米独間で再燃するコソヴォ紛争という“潮目”の予兆から何を読み解くか
2009年1月第5章
昨年(2008年)12月7日、コソヴォ政府がドイツ政府に対して初めて“正式”に行ったとある謝罪がインテリジェンスの世界において話題を呼んでいる。その約3週間前である11月14日、コソヴォの首都であるプリシュティナにおいてEU特使国際文民事務所(ICO)の敷地内へ爆弾が投げ込まれるというテロ事件が発生。その容疑者として複数名の人物がコソヴォ当局に身柄を拘束されたが、同人らはドイツのインテリジェンス機関である連邦諜報庁(BND)の工作員であったことが後に明らかになったのである(右写真:プリシュティナで解放されるBND工作員 )。「EU関連機関をその主たる構成国であるはずのドイツの諜報員が爆破しようとした」という情報にドイツ国内は騒然となり、メルケル政権にとって新たな難題となってしまったのだ。