僭主が「王」と自ら名乗り始める時、何が起きるのか?(原田武夫の”Future Predicts”. Vol. 50)
我が国では酷暑が続く中、世界中のSNSを駆け巡っているある「情報」がある。日本時間の今朝早く、海の向こうのとある筋の御方からわざわざ「こんなのが騒ぎになっている」とご連絡を頂いた。下記の画像である。

我が国においてキリスト者(キリスト教を信奉する方)は数少ない。そのためであろうか、この書き込みを読んでも今一つピンとこないのかもしれない。普段であれば何かというと「トランプが、トランプが」と騒ぐ手合いの方々が不思議とこのことについて静けさを保っている。他方、この書き込み、というか写真を巡る騒動は「ヴァンス米副大統領が突然変なことを公然と言い出した」という報道とセットになっている。このこともまた、どういうわけか我が国ではほぼ全く語られないまま放置されている。
しかし敬虔なキリスト者である読者の方々、あるいはそもそも「旧約聖書」に至る西洋の人文学における伝統に精通する素養を持たれている方はこの書き込みがもたらしている「インパクト」にすぐに気づかれるはずだろう。「出エジプト20:4」にある次の下りである。
神はこのすべての言葉を語って言われた。
2 「わたしはあなたの神、主であって、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出した者である。
3 あなたはわたしのほかに、なにものをも神としてはならない。
4 あなたは自分のために、刻んだ像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水のなかにあるものの、どんな形をも造ってはならない。
5 それにひれ伏してはならない。それに仕えてはならない。あなたの神、主であるわたしは、ねたむ神であるから、わたしを憎むものは、父の罪を子に報いて、三、四代に及ぼし、
6 わたしを愛し、わたしの戒めを守るものには、恵みを施して、千代に至るであろう。
7 あなたは、あなたの神、主の名を、みだりに唱えてはならない。主は、み名をみだりに唱えるものを、罰しないでは置かないであろう。
トランプはプーチンと並んで「僭主」、すなわち実力をもって権力を簒奪した者である。しかしそれが拝金主義であるのみならず、そのことをもって偶像を成し、それに対する信仰にも近い行為を人々に促す時、この「警句」に違う存在となることは、キリスト者でなくとも一目瞭然であろう。さしものヴァンス米副大統領もそのことを察し、「時は来れり」と想った可能性がある。いずれにせよ、このことはいわゆるborn leadershipを本質とする「国体」と、暴力であろうが、選挙であろうが、権力を「簒奪」(一時的に)したに過ぎない存在である「政体」(僭主)との違いを明確に無くそうとする企てなのであって、前者の眼から見ると断固として許されざる行為に他ならないのだ。
そしてもう一つ。こうした一連の展開を静かに眺めている私の眼からすると気になって仕方がないことがある。それは、今回のこの一連のネット上における騒ぎが増幅されている震源地は他ならぬインド勢だということである。インド勢は今、トランプ米政権によって「懲罰的関税」とでもいうべき高率関税を課せられ始めている。モディ印首相を筆頭にインド勢のリーダーシップはそれでも毅然とこれに対峙し、ロシア勢との関係性を断ち切らないどころか、中国勢にも接近、さらには我が国へとアプローチをし、その存在感は増すばかりなのである。
「単なる外交上の玉突き的な措置に過ぎないのでは?偶然に過ぎないだろう、ある意味」
そう、読者は想うかもしれない。しかし、である。トランプ米大統領の動きもどうも気になるのである。なぜならば、同大統領はここに来て突然、「インド系」で知られるカマラ・ハリス前副大統領に対する警護措置を止めると言い出したからである。そう、ここでもまた「インド」こそがミッシング・リンクなのである。
そして「素人」の眼には決してそうは映らないかもしれないが。インド勢は何を隠そう、世界随一の「インテリジェンス大国」なのである。ある意味、純朴そうに見え、およそconspiracyとは無縁であるように見えるインド勢であるが、その業界においては最も獰猛であり、狡猾であり、かつ巧みなインテリジェンス機関を国家として抱えていることで知られているのである。しかも、対象国との関係では決して目立とうとはしていない点がカギである(この点、必ず目立つ「華僑・華人系」あるいは「イスラエル系」のインテリジェンス機関の動きとは一線を画している)。
当のトランプ本人はというと、噂が噂を呼ぶ中、ゴルフ場から帰ろうとしている自身の姿をあえてメディアに撮影させ、「健全ぶり」をアピールした。しかしこの手の話の常とし、語られない行間にこそ、真実がある。メディアの前から数日間、身を隠したという事実の方こそ、そうした「演出」を超えて、真意を問われることであろう。
いずれにせよ、どうも一筋縄ではいかないことが起き始めているのが「2025年9月」なのである。このままで全てが静かに推移するとは想像しにくい。むしろ「想定外」のとてつもない出来事が生じる中で全てが転覆する・・・かの様に”演出”されるのではないかと考え、弊研究所ではさしあたり「2025年10月」をターゲット・デートに分析を開始している。さて、どうなるか。是非、主体的な意識を持ちながら見守っていきたい。
2025年8月31日 酷暑の東京にて
株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 代表取締役会長CEO
原田 武夫記す
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