「イスラエルの核問題」という黒い闇
2010年7月第3章
去る6月7日から11日にかけて、オーストリア・ウィーンに所在する国際原子力機関(IAEA)の定例理事会において、1991年以来、初となる「イスラエルの核問題」に関する討議が行われた。この場でアラブ勢はイスラエル勢に対し、核兵器不拡散条約(NPT)の批准を強く要求 。これに対しイスラエル勢からは本国政府からの声明という形で「アラブ勢こそイスラエル勢を承認していないことが問題である」旨のメッセージを発出。両者の間で激しい応酬が続く中、米国勢と欧州勢からはそもそもIAEA理事会の場でこの「問題」を取り上げること自体に対する“懸念”が表明される展開となった。とりわけ米国勢は来る2012年に中東地域会議を開催する予定となっていることを踏まえ、この会議との関係で時宜を得たものではない旨の声明を発表すらした 。