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ユダヤとペルシアとスメラギと。(原田武夫の”Future Predicts”. Vol. 44)

イスラエル勢がいよいよイラン勢の「核関連施設」に対する空爆を実施、これに対してイラン勢がイスラエル勢に対して弾道ミサイルで報復攻撃を行うという流れになっている。そう、いよいよ長年の仇敵とされてきた「ユダヤとペルシア」の間でそれぞれの存在を賭けた戦乱が始まったのである。自らは「潜在的核保有国」の地位を事実上享受しつつ、イラン勢に対しては決して同様の地位を許さないという姿勢を示すイスラエル勢。それに対してイラン勢もこうしたイスラエル勢の強硬姿勢を真正面から受けて立つという態度を最初から見せている。仲介者としてトランプ米大統領率いる米国勢が全く機能していないのは明らかであり、そうした中、「ウクライナ戦争」で非難されてきたはずのプーチン露大統領が「平和創造のための仲介者になっても良い」と言い出す始末だ。その意味で世界は実に騒然となりつつあるわけだが、どういうわけか今一つ、我が国においてはそうした実感がシェアされないままでいる。昨日も欧州から帰国したばかりの筆者の下に、親しくお付き合いさせて頂ている某上場企業のリーダーシップより、「かねてより貴研究所が警告されていたイスラエル・イラン戦争が始まりましたが、マーケットにおける影響は限定的な感じがします。今後はどうなるのでしょうか?」といったご質問が寄せられた。実際、我が国マスメディアの報道ぶりを見ると、どことなく「遠い異国における出来事」と言う風に受け取られてしまうのも仕方がないように思えてならない。

もっともこうした「衝撃的な開戦だが、今回も結局は大丈夫だろう」という感覚は、他ならぬ中東の現場でもそこはかとなく広がっている感がしなくもない。筆者の下には先ほど、カタール勢のエネルギー関連企業の幹部から連絡があったが、その中で彼はこんな風に状況について評価していた。

To be honest with you, the tensions between Israel and Iran have escalated significantly, raising concerns about broader regional instability. While the possibility of war is alarming, global powers are actively working to prevent further escalation. A full-scale conflict could have serious consequences, but whether it leads to a third world war depends on how other nations respond. Hopefully, diplomacy prevails to avoid a larger crisis. This is my take on the situation.

さて、この「戦争」について読者はどの様にお考えであろうか?筆者はというと、以下の2つの理由から、この戦争は実に「根深い」ものであり、それだけにその解決には最低でも3年くらいはかかるのではないかと考えている。

第一にイスラエルは今回、積極的に「打って出た」かの様に見えるが、その実、ユダヤ勢の中における「アシュケナージ勢VSセファラディ勢」という、長年にわたる抗争の最終局面の中で前者が統治階級を占めるイスラエル勢が戦争に追い込まれたというのが現実に他ならないというのが卑見である。そしてここからイスラエル勢に対する国際的な批判の声は高まるばかりになるのであって、そうした「声」の背後において実質的なのが、姿を決して見せることはないものの、これまでグローバル秩序を隅々まで(我が国に関する事項も含め)圧倒的な影響力をもって左右してきた「セファラディ勢」なのである。無論、自らこそがユダヤ勢の「中核」であると考え、そう公言して止まないセファラディ勢がこれを許すわけもなく、徹底抗戦を今後も続けるはずだ。表向きはイラン勢が交戦している様に見えるが、むしろ「静かに、しかし正しいことを行う」を是とするセファラディ勢こそがイスラエル勢=アシュケナージ勢にとってその背後において実質的な存在であり、かつ戦うべき仇敵なのである。しかし私たち日本勢はこうした「アシュケナージ勢VSセファラディ勢」という”永遠に続く神々の争い”にも匹敵するかの様な抗争を知らない。なぜならば、前者、すなわちアシュケナージ勢が我が国のマスメディア、そして言論界を意図的に席捲してきたからであり、その様な「本当の構図」を見せることは事実上禁忌とされてきたからである(実際、セファラディ勢について真正面から語る著作は我が国においてごくわずかしかない)。だが、いよいよ「本当のユダヤの民」の子孫たるセファラディ勢による巻き返しがこの開戦をもって始まったわけであり、今後、「ユダヤ」を僭称してきたイスラエル勢の中でもアシュケナージ勢を出自とするリーダーシップとその協力者たちは世界中で圧殺されていくことになる。無論、我が国、さらにはそこでのメディア界、言論界も例外ではない。

