弊研究所・羽富研究員のコラムを掲載いたしました
【海底ケーブルとデータセンター】
お陰様で大好評を頂いております、弊研究所グローバル・インテリジェンス・ユニット所属のグローバル調査コンサルタントによるリレー連載のコラム。
今回は羽富宏文のコラムを掲載させて頂きます。
国際通信の実に90パーセントを占める海底ケーブル
世界的な情報量の増加に対応し、昨今はデータセンターとの
連関が注目を集めているのです。
下記よりどうぞご笑覧下さい。
そして・・・拡散を!
・・・
海底ケーブルとデータセンター
国際的な音声やデータ通信のほとんどが国際間の海底ケーブルを通じ伝送されている。
情報量の大幅増加により、米系“越境するテクノロジー事業主体”のグーグル、フェイスブックやアマゾン等は独自の光ケーブルを海中に敷くようになっている。実に国際通信の99パーセントは海底ケーブルを通じて行われており衛星通信より速度が速いのが特徴だ。例えば、我が国と米国勢の距離は約9000キロメートル。通信衛星は地上から3万6000キロ上空にあるし、電波は上って下りてこない届かないため、2つの場所を結ぶ距離は7万2000キロになる。他方で海底ケーブルの場合は、2つの場所を結ぶ距離は約9000キロと衛星に比べてずっと短いため情報が速く届くのである。
その各社独自の海底ケーブルの先にはハイパースケールなデータセンターが存在しており、地球規模でのネットワークを形成している。我が国においては日本電気(NEC)が海底ケーブルにおけるリーディングカンパニーである。留意すべきはこの海底ケーブルが切れたりすることが多々あるということである。我が国でも漁網や錨がケーブルを傷つけ切断してしまったり地震によって切れてしまったりしたこともある。具体的には2011年の東日本大震災でも海底ケーブル切断が確認されている。また、通信を遮断しようと画策する勢力が意図的に切断するケースも少なからずある。古い例では1914年に第一次世界大戦が勃発した時にはドイツ勢へとつながる海底ケーブルが切断されている。そして、2013年にはエジプト勢周辺海域の海底ケーブルを切断しようとしたとして3人が逮捕される事件も発生している。海底ケーブルは米国勢ハワイ、英国勢、シンガポール勢や我が国など島にとっては必須のものであり、海底ケーブルを仮に失えば情報社会の現代において真っ先に孤立してしまうのである。
最早我々にとってなくてはならない通信インフラとも言える海底ケーブルであるが、自前のものであればデータセンターの最適化にも寄与することになるし、それによってさらにサービス品質が向上し通信の高速化とともに高度な自動制御などにも活用することが可能になる。何より、各地の物流・グリッドなどの情報、更には決済情報などからリアルタイムの経済を知ることが可能になるのである。
グローバル・インテリジェンス・ユニット
羽富 宏文 記す
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●出典:日本電気(NEC)
図表1:海底ケーブル敷設の仕組み
(https://jpn.nec.com/kids/himitsu/07.html)