角田理論の復活とパックス・ジャポニカ (連載「パックス・ジャポニカへの道」)
熊本で発生した大地震がどうやら活断層を東へ東へと進み始めていることが明らかになりつつある。まずはこれまで発生した度重なる地震の結果、不幸にして命を落とされてしまった皆様方に心から追悼申し上げると共に、被災地において不安な時を過ごしている皆様に重ねてお見舞い申し上げることとしたい。
このまま仮に活断層を辿って地震が進んでいくとなるとG7サミット会場である伊勢・志摩を含む地域が「危険地帯」ということになってくるわけだが、私はかねてよりこの公式ブログの場で「瀬戸内海こそが次の大地震の現場になる可能性が高い」旨、米軍筋の非公開情報をベースに分析を提示したことがある。今回の震災の起点となったのは熊本であり、その限りにおいては正鵠を当初から射ていたとは言えないので痛恨の極みであるが、今後のあり得べき展開可能性としては正にこのことが現実になるプロセスに他ならないということになるやもしれない。いずれにせよ、細心の注意で臨んで頂ければと思う次第である。
古来、私たちが生きていくにあたって最大のフレームワーク(枠組み)とは何かといえば、天変地異であった。そしてその天変地異は基本的に太陽と月を中心とする天体と、私たちの足元にある大地とのバランスによって全てが生じるのであり、そのことを中心に「これから起ることを可能な限りに適切な形であらかじめ把握すること」を目的として体系化されたのがいわゆる“神道”なのである。明治維新によって人造された国家神道以前の神道の事を「古神道」と呼ぶのであれば、古神道の真髄は正にその点にある。
古神道が体系化されたのは当然、我が国においてである。だが、そのことの威力を最も知っているのはもはや私たちではなく、海の向こう側に暮らす米欧の統治エリートたちなのである。したがって彼らは明治維新以降の展開の中で私たちの国・日本を徐々に追い込んで行き、本来であれば起こす必要のない大戦を起こさせ、やがて壊滅的な反撃を受ける立場へと追いやったのである。私たちは普段、戦前の「天皇ファシズム」を通じていわば発狂してしまった我が国は必然的に対米戦争に入っていたかのように学校教育で教えられている。しかし当の米国勢においては、“モノづくり”の担い手である人々を中心に、実はドイツ系=カトリック勢の国民が大勢いて、「日独伊三国同盟」を当然“敵視”し、対日参戦に踏み切るという論調が優勢ではなかったということを、賢人・徳川家広氏から最近の研究に基づくとしてご教示頂いた。いわゆる「近代化」を通じて、元来あるべきバランス感覚を失ってしまった私たちの先祖の一部が早まってしまった結果が、先の大戦を通じた壊滅的な事態だったというわけなのだ。
いずれにせよ大事なことは、元来私たちが自然(じねん)と未来に対する己センスとその体系として知見を集積してきた「古神道」の伝統を忘れる一方で、海の向こうの米欧勢の統治エリートたちはその知見を着実に己のものとしてきたということなのだ。そして今や彼らは彼らなりのやり方で、そうした天変地異に伴う「枠組みの変更」を己のものとする技術を手にしているものと見受けている。つまり決定的な瞬間がその意味で生じる前に、誰にも悟られない形でそれに向けた準備を整え、いざ事態が変わるや否や、あたかもそこで生じる重大事の次のフェーズでリーダーシップとなる人物に対して「既に恩義を売っている」ことを理由に関与していくというわけなのである。この新しいリーダーシップが最終的に優位になろうと、あるいは劣位になろうとそれはある意味どちらでも良い。大事なことは、これが彼らと全く無関係に独走してしまうことなのである。
他方、私はかねてよりこの場も借りつつ、「2016年4月後半をもって世界は大きく変転する」と述べてきた。なぜそうなのかというと、無論、この場を通じて仔細に述べることが叶わない一連の非公開情報を別とすれば、要するに「実質金利(=名目金利―インフレ率)のマイナス化」という中央銀行家たちが今正に行っているオペレーションがいよいよ本格化するのがこのタイミングだからだ。データ分析の“猛者”らが行ってくれている定量分析では実は「このタイミング」であるということは、何を隠そう、今年(2016年)1月の段階から分かっていた。
それでは何が起きるのかというと、他でもない「原油価格の上昇開始」である。全てのものが原油価格に紐づけられている今、それが不振であるからこそ、世界はデフレ気味なのである。ところがこれが一たび上昇し始めると事態は文字どおり”一変“するのである。マイナス金利政策によって極端に押し下げられた「名目金利」から、原油価格の上昇によって始まるインフレの本格展開の率を引くことにより、当然のことながら実質金利は日に日にマイナスとなっていく。そしてこれを通じて「カネを借りないリスク」を出現させ、全世界でイノヴェーションとアントレプレナーシップをスパークさせる。―――これが、米欧勢の統治エリートらが最後の賭けとして今、行わんとしていることなのだ。
