応にも抜本的な覚醒を促されることになる。」
大暴落を続ける世界中の株価を尻目に、なぜか盛んに買われ始めているものがある。それは何を隠そう、我が国の法定通貨「日本円」である。しかし考えようによっては実にこれは不思議な話なのだ。なぜならば「トランプ関税策」という貿易戦争を通じて真っ先に被害を受けるのはトヨタを筆頭とした我が国産業界なのである。そうである以上、我が国が景気低迷に陥ることは間違いないのであって、よりによってその国の法定通貨である日本円(JPY)を買い進める動きが今この瞬間に生じるというのは何とも解せないと感じるのは筆者だけであろうか。
しかし、ここで慌ててはならない。また過度な陰謀論に走ってもならない。なぜならば米欧勢を筆頭とした”越境する投資主体”らは必ずこうした「全面安」の状況の中においてこそ「次」に向けた大量の買いをしているからだ。そしてまた「買い」はまずもって大量の「売り」から始まることとなる。それでは彼らの狙いは一体何であるのか?
ここで忘れてはならないのが、米国勢からすれば1945年8月の我が国による「敗戦」と言う事実にも拘らず、昭和の大帝からの懇請を受ける形で(「戦争経済(war economy)を本気で稼働させるならば実に愚策である)占領統治、さらに1952年からはそれとして見えない形での間接的な占領統治という意味での「日米同盟」を当座維持することを約したという事実である。そしてこれが「100年の契り」であったわけであり、間もなく残り20年となる中、「利益確定」「EXIT」に米国勢が走り始め、我が国の国富を根こそぎ持っていくための実に巧妙なプランを展開し始めた可能性があるということなのだ。
今このタイミングで文字どおり「走りながら考える」ならば、筆者の脳裏によぎるポイントは2つある。詳しくは更に弊研究所の調査分析レポート(特に「音声レポート)」において考究していきたいと考えているが、要旨を述べるならば次のとおりである。
まず、昨日(4日)の日本株「暴落」の中で非常に気になったのが「銀行」「証券」「保険」といったセクターの株価暴落である。特に銀行株は10%近い株価下落に見舞われた点が耳目を集めた。この点については表向き「日銀による金利引き上げが想定されていたが、かくなる状況ではそれもかなわなくなるであろうから、銀行株など金融関連株は売られた。また、これだけ景気悪化に向けた兆しが出て来てしまっては、銀行であれば融資ビジネスが低迷するのも目に見えているのであって、だから売られた」との解説がなされてはいる。
だが、これと相前後してこんなニュースが駆け巡ってもいるのだ。―――米系”越境する投資主体”の雄であるウォーレン・バフェット翁率いる「バークシャーハザウェイ」が日本株投資拡大のために円建て債を大量発行し始めているのである。そして彼が好んで投資するのがPBR1.0倍を切っているセクターの大型株なのである。さて、これで読者諸兄にも答えは分かったことであろう。何のことはない、銀行、証券といった金融株こそ、我が国ではこうしたカテゴリーに入っているのである。
すなわち、こういうことだ。まず”越境する投資主体”らは「売り」から入る。狼狽売りを連続して誘う中で、底値でターゲットとなる日本株を拾っていく。そしてしばしそれを保有し、ある段階で「プレスリリース」を出す。すると、「あの米系”越境する投資主体”が大量保有しているのか!」と大騒ぎになり、当該日本株は上昇に再び転じることとなる。ここ数年の「商社株」のパターンだ。そして、株主総会に向けてこれら”越境する投資主体”らは「増配」の圧力を当該日本企業に対してかけていき、まずは大量の「配当」を確保する。こうなると私たち日本勢の個人投資家が殺到するので、株価はさらに高騰し続けることとなる。そして然るべき段階で一気に売却し、高値売却によるキャピタル・ゲインを得る。さらにはそこから「何等かの外生的要因」を理由に大量の売りを仕掛ける。後は哀れなるかな、新NISAで虎の子を増やそうと画策していたリテラシーの低い私たち日本勢が、それこそ「ぺんぺん草」すら荒地から根こそぎとられる勢いとなる中、ただただ立ち尽くすだけ、という1945年8月と同じ光景に見舞われることとなるというわけなのである。
そしてもう一つ、昨日(4日)に妙な動きをしていたセクターがある。それは不動産セクターである。日本銀行はこうした状況下において金利引き上げに踏み切ることは当分出来ないであろう。そうなると調達金利の上昇懸念からこれまで買い控えられていた不動産株が活況を呈することとなる。なぜならば、不動産市況での好転の兆しは既に見え始めているからだ。大量の日本円買いが生じる背景にはこのことが大きく関係していると弊研究所は見ている。なぜならば、不動産セクターで暗躍する”越境する投資主体”らはとにかくクジラ、すなわち扱う資金規模が大きいのである。彼らが少しでも動けば、たちまち為替レートは大きく動く。特にこれからは我が国の不動産マーケット、そしてREITであるということになってくるのであれば、取り急ぎ大量の円買いをし続けていることであろう。そして「兆円」を超えるプロジェクトがなかなか無く、これまでは少し低迷していた感のある我が国の不動産マーケットも、国内のプレイヤーだけではなく、海外からのこうした”越境する投資主体”らの「超ド級」のマネーを迎え入れることによって、一気に高騰へと転じることは想像に難くないのである。
現在、我が国のオフィス物件を見ると、札幌・福岡を除く主要都市では空室率が大幅に改善しつつある。そうしたところにこうした「超ド級」のマネーが入ることによってサプライ(供給)サイドがけん引役となる形での不動産バブルが発生するのである。そして時代は折しも中国マーケットが米国勢によって狙い撃ちにされ、景気低迷から脱することが出来ないままでいるのである。そうした母国の状況を忌避すべく、我が国へと大量に飛来し、定住し始めている富裕な中国勢たち(通称「潤日(ルーリー)たち)は、「トイレとバスが2つ以上ある物件以外は住みたくない」とのたまわることで有名なのである。当然、新たに大規模プロジェクトの立ち上げとなるわけであり、米欧系”越境する投資主体”らは、舞台こそ日本勢、しかし買い手は中国勢という絶好のフォーメーションの中でそこから最大限の裨益をしようと動き始めているという構図が見て取れるのである。
「奴ら」は既にすぐそこまで来ている。しかもそれは「100年の契り」に基づく代金回収のために、である。しかし悲しいかな、それを知らぬはリテラシーが低く、未だに米ドル建てで「マグニフィセント7」の株価再上昇を期待している我が国の市井の人々なのである。だが、忘れてはならない、これは「形を変えた日米戦争」の続き、なのである。その意味でトランプによる攻撃は更に続いていくこととなる。しかも、それがまた私たち日本勢自身の覚醒を促すために、事もあろうに「我が国の本当の”権力の中心”(国体)」からの指図によるものであるとすればどうであろうか。・・・と、京都・御所東の寓居に一人たたずみながら、想うのであった。
終末の時は、もう始まっている。あなたは・・・目覚めているか?
2025年4月5日 京都・御所東の寓居にて
原田 武夫記す
・・・
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