1. HOME
  2. ニュース&リリース
  3. 弊研究所代表・原田武夫が国連「Beyond GDP」マルチステークホルダー協議にて発言

弊研究所代表・原田武夫が国連「Beyond GDP」マルチステークホルダー協議にて発言

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)代表取締役CEO・原田武夫は国連において開催された「Beyond GDP」に関するマルチステークホルダー協議(Multi-Stakeholder Consultation on Beyond GDP)にオンラインで参加し、弊研究所の関連団体であり国連経済社会理事会(ECOSOC)において特別協議資格(Special Consultative Status)を有するResearch Institute for Japan’s Globalization(RIJAG)を代表して発言を行いました。

今回の協議は国内総生産(GDP)のみでは捉えることのできない、人々の幸福(well-being)、社会の持続可能性、包摂性、地球環境等を含む、より包括的な「社会の進歩」をいかに捉え、政策形成へ反映していくかを巡る国際的な議論の一環として行われたものです。

その背景には世界経済が長期的に成長を続けてきた一方でGDPの増加が必ずしも人々の幸福や社会全体の持続可能性の向上と一致してこなかったという問題意識があります。

代表・原田武夫は冒頭、こうした問題意識に基づく「Beyond GDP」の基本的方向性に強い支持を表明しました。

その上で今後の議論において重要となるのは人々の幸福や社会の進歩を「より正確に測ること」だけではないと指摘しました。

代表・原田武夫が提起した中心的なメッセージは、

“The real challenge is transformation.”
(真の課題は、変革そのものである。)

というものです。

「何を測るか」から「どのように統治するか」へ

生成AIをはじめとする人工知能(AI)が社会のあらゆる領域へ急速に組み込まれつつある現在、問われるべきなのはAIが生み出す経済的価値をどのようにGDPへ反映するか、あるいはAIがもたらす環境負荷をどのように測定するかという問題だけではありません。

代表・原田武夫はAIがもたらすより本質的な変化として「現実そのものを理解する人類の能力を飛躍的に高めること」を挙げました。

AIを活用することによって複雑な政策課題をこれまで以上に精緻に把握し、従来は見えにくかった制度上の弱点を可視化し、政策上の選択肢やトレードオフをより客観的に明らかにすることが可能となります。そして社会が現実をより深く、より精密に理解できるようになれば既存の制度や行政の仕組みもまた、その新たな認識に応じて再構成される必要があります。

すなわち、AIは政府や行政を改善するための道具にとどまるべきではなく新たな統治の在り方そのものを可能にするものである。
代表・原田武夫はこの新たな考え方を

“AI-enabled Governance”

と表現しました。

AIの目的は、人間にしかできない営みを取り戻すこと

代表・原田武夫は今回の発言において“AI-enabled Governance”の目的はGDPを最大化することでもAIが生み出す経済的価値そのものを最大化することでもないと述べました。

その本質的な目的はAIによって社会や制度の能力を高めることで人間が、

  • 判断すること
  • 信頼を築くこと
  • 制度を創ること
  • 共通の未来を形づくること

といった、人間にしか担うことのできない営みに、より力を注ぐことのできる社会を実現することにあります。

これはAIを「人間を代替する存在」としてのみ捉えるのではなく、人間の判断力、創造性、信頼形成、そして社会を構想する能力を支える新たな社会基盤として位置付ける考え方です。

Beyond GDPに“AI-enabled Governance”という新たな視点を

今回、代表・原田武夫は今後の「Beyond GDP」を巡る国際的な議論に対し、新たな視点を提起しました。

それは、社会の成果や幸福を測定するだけではなく、

「その社会がAIを活用し、制度的能力(institutional capacity)を強化できているか」

「AIを通じて必要な制度再編(institutional reconfiguration)を進めることができているか」

「より良い統治を通じて、人々の幸福(human well-being)を実際に向上させることができているか」

という観点も、今後の評価と議論の対象とすべきではないかという提案です。

代表・原田武夫は発言の最後に、今回の問題提起を次の言葉に集約しました。

“The next frontier is not only to measure well-being better. It is to govern for well-being better.”

「次なるフロンティアは、幸福をより良く測ることだけではない。幸福のために、より良く統治することである。」

我が国にとっても重要な「Beyond GDP」の議論

「Beyond GDP」を巡る議論は我が国にとっても極めて重要な政策課題です。

我が国は現在、急速な少子高齢化、人口減少、人財不足、地域社会の持続可能性、社会保障制度への負荷、そして巨額の累積公的債務をはじめとする複合的な構造課題に直面しています。

こうした状況において経済成長率やGDPの拡大のみを社会の進歩を測る唯一の基準とするのではなく、

GDPは本来、何を測るべきなのか。

私たちが目指す「well-being」とは何か。

そして、それを実現するために、行政・社会・制度はどのように変わるべきなのか。

という、より根本的な問いに向き合う必要があります。

AI時代において、これらはもはや抽象的な学術上の問いではありません。

人口動態の変化と制度的制約に直面する我が国を含む先進社会にとって今後の国家運営と社会設計を左右する重要な政策課題となりつつあります。

国連における継続的な政策提言へ

IISIA及びRIJAGはこれまで“AI-enabled Governance”を中核的な研究・政策構想の一つとして、国内外における研究、社会実装及び国際対話を推進してまいりました。

代表・原田武夫は2026年4月、次期国連事務総長候補者公聴会においてAI-enabled Governanceに関するビデオ質問を提出し、同年5月には「Third Informal Stakeholder Consultation on the Global Dialogue on Artificial Intelligence Governance」にステークホルダー・スピーカーとして参加しました。

さらに同年7月には、スイス・ジュネーブにて開催された国連「Global Dialogue on Artificial Intelligence Governance」に参加するなど、AI時代における統治能力、制度設計及び国際秩序の在り方について継続的に国際社会へ問題提起を行っています。

今回の「Beyond GDP」に関する発言は、これまでAIガバナンスを中心に展開してきた“AI-enabled Governance”の議論を人間の幸福、社会の進歩、国家の制度的能力、そして「何をもって社会の成功とするのか」という、より根源的な国際政策課題へ接続するものです。

IISIA及びRIJAGは今後も、研究、政策提言及び社会実装を相互に接続しながら、各国政府、国際機関、大学・研究機関、市民社会及び民間企業との建設的な対話を推進してまいります。

そして「Pax Japonicaの実現」というVISIONのもと、日本が直面する構造的課題から得られる知見を国際社会へ積極的に発信しAI時代における人間中心の統治と持続可能かつ包摂的な社会の形成に貢献してまいります。

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 拝

ニュース&リリース

ニュース&リリース一覧