「グローバル進出する日本企業が直面する課題」~第24回 トラブル―自動車編 - IISIA 株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 - haradatakeo.com
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「グローバル進出する日本企業が直面する課題」~第24回 トラブル―自動車編

秋晴れの空に紅葉が映える暫しの素敵な季節。パリ郊外は森が多いので、天気さえ良ければ散歩にはうってつけで、キノコ狩りや栗拾いも楽しめます♪ が、パリは移民が増えましたね…。カレーの難民キャンプが強制解体された影響としか思えないほど、先週パリに行った際には、9月末にパリに行った時より明らかに路上の移民の数が増えていました。エッフェル塔の周りも囲いがされて、チケット売り場に行く前にヒースロー空港チェックイン並みの荷物検査及び身体検査でした。

さて、今回は海外に滞在しているときに巻き込まれてしまう可能性が高いトラブルについて、まずは自動車関係でのトラブルについてお話してみたいと思います。

海外で働いていると自動車を使う頻度が日本の大都市に住んでいる時よりかなり多くなります。自動車通勤や自動車出張の割合もはるかに高いです。そのため、ただでさえ日本人に比べ運転が乱暴なことの多い外国では、事故に巻き込まれることが多くなると思うので運転には十分に気を付ける必要があるのですが、事故以外のトラブルも多く、そのようなトラブルにも気を付ける必要があります。

まずは置き引き。当たり前のことですが、目に見える位置に物を置いといては絶対にいけません。ケーキが一個入った箱がフロントガラスのそばに置いてあっただけで窓ガラスを割られケーキがとられていたとか、500円くらいのおもちゃレベルのサングラスが盗まれたとか、日本人の常識では誰も盗まないであろうと思うようなものでも海外では意外と盗難の対象になります(笑)。盗まれた物自体はたいした物でなくても、その後、窓の修理だ何だで修理の予約を取り車を持っていき修理するという手間暇や修理代を考えると、本当にちょっとした注意で防げる事態なので気を付けるに越したことはありません。ひと昔前は車を降りるたびにカーラジを取り外して家に持ち帰る人もいたくらいですから。かといって、トランクなら一目につかないから安心かというとそうでもないのです。地下駐車場など人の行き来が少ない場所では、トランクに入れておいても荷物が盗まれることはよくあるので、なるべく荷物を置いての行動は避けるほうが無難です。どんなに短時間でも、特に仕事上で支障をきたすものは置いていくのは御法度。お昼ご飯を食べていた間にパソコンを盗まれたなんて言う話はざらです。

さらに言えば、人が乗っていたとしても目に見える位置に金品を置いてはいけません。助手席にカバンを置いて運転するとか、助手席に乗っている人が膝の上にカバンを乗せているとかいう状況も危ないのです。こちらに来てすぐパリに住んでいた時には、治安の悪さで有名なサン・ドニ地区をほんの数分横切る形で通勤していたのですが、赤信号で停車していた時に被害に遭ったことがあります。突然窓ガラスを割られ、助手席にあったカバンを盗られたのですが、ガラスが割れる大音響にびっくりしている間にカバンを盗られたので、何が起こったのかでさえ直ぐには状況はつかめず、然もカバンの中に財布はもとよりカメラも携帯も入っており警察に連絡もできない状況。唯一の幸運は普段カバンに入れっぱなしのスマートキーがポケットに入っていたので車は動くこと位。こうしたタイプの置き引きは、警察曰く、中身だけ抜いてその辺にバッグが捨てられていることが多いのですぐ見つかるよ、とのことでしたがおろしたてのグッチのバッグに財布がヴィトンだったので勿論出てきませんでした。それ以来、一人の時にブランド物のバッグなんて絶対に使えません(笑)。外が真っ暗の中窓ガラスを割られるのも恐怖ですが、渋滞で車がほとんど進まない時に、いきなり助手席のドアを開けられ膝の上に載っているバッグを奪われるのも相当怖いです。パリの環状道路やシャルル・ド・ゴール空港からパリに向かう高速道路でよく起きる強盗事件ですので、ハンドバッグなどは必ず外から目につかない場所に置くようにしましょう。

その一方で、防ぎようもない置き引きもあります。物を車中に置いておいたわけでなく、車の一部分或いは車ごと盗まれてしまうパターンです。路駐をしていて車のホイールカバーが盗まれるのは日常茶飯事ですが、ミラーがなくなるとかバンパーがなくなるとかいうこともあります。一番驚いたのは友人がスーパーで買い物をしている一時間足らずの間にスーパーの地下駐車場に置いていた車のタイヤだけが4本ご丁寧に盗まれていた事件。ここまで行くと不可抗力です。運が悪かったと諦めるしかありません。車ごと盗まれてしまった場合も同じですね。ただ、車が盗まれた場合でも、自動車登録書(carte grise)が手元にあれば、車が見つかる一縷の望みはあります。車の売買には自動車登録書が必須のため、車だけでは売買手続きに時間がかかるからです。面倒でもこの自動車登録書は車に入れっぱなしにせず、携帯するようにしましょう。因みにフランスで一番盗難されやすい車種は「スマート」とのことです。クリオも盗まれやすいですね。盗まれやすい車種を選択しないのも、一つの予防措置かもしれません。

出来ることなら避けて通りたいトラブル。ちょっとした注意で未然に防げることを心に留めておきたいものです。

 

プロフィール

川村 朋子

元外交官。大臣官房儀典官室、在フランス大使館、在ガボン大使館にて勤務。     現在は在仏日系企業に勤務。留学、外務省時代、現在と在仏歴通算15年以上。

リヨン第二大学歴史学修士、リヨン政治学院DEA(博士予備課程に相当)取得       主な論文に「アンシャンレジーム期のリヨンの倒産・破産状況」「日本の軍事問題の現状」がある。

 

 

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