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脱炭素化は本当に必要なのか(コーポレート・プランニング・グループの”Pax Japonica” ブログ(Vol. 1))

2月の昼間に上着なしで外出し、10月でも外でアイスクリームを食べている自分の姿を見ると春や秋がなくなる日が近いと感じる。我が国には四季や季語があるが、ここ数年では季語が似合わない日も多くなった。猛暑が続き期間が長くなった夏や、台風の勢いが強くなり洪水被害も増えた我が国を見ると、気候変動の脅威を感じる。

さらに国外に目を向けると、2023年にはカナダ勢、ハワイ州、ギリシャ勢、ロシア勢では大規模な山火事があり、特にカナダ勢では北海道より大きい面積の国土が黒い煙に包まれた。リビア勢では大雨の影響で1万2000人以上が命を落とし、北東部の都市では9月の降水量が平均比963%を記録 (参照)、ブラジル勢でのアマゾン川流域は観測史上最悪の干ばつに見舞われ、魚が大量死したほか、川幅が約半分になったと報告されている(参照)。2024年に入っても既に2月時点で米国勢カリフォルニア州において気象災害が発生しており、暴風雨と大雪により90万戸の停電、洪水や土砂災害に見舞われた。

(出典:CNN.co.jp

気象災害の発生件数は過去50年間で5倍近くに増加しており、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2021年に公表した報告書では地球温暖化が進むほど世界各地で干ばつや洪水に繋がるような極端な高温/低温や強い雨など、特定の指標を超える現象である極端現象の頻度や強度が増すと述べられている。

(出典:日本財団ジャーナル

気象庁によると、2023年に陸域における地表付近の気温と海面水温の平均温度である世界の平均気温が1991年から2020年の間の平均値から0.54℃上昇した。統計を開始した1891年以降最も高い数値となり、温室効果ガスの排出を続けると温度の上昇は止まらない。

(出典:気象庁

これを考えると、温室効果ガスの排出をゼロにするための脱炭素化が急務と感じる方が多いのではないだろうか。昨年は国連事務総長から「地球温暖化」が「地球沸騰化」になっているという発言も飛び出し、世界的にも脱炭素化が一層叫ばれている。

気象災害発生件数の増加は数字で表すことができるため、気候変動が起こっていることは事実と認められる。しかし、それと脱炭素化に関連性があると果たして確実に断言できるのだろうか。我々は何のために脱炭素化を行っているのか疑問を持つことはないだろうか。

数十年前に世界的に脅威として騒がれていて今は何も語られることがなくなった「オゾン層の破壊」を例にとってみよう。オゾン層の破壊は1970年代に始まったが、現在では回復に向かっている(参照)。脱炭素化は地球温暖化に加え、石炭、石油、天然ガス等の化石燃料の枯渇を防ぐという名目で実施されているが、実は温暖化は地球上の全ての場所において起きている現象ではない。また、化石燃料が枯渇することがあったとしても他の手段でエネルギーを生み出す技術はすでに存在している。

我が国では脱炭素化が進んできているため、温室効果ガスの排出に直接的に関係のない企業であったとしても資金を投資して実行すべき当然の取り組みとして受け取られるのが一般的になっている。温室効果ガスをゼロにする取り組みは決して悪いことではないが、その必要性については疑問点が多く見られる。

弊研究所では一般論とは異なる観点から脱炭素化に関する新しいプロジェクトを検討していく予定である。どのような理由から脱炭素化の必要性に対して疑問点があるのかについては今後ウェブページに掲載していく。

社会貢献事業担当 近藤由貴 拝