その一方でここに来て大変気になる「事件」が起きた。去る2014年春に上梓した拙著「世界史を動かす日本」(徳間書店。ちなみにどういうわけか出版社の意向でこの本だけは早々に「絶版処理」されてしまった。真実を綴るということは現状、実に難しくなっているのがこの国の実態だ)の中で大きくとりあげた、いわゆる「角田理論」をやおら、米国勢が“科学的根拠があるもの”として認証する構えを見せ始めたのである。一体何が起きているのだろうか。
ここで「角田理論」とは何か、について全く知らない読者のために長きにわたって対外的には沈黙を守られてきたこの理論の開発者・角田忠信東京医科歯科大学名誉教授の最新著「日本語人の脳」(言叢社)より、その要点を簡単に引用してみることにしたい:
「最終的には、普通の日本人では母音に対しては左の脳が優位であり、純音やホワイトノイズに対しては右の脳が優位であることがわかった」(同第13頁)
「日本人の母音の処理方式が世界の言語圏とは異質で、この差が日本人の精神構造と文化の差の基底にあるという説には、欧米諸国からも猛反発があり、ドイツ誌は日本人優越論を主張する超愛国主義者でナチスの再来とまで非難され、私の説は理解されずに非難を浴びせられた」(同第15~16頁)
「先進国での執拗な反発のなかで、国連とフランス人は拙論に興味を持ち、数度にわたって、カナダ、欧州の各地でのシンポジウムに招待され、熱心な討議が続けられた。私も実験装置を所持してデモンストレーションを行い、次第に認められるようになってきた。国内では阿部公房氏、作曲家の武満徹氏、詩人の大岡信氏らが好意的な反応を示し、拙論に関心を持たれた日本のノーベル科学賞1号の湯川秀樹先生の京都シンポジウムにお招きいただき、拙論をテーマとした専門化会議でよくやったとお賞めいただいた。湯川先生が賞めることは滅多にないことだと伺って自信がついた」(同第16頁)
「その後の研究によって聴覚・視覚・味覚・嗅覚などの複雑な統合には一秒の存在が不可欠であることが確かめられた。・・・(中略)・・・東京医科歯科大で菊池良晃氏による加算脳波法によって言語音・自然音・機械音の聴覚刺激で生じる脳波の電位分布を表示して、正常者の角田法による左右差の特徴と正確に合致することが確認された。人の脳幹スイッチ機構というコンピュータの特徴の一つに太陽系の運行と同期して働き、また、起立した足下の地殻からの物率的影響を受けていることが注目される」(同上)
「人間は太陽系の一部として、完全に同調する宇宙とは切り離すことの出来ない無力な存在であることを痛切に感じる。こうして、見えない足下の地殻に異常なストレスが溜まると、その強度に応じて脳センサーには歪みが生じ、地震発生によってストレスが解消されるとの脳の歪は消失して正常に戻る現象が見出された」(同第17頁)
9歳まで完全なる日本語環境で暮らす者は、形質として“何人”であれ、ここでいう「日本語脳」になると角田理論では言うのである。そして非常に簡単に言うならば左脳で全ての音を処理するようになり、右脳では雑音や西洋音楽の音くらいしか処理しないようになるのである。これが「非日本語脳」では全く違うのであって、左脳では言語音(子音)、右脳では感情音(母音)を処理するのだ。―――それが全ての出発点となる。
ところがこの角田理論は未だコンピュータが発達していない頃、音源と物理的な手段のみを用いた通称「ツノダ・テスト」によって打ち立てられたものであるが故に、その後、脳研究では圧倒的に主流を占めることになったMRIの主導派から徹底して”非科学的“という批判を受けることになる。事実、MRIを通じた実験では角田理論が述べているような現象は検証出来なかったのである。そこでMRI派は「再現性がない虚偽の理論」と、角田理論を切って捨てた。それだけではない、もっといえばこの余りにも愚直なまでに真実のみを求め続けてきた角田忠信名誉教授を公然と罵倒し、アカデミズムからかなぐり捨てようと何度も試みてきたのである。
だが、真実は何ものにもまして圧倒的なのである。そしてそのことを父・忠信先生の背中から学び続けてきた御家族の結束が、そうした心無い者たちからの批判をはじき返して来た。とりわけ御子息の一人である角田晃一・独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター人工臓器・機器開発部部長はMRIを用いて何とか、この角田理論の「再現性」を確保出来ないかと試行錯誤を繰り返されてきた。
