新型肺炎感染拡大 特措法成立へ 「緊急事態宣言」の実態は
自粛よりも国民に与えるインパクトは計り知れないのでないだろうか。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために政府は新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を目指している。安倍総理大臣は改正法の成立後、速やかに「緊急事態宣言」を出すことを念頭に置く旨“喧伝”されている。
昨日(4日)、野党5党首と安倍総理大臣による党首会談が開かれた。立憲民主党の枝野代表は法案成立に協力する意向を示しており、早ければ来る13日の法案成立後に緊急事態宣言が発令される可能性があるのだ。宣言では住民の外出自粛や学校の施設制限なども可能になるだけに、運用次第では国民生活に大きく影響する懸念があるのだ。
(図表 与野党の党首による会談)
(出典:日本経済新聞)
緊急事態宣言がなされると実際にどうなるのか。まとめるならば以下のようになる。
- 住民への外出自粛要請
- 学校・保育所・老人保健施設などの使用停止の要請と指示
- 音楽、スポーツイベントなどの開催制限の要請と指示
- 予防接種の実施指示
- 臨時医療施設のための土地、建物の使用。強制使用も
- 鉄道・運送会社などへの医薬品の運送要請と指示
- 医薬品、食品などの売り渡しの要請。強制収用も
まさに私権を制限されるのがこの緊急事態宣言なのである。もっとも、現行の新型インフルエンザ特措法では、総理大臣が期限や区域を定めて緊急事態を宣言できると規定しているが2013年に施行されて以降宣言されたケースは一度もないのだ。
そもそも政府の対応が後手に回り、我が国でも感染が拡大した点は否めない。社会的・経済的不安は日々静かに増長していっている。リモート・ワークも国内で約2000社が導入している。東京五輪の開催についてもいよいよ黄色信号が灯ってきた。
来週13日以降が我が国と新型コロナウイルスとの闘いの正念場であることは間違いないようだ。本件については引き続き事態の推移を注視しリアルタイムでお伝えして参りたい。
グローバル・インテリジェンス・ユニット リサーチャー
羽富 宏文 記す
(※このコラムは担当リサーチャー個人の見解を記したものであり、弊研究所の公式見解では必ずしもありません)