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「グローバル進出する日本企業が直面する課題」~第16回 セクシャルハラスメント

労働法改正に反対するストライキが続き、パリ近郊でもガソリンが枯渇し始めてきました。ガソリン供給が出来ず閉鎖しているガソリンスタンドの数も増え、開いていても長蛇の列で一時間待ち…。車通勤者の多いフランス、この状況が続けば、来週は私も含め出社できない社員の数が一気に膨れ上がることでしょう。果たしてどうなることやら…。

さて今回は、最近は日本でも厳しくなってきたセクハラ問題について考えてみたいと思います。

多くの企業で海外赴任の前にはセクハラ講習が義務付けられていたり、海外赴任の有無に拘わらずセクハラ講習がきちんと義務化されていたりと、社員にセクハラの定義を浸透させる努力が行われているものとは思いますが、未だに理解されていない方々も一部にはいるんですよね~。という一文を読んで、思い当たる節がある方はまだましです。大抵の場合、思い当たる節が全くない人の一部にセクハラとは何かを全く理解していない歴々が含まれているからです。海外赴任している方々の中で散見されるのは、この全く理解していないタイプか或いは海外に出たことで何かが弾けてしまったのか、妙に気が大きくなっているのかどういう心理状況かは理解しかねますが、セクハラとは何かを頭で理解しているものの自分の行動をセクハラとは認識できないタイプの何れかの気がします。

前者のタイプは、袋とじヌード写真がついているフ○イデーといった類の雑誌をしっかり袋とじを開封してから女子社員にも回覧する等、100歩譲れば、「海外暮らしで日本語恋しいでしょ、雑誌貸してあげるよ」という親切心からの行動と好意的にとることもできますが、そんな優しい解釈をしてくれる女性はごく一部であることにも気付かず、完全にアウトな行動をそれがセクハラだとは認識もせずに行っている類です。アメリカ人女性社員にこんなことをしたら一発で訴えられます。

このタイプも勿論たちが悪いですが、これは社内においてしつこくセクハラ講習を行い撲滅していくしかないでしょう。しかし、それよりもたちが悪いのが、セクハラ行為とは何かを十分に理解しているにも拘らず自分の行動についてはそれをセクハラと認識しないタイプのような気がします。

海外部署で多いのは、上司・部下間であったり同僚間であったりの仕事上の関係から恋愛感情へどちらか片方だけが発展してしまい、それが行き過ぎた行為に及んでしまうという形でのセクハラ問題でしょうか。社内恋愛は個人の自由ですが、国内にいて人目が多い場合には、おそらく好意の伝え方にそれなりの限度があることを理解し、行き過ぎた行為に及ぶことはないケースがほとんどだと思います。それが海外に出ると、遠い異国の地で、日本語が通じる相手が家族か会社の人間か接待で使う飲み屋のアルバイトさんだけといった狭い世界に住んでいるせいでどこか箍が外れてしまうのか、日本にいたなら友人なり諫めてくれる人がいて我に返る瞬間が大なり小なりあるのにそれがないといった悲しい状況のせいなのか、自分の行いを顧みられなくなってしまい、結果セクハラ認定される行為を自分でも気付かぬうちに犯しているケースが往々にして見られます。独身であればまだしも既婚者でありながら社内の女性を口説きストーカー並にラインを送るとか、勤務時間中にミーティングと称して会議室で二人になれる機会を作り口ばかりでなく手を出そうとするとか、無理やり出張に連れて行こうとするとか、普通にこれを読んでいたら「いや、ないでしょ」と突っ込みを入れたくなるような事態が意外と普通に起こっています。事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、実際信じられないレベルの明らかなセクハラ行為を割と頻繁に耳にします。

そんなにひどいセクハラなら人事に訴えればいいのにとも思うでしょうが、男性にしろ女性にしろ自らの意思で海外に飛び出し働いている人は基本タフで強い人が多いせいもあるのか、「普通会社辞めるでしょ」レベルのセクハラを受けても、どうせ2-3年でいなくなる人と割り切って適当に受け流す、或いはがち戦って本人にセクハラを止めさせる等個人レベルで対処するにとどまり、大抵表沙汰にはしないため、企業側も自社でセクハラ問題が起きているとは認識してない場合がほとんどのようです。勿論、表沙汰にしないのはセクハラを受けている本人が強いからというだけではなく、前回も話したように買い手市場の海外での再就職の難しさから、我慢するしかないという選択肢を強いられてしまうことも要因の一つとして挙げられます。

個人的な意見かもしれませんが、女性目線から見ると相手が日本人女性社員だとセクハラ基準が緩む方々が多い気がします。実際問題、同じ程度のセクハラ問題が起きた時の社会的罰則は欧米特に米国の方が厳しいですから仕方ないのかもしれませんが、セクハラの部類に入ることを認識してか知らずか、外国人女性社員に対してはしないであろうことを日本人女性社員に対してはしてしまう方々も多く、相手がどの国籍であろうと基準がぶれることのないよう行動するのがセクハラ疑惑を避ける重要なポイントとも言えるでしょう。受ける側が不快に感じれば、この程度で?と思うようなことでも海外ではセクハラ認定されてしまうことがあります。それを肝に銘じて、もう一度セクハラの定義を噛みしめてみて下さい。

プロフィール
川村 朋子

元外交官。大臣官房儀典官室、在フランス大使館、在ガボン大使館にて勤務。現在は在仏日系企業に勤務。留学、外務省時代、現在と在仏歴通算15年以上。リヨン第二大学歴史学修士、リヨン政治学院DEA(博士予備課程に相当)取得主な論文に「アンシャンレジーム期のリヨンの倒産・破産状況」「日本の軍事問題の現状」がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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