MRIによってこの再現性が確保出来ないのには理由がある。それは、あの機器から発する轟音を浴びると、不思議なことに「日本語人脳」は「非・日本語人脳」と同じ気質を示すようになってしまうのだ。つまり静寂の中においてこそ、日本語人は日本語人としての能力を最大限発揮出来るのである(我が国の文化が何故に「静寂」を重んじるのかがこれで御理解頂けるはずだ)。そのため、MRIによる再現性実験は絶対的に不可能であるかのように見えた。
しかし、である。テクノロジーの発展はやはり私たちを解法し、真実へと導いてくれるのである。我が国のとある大手メーカーが従来のような円筒の中を横臥した患者を入れていくMRIではなく、額に小型機器を装着し、基本的に音のしないMRIを開発したのである。私が上述の拙著を書き記すため、全くつてが無い中、まずは角田晃一部長の下を訪問させて頂き、その次にご自宅までお邪魔する形で角田忠信名誉教授から直接御指導を賜る栄誉に恵まれることになるわけであるが、まず晃一先生とお会いさせて頂いた時に同先生はこの画期的な再現性実験の結果を英語論文にまとめられている最中であったと記憶している。そして「父の名誉回復のために、何とかこの論文を権威ある米欧系の査読論文誌に載せたいと考えているのです」と大変熱く語って下さったことを今でも良く覚えているのだ。
そして、御苦労の甲斐があって今年(2016年)になってそれがかなえられたのである。査読論文誌「Acta Oto-Laryngologica」に掲載された角田晃一氏らによる論文「Near-infrared-spectroscopic study on processing of sounds in the brain; a comparison between native and non-native speakers of Japanese」であるが(同論文の全文はこちらからダウンロードすることが可能である)、その要旨を紹介すると次のとおりとなる:
「まとめ:この結果から、“日本語を母語にするもの”と、“日本語以外を母語にするもの”では自然音、特に“虫の声”の処理が異なる傾向にあり、このことは1970年の角田(註:忠信)の学説を強く支持する結果となった」
「目的:音を聴取させたときの、”虫の声“が”言語脳“と”音楽脳“どちらの脳で優位に処理されるかを赤外線トポグラムで検証した」
「方法:左右の優位差を判定するため、2チャンネルのNear Infrared Spectroscopy (NIRS)を用いて“日本語の朗読”、”西洋音楽(バイオリンの演奏)“、”虫の声(コオロギの鳴き声)“を聴かせて左右の脳の血流変化を観察した。日本語とバイオリンの音が、、それぞれ言語脳と音楽脳で分離できた33例の被験者について、虫の声がどちらの脳で処理されるかを分析した」
「結果:日本語を母語として育った被験者の80%が“虫の声”を言語脳で、日本語以外を母語として育った被験者の62%が虫の声を音楽脳でそれぞれ処理している事が明らかになった」(同第322~323頁)
無論これをもって壮大な角田理論の全てが“米欧流”に検証されたわけではない。しかしかつて行われたようなそれへの、とりわけメディアの主(「評論家」「科学ジャーナリスト」ら)による罵倒には全く根拠が無かったことがこれで明々白々になったのである。これらの者たちは今すぐ、この場で角田忠信先生に謝罪をすべきだ。無論、我々と同じく「日本語人脳」の持ち主であり、かつそのことに誇りを感じているという意味で生粋の「日本人」であることがその大前提であるわけだが(魂を売ることで己だけが、とりわけ1990年代以降の「マスメディアの崩壊」の中で“よろしくやってきた人物”たちはこの範疇に当然入らない)。
しかしそのこと以上に大変気になることがあるのだ。それは「なぜこのタイミングで米国勢は角田理論を公的に認めるに至ったのか」という現象面でのポイントである。偶然のように思われるかもしれないが、決してそんなことはあり得ない。なぜならば米欧勢の統治エリートらによる全世界に及ぶ言論コントロールは、とりわけインテリジェンス機関の世界を知っている者であれば先刻ご承知のとおり、正に「蟻の一穴すら許さない」レヴェルで行われているものだからだ。そして彼らは明らかにこれまで「角田理論を抹殺する」方向で動いてきたわけであり、それがここにきて突然の方向転換が行われたとなると、当然のことながら重大な理由が横たわっていると考えざるを得ないのである。
