外資系ホテルの空白地帯・札幌に米系最上級ホテルが進出 ~押し寄せる「グローバル・マクロ」の波~ (IISIA研究員レポート Vol.75) – IISIA 株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 – haradatakeo.com
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外資系ホテルの空白地帯・札幌に米系最上級ホテルが進出 ~押し寄せる「グローバル・マクロ」の波~ (IISIA研究員レポート Vol.75)

先月(1月)19日、「最高級ホテル不毛の地」とされ、とくに外資系ホテルが一切ない「空白地帯」であった札幌に、米系ホテル・チェーン大手「マリオット・インターナショナル」がJR北海道と提携して、来る2023年に着工する札幌駅南口の再開発ビルに最上級ブランド・ホテルを開業するとの報道があった(参考)。マリオットの高級ブランドには「ザ・リッツ・カールトン」や「エディション」などがあるが、具体的なブランドは今後詰めるとのことだ。

(図表:ザ・リッツカールトン・ドバイ)

(出典:The Ritz-Carlton

札幌市では、来る2030年の冬季五輪招致や2030年度末に予定する北海道新幹線札幌延伸などを見据え、国際都市としての機能の充実を目指しているが、他方で富裕層を受け入れる高級ホテルが不足しているという課題も残っている。そうした中で、上記マリオットの他にも、西武ホールディングスも、札幌プリンスホテルなどをシンガポール政府投資公社「GIC」に売却するとの情報もあり(参考)、札幌でも外資系ホテルの進出が加速する可能性が高まっている。

JR北海道の島田修社長は、マリオットとの提携につき「国内でのホテル運営実績のほか、世界最大規模の会員ネットワークがあり、集客に大きく寄与する」と述べているが、マリオット系のホテル進出には、こうした表向きの理由以上に、深い意味があると考えられる。すなわち、マリオットの創始者J・ウィラード・マリオットに始まるオーナー一族は、熱心なモルモン教徒であるという点である。そして、ここで重要なのが、マリオットが「布教」という意味ではなく、国際的な資金循環という意味での「グローバル・マクロ」において大きな役割を果たしているという非公開情報があるという点だ。

(図表:マリオットの創始者J・ウィラード・マリオット)

(出典:Wikipedia

マリオットは、モルモン教の本拠地であるユタ州出身のJ・ウィラード・マリオットが1927年に「ホットショップ」という居酒屋を開業したことに始まる。その後、機内食事業や、大学・病院における給食事業などに事業範囲を拡大していく中で、1957年にホテル事業に進出した。米国勢において自動車産業の黄金期を迎えたことを背景に、地価の高い街中ではなく、自動車でも行き来できる郊外に広い部屋のホテルを建設することでホテル事業に成功したとされる(参考)。1998年には、「ホテル王」セザール・リッツが作り上げた最高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」も傘下に置き、世界最大のホテル・チェーンとなった。

他方で、「グローバル・マクロ」という文脈の中で、モルモン教のネットワークが果たしてきた役割も拡大している。すなわち、ヴァチカン勢を滞留地とする莫大なマネーの物理的な意味での運搬を担ってきたのがモルモン教であるとの非公開情報があるのだ(参考)。

モルモン教と言えば、去る2012年の米大統領選でオバマ元大統領と接戦を繰り広げたミット・ロムニー上院議員が敬虔な信者として有名であるが、同氏が共同創設者として設立した投資会社「ベイン・キャピタル」も、この文脈では重要な役割を果たしていると言えよう(参考)。昨年(2021年)4月には、「ベイン・キャピタル」が我が国に特化した1100憶円のファンドを設立したとの情報もある(参考)。総じて、「グローバル・マクロ」の着地点として我が国が「並外れて魅力的」となっていることの証左と言えよう。

(図表:大統領戦後にホワイトハウスでオバマ大統領(右)と会談する
ロムニー議員(左))

(図表:Wikipedia

現在、札幌は「第2の1972」とも呼べる再開発ラッシュに沸いている。北海道を劇的に変えたとされる1972年の冬季五輪から今年(2022年)は50年となる。「スポーツの宮様」「ヒゲの殿下」と親しまれた寬仁親王殿下は、札幌冬季五輪で組織委員の一人として現場最前線で働かれたが、かつて対談で「『スクラップ・アンド・ビルド』という言葉が大好き」とのご発言をされている(参考)。今次パンデミックの2年間が「スクラップ」であるとすれば、今後数年間は「ビルド」の時期に入ると言えよう。今年を起点として、来る2030年に向けて、札幌は外資勢の流入でさらなる発展も期待される中で、同時に「グローバル・マクロ」という意味でもその重要性は増していくものと思われる。

グローバル・インテリジェンス・グループ リサーチャー
原田 大靖 記す

前回のコラム:「華僑・華人ネットワーク」が織りなす世界史 〜中華圏ビジネスで成功するためのカギとは〜(IISIA研究員レポート Vol.66)

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