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国体と政体。2025年夏・参議院選投票日に思うこと(原田武夫の”Future Predicts”. Vol. 47)

今、このブログは大海原を見ながら書いている。遠くには伊豆大島が見える。酷暑だが、海辺特有の風が時折吹き、心地よい。不思議と「生きている実感」を再び味わせてくれる。そんな、何気ない2025年7月の夏の日。本日=7月20日に我が国では参議院選挙の投票日を迎えた。

私は本来、憲法学者だ。「教科書」のつもりで学術系出版社から著作も出している。しかし、そうした学術的な営みをかつて憲法学(今や「人工知能科学」、そして「生成AIと行政・外交」だが)のフィールドで続ける中で、常にその探求心の的として絞ってきたのが「国体」と「政体」の別なのである。そして今日、我が国の上院に相当する「参議院」の半分の議席について、すなわちここでいう「政体」について投票が行われ、その主人公たちが入れ替わる瞬間にあたって、あらためてこの”別”について想いを馳せているというわけなのである。

事前に公表された様々な投票結果予測によれば、神谷宗幣代表の率いる「参政党」が得票率を大きく伸ばす見込みなのだという。選挙は「水物」であり、結果は蓋を開けてみなければ分からない。今回についても同じなのであって、この様にマスメディアがこぞって「参政党優位」を伝える背景には、そう述べることによって同党の関係者の気を緩ませ、また有権者たちにも「だったらば他の党に入れても良いかな」と思わせることが狙いなのかもしれず、結果はというと本当に蓋を開けてみるまで分からないのである。だから予断を持つことなく、考える必要はある。

私はこの神谷宗幣という人物を知らない。知らない、すなわち会ったことがないということは、「そういうことだ」と想うように最近はしている。これからも私の人生の中において浮かび上がることはないだろうし、直接接点を持つことはないのであろう。なぜならば人生とは全てsynchronicityなのであって、「異なる出来事が一つの意味を持って生じる」ものだからだ。これまで交わっておらず、そして彼がこの様に顕在化したということは、もはや会うこともないのだと思う。

しかし、大変興味深いことに、私の周囲においてそれぞれの世界でトップを張っている方々はというと、実は数年前からこの「参政党」そして「神谷宗幣」という男に直接・間接関わってきたのである。とある盟友はというと、同党の事実上、会計責任者まで勤めていたことすらある。また「代表」を務めていた人物の御意見番なのが、私の敬愛するメンターのお一人であったりしたこともあり、とにもかくにも、この人物の「悪口」はさんざんぱら聞かされてきたというのが本音のところだ。

もっとも会ったことのない人物について予断を持つことは禁物だ。そんなこともあり、ここに来て同党の党勢が明らかに隆盛になりつつあるとの報せを受け、ここに来て意識的に、公開媒体でリアルタイムにて(すなわちマスメディアにおいてノーカットで)、あるいはYouTubeにおいてノーカットで流される同代表の演説を拝聴し、拝見してきた。そして強く想ったことがある。全部で3つある。

一つ目は、「民の力をもってこれから、これまでの全てを”解く”ことになる」という、かねてからとある賢者から聞いてきた言葉がいよいよ現実になってきたということ。かねてより「永遠の野党=抵抗勢力」はいたのが我が国の国会であるが、所詮それは「議会内野党」なのであって、そこでのルール、もっといえば「日米同盟」によって戦後、我が国の「国体」と米欧勢の「国体」との間で決められてきたラインで動く存在に過ぎなかったのである。しかし、今回は違う(This time is different.)のだ。「れいわ新選組」あたりから、文字通り、草莽(そうもう)の世界から噴き出す様に政治的な主張と、その担い手たちが湧き上がってきている。対する既成政党はというと、いよいよ本腰で対処しなければならなくなっているのは明らかなのであるが、いかんせん、「ルールの外側において場外乱闘でゲームを仕掛けて来る連中」には歯が立たないのである。しかもこうしが状況は明らかに全世界において噴出している。あの、秩序を安寧を重んじるドイツにおいてすら、「ドイツのための代替選択肢(Alternative fuer Deutschland)」という、「とにもかくにも抵抗・反対」という政党がついに連邦議会内において3番目の地位を得るに至ってしまったのである。