第二に、こう考えればなおのこと、なぜ「イラン勢」なのかという点を深く私たちは知らなければならない。実のところ、パフレヴィー朝が続いていた1970年代末までの第二次世界大戦後のイラン勢において、もっとも活発にビジネス活動を展開していたのは他ならぬイスラエル勢なのであった。したがって、本来ならば両者がいがみ合う理由などないのである。もっとも、両者はそうであるが故に相互に知りすぎているという側面はある。だからこそ、局面が転換したならば相互に距離を取らなければならないと判断したという要素はあろう。だがしかし、アケメネス朝時代の「キュロス2世(Cyrus the Great)」率いるペルシア勢と、ユダヤ勢との間に出来た関係性以来の深いつながりがあるが故にその本質は「愛憎」であるにせよ、この局面で何故に「イラン勢」がそうしたイスラエル勢=アシュケナージ勢を圧殺する流れにおいてリードする役割を果たしているのか、必ずしも定かではないのである。

この重大事について考える時、筆者の脳裏に浮かぶのは何よりおまず、実は我が国のスメラギを巡る肖像なのである。我が国においては、今は亡き三笠宮崇仁親王がオリエント研究、とりわけ古代ペルシア研究をされていたことがよく知られている。こうした宮家の動向について、私たち市井の者たちはついつい、単に主観的なるご関心、あるいは性向によるものだと考えがちだ。しかしborn leadershipにおいてそうしたことは決してあり得ないのが鉄則なのであって、この昭和天皇の弟にあたる宮様が何故に「古代ペルシア」、すなわちイラン勢を深く探究されたのかについては、その深淵なる意図、計略を今こそ忖度する必要がある。そして実際、イラン勢はというと、今回の戦乱へとつながる一因となった米国勢との間の「核問題協議」に際し、自らが主張・要求するウラン濃縮活動の実施に際し、他ならぬ我が国との協力が不可欠であるとして、我が国の巻き込みを公然と図ってきた事実があるのである(このことは現在、対米交渉の責任者だるアラグチ・イラン外務大臣が日本語で出版をした著作の中で堂々と明らかにしている)。そう、我が国とイラン勢との間には、目線を上げて「スメラギ」であり、かつ国家の存亡をかけたエネルギー開発と言うレヴェルで見た時、他に代えがたい深いつながりがくっきりと見えて来るのである。確かに我が国は「平和国家」であり、表向き戦乱とは無縁である。しかし、今や第三次世界大戦にまでなり、核兵器が投入されるかもしれないという今回の戦乱に際し、実のところ最後の最後に「果たすべき役割」があるのはスメラギの国=ニッポンであるようなのだ。そしてそのことは、「日ユ同祖論」を公然と展開してきたイスラエル勢=アシュケナージ勢のこれまでの振る舞いを見る時にもまた、ひどく頷けることなのである。そう、この意味で世界が明日、存亡するか否かは我が国の、しかもその至高のレヴェルでのお言葉と行動に全てかかっていると言っても過言ではないのである。

そうした中、今朝’(15日朝)に放映されたNHK「日曜討論」において、元駐米大使であった御仁は「この紛争で我が国が果たせる役割は小さいです。あえて言うならば、双方に自制を促す程度でしょうか」とのたまわっていた。これに対してアカデミアにおいて地道な中東研究をされている研究者からは、「我が国が歴史的にネガティヴなつながりをもたないこの地域においてこそ、我が国が果たすべき役割がある」と述べられていた。筆者はどちらかというと後者に理解を示すものだが、しかしこれで全てではないとも考えていることをここで吐露しておきたい。スメラギの国、すなわち我が国にはユダヤ勢と、ペルシア勢に積極的に関わっていく「理由」があるのである。そしてそのことはひいては第三次世界大戦に全世界が巻き込まれるのではなく、そこからの全人類の救済をも導き出す流れを導出する行動にもつながっていく。そのことを私たち日本勢全員が今こそ、昭和の大帝とその兄弟である当時の宮様たちが考え抜いた「プラン」を忖度しつつ、思い起こし、動かなければならない。そう、私は強く感じている。

2025年6月15日 プラハから戻り、東京の寓居にて

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 ファウンダー/代表取締役会長CEO/グローバルAIストラテジスト

原田 武夫記す

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