この点について卑見を申し上げるならばこうなる。―――上述のとおり、「実質金利のマイナス化」によって全世界でイノヴェーションを引き起こし、新しいマーケットを無理やりでも創り上げることで需要を喚起し、グローバル経済に最後の救いの手を差し伸べようというのが米欧勢の統治エリートによる基本戦略なのである。そして実のところ、そこでいうイノヴェーション、すなわち根底からの「変革」の対象には何を隠そう、世界における支配的言語(Lingua franca)も入っているのである。つまり英語が享受している現在のその地位に関わることである。無論、私はこのことを憶測で言っているわけでも何でもない。確たる非公開情報に基づきここで申し上げている。
今年(2016年)に入り、米国勢を代表する大学研究機関であるマサチューセッツ工科大学(M.I.T.)において学長主催の定例ランチ会合が開かれた。この会合には同大学を代表する名だたる研究者(教授)らと、それを支えている米有名企業家数名(ビル・ゲイツら)だけが招かれることになっている。ところが実のところ、学長の次の席次(2番目)は我が国の本当の”権力の中心“とも直結する人脈に属する人士の指定席なのである。その人士から、必要なところに必要なタイミングで、かつ必要な形でこの非公開情報はもたらされている。
それではこの定例ランチ会合では何が話されたのだろうか。―――2000年に全米で生まれた赤ん坊たちの中で、I.Q.が最高レヴェルのもの100名ほどが特定され、完全に隔離された環境で生育されている。どのような意味で隔離されているのかといえば、「英語環境」ではないという意味で隔離されているのである。彼らはその代りに、完全なる「人造言語」によって教育され、英語はしゃべることが出来ないように育てられているのだ。そしてこの、文字どおり全米のベスト・アンド・ブライテストの子供たちは今や16歳なのである。18歳になって成人していくのは目前である今、「どの様にして彼・彼女らを外界に公開していくのか」が実のところこの定例ランチ会合のテーマだったというのである。
“このこと”が持つ意味合いがお分かりだろうか。TOEICやTOEFLだなどと私たち日本勢の中で未だに「英語産業」が大騒ぎしている中、何のことはない、当の米国勢のエスタブリッシュメントたちは全くそれとは異なる人造言語によってトップ層を育ててきたのである。そして今後、この「世界に冠たる知性」らとアクセスしたいというのであれば、私たちは漏れなく、この全く新しい人造言語をゼロから学ばなければならないのである。無論、通常のレヴェルでのやりとりは「英語」で叶うであろう。だが、支配国家アメリカとコンタクトしたいということになれば、もはや英語では叶わないというわけなのだ。その結果、全世界の言語教育が根底からの変化という意味での変革を余儀なくされ、それに促される形で全てが変えられていくことになるのである―――。
私はこの非公開情報に触れた瞬間、すぐさま「角田理論」を思い出した。なぜならば日本語とポリネシア語を除き、それ以外の言語は母音・子音の発話構造から脳の育成がある型式で促される結果、全く同じ気質の脳を創り出すからである。となると、マサチューセッツ工科大学の古老たちが件の人工言語を創り上げるために参考にしたのは、その後のインパクトを考えても「日本語」であったと考えるのが至極妥当なのである。しかし彼らがこの極秘プロジェクトを成し遂げる遥か前に「日本語」のこの意味での圧倒的な優位性を理論化しようとした男がいた。角田忠信名誉教授である。それは彼らの目から見ると、決して許されることではなかったのである。そのためアカデミズムにおいて徹底した迫害を加え、その理論を亡きものとせんとしたのである。
ところがである。ルバング島に独り残され「戦い」を続けてきた小野田寛郎少尉のように、いかなる圧迫にも耐え、角田忠信先生はもくもくと自宅研究室で研究を続けられてきたのである。”光“が見えてくるその時だけを待って、である。そしてついにグローバル・マクロ(国際的な資金循環)が織りなす世界史の流れの中で根負けをしたのは米欧勢の統治エリートの側だったということなのである。なぜならば最後まで屈しなかった以上、角田理論をむしろ用いることによってこの「人造言語」の優位性をも語らしめる方がかえって彼らにとて都合が良いからだ。そのため、まずは分かる人には分かるように、まずは曙光が発することを許したのである。これが正に今現在進行形となっている展開の本質である、と私は考えている。
その意味で決して油断してはならないのである。我らが日本勢の真理への到達能力という意味での圧倒的に優位な能力を、彼らは窮極のところ、決して許しはしないからだ。その意味で本当の「戦い」はここから始まったのである。「日本VS.それ以外全て」の戦いである。そしてその中でいよいよパックス・ジャポニカ(Pax Japonica)は打ち立てられていくことになるのである。―――いよいよ”その時“が始まったのである。各位、心構えは良いであろうか。自問願いたい。
2016年4月17日 東京・仙石山にて
原田 武夫記す