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気候変動に対する正しい対策とは(コーポレート・プランニング・グループの”Pax Japonica” ブログ(Vol. 2))

ここ数年で食料品を購入する際にレジ袋の有無を聞かれることが普通になったが依然としてマイバッグを持ち歩いている人はそこまで多くないように感じる。我が国では元来温室効果ガスに対して、事業との関連性や知識が全くない企業でもお金と時間をかけて脱炭素化に取り組みを熱心に実施している様子が見受けられるが、これらは本当に気候変動が進む地球にとって必須の行動なのだろうか。温室効果ガスの排出量に関しては、現在我が国は世界全体の3%を占める程度しかない。政府が喧伝し、企業を無理やり巻き込んでまで徹底して脱炭素化を進め、100%を達成したとして、世界的にどれだけ我が国の影響力があるのだろうか。二大排出量大国の中国勢と米国勢が本腰を入れて取り組まないのならば、温室効果ガスの排出量は減少せず、現在の発展途上国が経済成長してくことも考慮すると、排出量はさらに増加していくことが安易に想像できる。さらに発展途上国が現在の先進国の生活水準になるのであれば、電化製品の使用率が高くなることは明白であり、道路もアスファルトで舗装されることから温室効果ガスの減少は到底考えられない。結論から言うと、我が国の温室効果ガスの排出量削減に対する努力は水の泡になってしまう。それよりも気候変動に対して我々はエネルギーについて深く考える必要がある。

気候変動が進むと、多くの場所で見られる夏場に感じる気温上昇以外にも多くの問題が生じてくるが、その一つが電力不足である。石炭、液化天然ガス(LNG)、石油等の化石燃料は有限であり、気候変動に伴って世界的に電力消費量が増加することを念頭に置くと、これらを他国からの輸入に依存している我が国にとってエネルギーの確保は死活問題である。それにも関わらず2022年の時点で未だに総電力量の60%を化石燃料が必要な発電方法に依存している。短絡的に考えても、自然エネルギーをできる限り有効に活用して電力として利用していくことが我が国でも実行できる気候変動に対する施策であり、我々が注力して取り組む行動のはずである。我が国でも太陽光、風力や地熱などの再生可能エネルギー資源は豊富に存在することは数十年も前から知られている事実であるにも関わらず、国内の発電電力量に対する割合は全体の4分の1にも満たないことはなんと惜しいことだろうか。

(環境エネルギー政策研究所のデータを基に筆者作成)

この状況の理由として第一に挙げられるのは導入のコストが高いことであり、トラブルに対する耐性を備えた発電持続機能が整っていないことから電力の安定供給が不可能であることもよく耳にする。しかし、再生エネルギーに対しては世界的に年々研究が進んでおり、我が国も高いポテンシャルを秘めている。

例として太陽光を挙げ、現状を考察してみる。現在流通している太陽光を活用した発電方法は太陽光パネルを屋根や建物の屋上、屋外の空いているスペースに設置することが一般的であるが、我が国では平らなパネルを置くことが可能な平地が少ないことに加え、この方法では変換効率が悪く、15-20%にとどまっており(参照)、曇りや雨の日に稼働しないことから太陽からのエネルギーを十分に受け取ることができない。しかし、ここ数年では曲がる素材で作られ、曇りや雨でもエネルギーを受け取ることができるペロブスカイト太陽電池(参照)や、2022年時点では変換効率30%超まで達成し、将来的には75%になるという潜在性をもっている量子ドット型太陽電池(参照)に対する研究が進んでいる。2012年の変換効率が18.7%段階だった頃に、2020年代に変換効率が30%に、2030年代には60%になると予測され(参照)、その通り順調に開発が進んでいることが見て取れる。

量子ドット技術は以前に当研究所にて紹介している内容(参考)であるが、最近ではさらに研究が進んでいる。量子ドットは「自己組織化量子ドット」と「コロイド量子ドット」に大別することができる。後者は半導体でできたナノメートルスケールの微粒子であり、太陽電池に活性層材料として有望視されている。この量子ドットでは、可視線の両側にある遠赤外線と近紫外線を活用し、夜間でも発電を可能にできるという大きな利点がる。量子コンピューターにはその性質を維持するために大量の熱エネルギーの放散が伴うという致命的な問題点があるが、その点も併せて開発が進んでいる。光電デバイスへの応用には量子ドットの光学的・電気的性質の理解と制御が重要となっており、評価が容易な工学的性質が詳細に研究されてきた一方で電気的性質の研究が少ないのだが、2023年12月には東北大学が電気伝導の詳細な評価を行うことに成功したことを公表している。また、この研究では半導体コロイド量子ドットを用いた、単一電子トランジスタ(SET)の温室動作を実現することにも成功した。量子ドット1個を用いたSETの電気伝導特性を低温で調べ、その変化の様子を観測、その後素子が室温でもSETとして動作することが確認された。また、電流が量子ドットの電流値には電子軌道により大きな違いが生じることを確認した。(参照)2024年2月には、京都大学の研究グループが量子ドットを繋ぎ合わせることにより非線形な光電流を増加させることに成功したと発表した(参照)。これらの研究結果より、太陽電池の高性能化に対して量子ドット技術の活用が一層期待される。

社会貢献事業担当 近藤由貴 拝