二つ目はしかし、「この流れはもう一段階、次がある」ということ。参政党を筆頭とした新政党は、結果としてはSNSによる拡散がそのパワーの源泉であることは否めないため、シングル・イシューでの絞り込みと、それに伴う有権者からの共感と行動変容を武器にしていることは明らかだ。上掲の「参政党」代表の神谷宗幣氏はそのことを公衆の面前で否定するが、結果としてはそうした「現象」が生じていることは事実なのである。そして世間では、先般の国政選挙において有権者というよりも、「スマホに向かい合うこと」によって党勢を強めることに成功した国民民主党・玉木雄一郎氏と同様、「SNS選挙の寵児」と想われているのが「参政党」であり、神谷氏なのである、。しかし、だからこそ「次がある」と考えるのが妥当だろう。時を同じくして、かのイーロン・マスクはというと、ついに「国連解体」を叫び始めたのだという。そう、とにもかくにも”解き”の連続、これが今のグローバル・アジェンダなのである。そうである時、最も頑強だと思われていた我が国の政治・経済・社会構造がいよいよ自壊すると知れば、彼ら「カウンター・エリート」らがそれを「主張は分からないが、とにかく支持」と海の向こうから言ってくるのは明らかなのである。そして既成政党という法的な枠組みの上に立った在り方というよりも、Decentralized Autonomous Organization (DAO)といった、むしろ私経済にも近いフレームワークに則り、しかも大規模なネイティブ暗号資産によるそこへの「出資」という形(トークン購入)で支持が表明されて時、もはや一国における新しい野党の誕生どころの話ではなく、「次の政体の在り方」がものの見事に提示されることになるのだ。だからこそ、「外国人排斥」を言っていれば良いという話ではないことに、今回の当時者たちが果たして気づくのかが気になるところである、実に。

最後に、以上の出来事は「政体」における出来事なのであるが、同時に「国体」はどうなのか、ということである。既にこの連載コラムにおいてもお伝えしたとおり、我が国「国体」の側においてはモンゴルへと旅立たれ、既に無事にご帰国された。一見するとそれが何なのか?ということになりかねないわけだが、その後の我が国を、トランプ米大統領の肝いりでベッセント財務長官が、しかもG20を蹴ってまで(表向きは「万博観覧」を理由に(!))訪れたことから分かるとおり、当然のことながら「そのレヴェル」において何も起きていないわけではないのである。しかもトランプ米大統領に至っては今月(7月)そして来る9月の2回にもわたり、訪英するという有様である。そう、明らかにこのレヴェルで何かが「蠢き始めている」。さらに言うならば、このタイミングでトランプ米大統領は初となる仮想通貨規制関連の大統領令への署名を行った。決して「偶然ではない」と考えると、想うべきことはただ一つ。「国体」のレヴェルでは何が今本当は動いているのか、ということなのだ。

このコラムをこうして書いている最中に、我が国国内インテリジェンス機関の世界におけるメンター氏が、大変ありがたいことに「得票見通し速報」(政府部内でシェアされるもの)を送って来てくださった。見ると、「あの」有名代議士が落選するのでは、という見通しが次々に書いてある。そうなるのだろう、と想いつつも、同時に「その後」についても想いが馳せてしまう自分がいる。そう、時は満ちた。いよいよ、なのだ。

2025年7月20日 参院選投票日に 紺碧の伊豆の海を見下ろす寓居にて

株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 ファウンダー/代表取締役会長CEO/グローバルAIストラテジスト

原田 武夫記す

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いかがでしたでしょうか?「この後何が本当は起きるのか?」についてご関心のある方は是非、音声レポート「週刊・原田武夫」最新号(2025年7月19日リリース)をこちらからお聞きくださいませ(クリックするとご案内ページにジャンプします)。