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2016年07月17日 #

なぜこれから「日本バブル第2弾」なのか? (連載「パックス・ジャポニカへの道」)

日本株がここに来て「連騰」している。「おやっ?」と思われている読者も大勢いるのではないかと思う。しかし同時に「いや、待てよ。これまでも毎回このパターンであったし、きっとある時突然”崩落“に転じ、巻き込まれてしまうのではないか」と警戒されている方も大勢いるのではないかとも考えている。

振り返って考えてみると201212月からいきなり始まった、いわゆる「アベノミクス」について、それ以前の段階で「バブル局面」が到来するとまで踏み込んで論じていた方々は正直、私以外に全くいなかったと記憶している。これに対して私はというと徳間書店より「ジャパン・シフト (仕掛けられたバブルが日本を襲う)を同年10月の段階で上梓し、概要次のようなフレームワークを提示した:

「我が国は自ら“デフォルト(国家債務不履行)”となることを画策している。そのために必須な手続きの一つとして政府保有株の大量売却を高値で実現すべく、「バブル」を間違いなく”演出“する。『日本バブル』が程なくして到来する」

そして繰り返しになるが、同年12月よりいきなり株価が急伸し始めた。円安誘導を我が国が始めたからである。多くの方々が何が起きているのか当初全く理解できなかったが、やがて「資産バブル」が発生していることを明確に認識し始めた。その頃(2013年春頃)、多くの方々からしきりに「株価上昇を的確にあてられましたね」と言われたことを今でもよく覚えている。

だが、私は「そうではない」とそのたびに答えていた。なぜならば円安誘導に伴う資産バブル展開には限界があることが自ずから明らかだったからだ。そこで私は東洋経済新報社から20134月に「『日本バブル』の正体―なぜ世界のマネーは日本に向かうのか」を上梓し、概要次のとおりフレームワークを提示したのであった:

「円安誘導に伴ういわゆる”アベノミクス“、その実、『日本バブル』第1弾は早晩終わることになる。なぜならば我が国が本当に”バブル局面“になる際には、必ず直前にむしろ円高になっているからである。円安誘導で株価が上昇しているかのように見えるのは、円安下で評価が高くなる上場企業について加重平均上のウエイトを高くしている日経平均株価のトリックによるものであって、十分注意する必要がある」

「むしろその次に生じる、”円高基調における資産バブル展開としての『日本バブル』第2弾“こそ、本当のバブルである。すなわち他に選択肢がないという状況の下、我が国にグローバル・マネーが殺到する結果、まずは円高となる。だがそれでは円建てで何か資産運用が出来るのかというと、結果的に外国勢にとって収益性と簡便さからいって株式投資であることから、内需系セクターへの集中的な株式投資が始まる。これが『日本バブル』第2弾なのであって、その際、注目すべきは加重平均による上述のようなトリックがない東証株価指数(TOPIX)である」

その後、案の定、「アベノミクス」は失速し始めた。それもそのはず、「バブル」にするための意思と能力を欠いていたからである。そうした中で私自身は様々な局面で次のように加えて申し上げてきた経緯がある:

「『バブル』は自然発生するものではなく、明確な国家意思をもって“仕掛け”なければ発生などしない。そして先の平成バブルにおいては、“サラ金”や“午後9時まで窓口営業している相互銀行”を通じて全国民が極めて簡単に現金(キャッシュ)を得ることが出来たのである。したがって単に円高へ転換するだけではなく、こうした措置を我が国の金融当局が取り始めるか否かが、『日本バブル』第2弾が生じるか否かの大きなメルクマールとなる」

「さらに言うならば、平成バブルを実現したのは何といっても『ファンド・トラスト(通称“ファントラ”』によるところが大きい。すなわち当時、有価証券投資をこの形式で行うことで株式譲渡益を得ても、企業は益金参入されないという、今となっては信じられない税制優遇を受けていたのである。その結果、全ての企業が証券会社に対して一任勘定で株式投資を依頼し、証券各社はそれによって調達した有り余るマネーを用いて株価つり上げを日々行っていたのである」

翻って「今」について考えてみた場合、どうであろうか。すると下記が既に生じているか、あるいは生じつつあることに気づくのだ:

―「マイナス金利」の導入により、金融機関は上から下まで“融資”をせざるを得ない状況に追い込まれている。他方で金融機関は企業側における資金需要を創出し、あるいはそれを見極める能力をこの「失われた25年」で完全に喪失してきたが、正にその点について金融当局は追い立てるように是正を求め、少しずつ物事が動き始めている

―いわゆるFinTechが制度面を含め、整備され始めている。「仮想通貨」もさることながら、要するに個人がクレジットカードの決済情報をデータとして譲り渡すことに同意するのと引き換えに、「スマホ一つで簡単に少額融資を受けることが出来る」という環境が整いつつあることに留意すべきである。正に「現代版”サラ金“」である

―そして為替レートについても、外部環境が余りにもリスクとその“炸裂”に満ち溢れたものになっているため、「よりマシなマーケット(safe haven)」を求めて我が国へとグローバル・マネーが殺到し始めている。そのことにより、断続的に極端な円高局面が発生し始めている

他方で「平成バブル」の際にいわば”決定打“となった「ファンド・トラスト」については復活の兆しは今のところ表向き見えて来ていない。証券優遇税制といえば今のところ、「エンジェル税制」や個人投資家向けの各種制度(確定拠出型年金等)にとどまっている。だが、今、最もマネーを持っているのは「個人」ではなく、「企業」なのである。そしてこうした企業に対していよいよ税制優遇をもって有価証券投資を促すというのあれば、金融当局にとってはすぐにでも出来ることなのである。

事実、我が国では「アベノミクス」によって内部留保を増やした事業会社の多くが、ヴェンチャー・キャピタルを設立し、事業投資に乗り出している。だが、最終ステージに対する投資であっても失敗する可能性はあり、またIPOによって調達できる資金などたかだか数十億から数百億円どまりなのである。それよりも有利かつ安全なやり方(「ファンド・トラスト」への優遇税制)が再導入されれば、そちらに全ての企業が流れるのは目に見えているのだ。

しかも先の参議院選挙で「自公大勝」となったのは良いが、10兆円規模での景気対策をぶち上げたところで肝心の“財源”が見えてこないのである。なぜならば「政治の力」によって消費再増税が再延期になってしまったからだ。いよいよ追い詰められた財政当局が国有資産の大量売却を加速させていくことは間違いない。そうしたフェーズが2017年一杯続くことを念頭におくのであれば、そこで日本株の「高値」誘導を財政・金融当局自身が行い、それによって政府自身が“高値売り抜け”による歳入増を図るのは目に見えているというわけなのだ。

はっきり申し上げよう。―――2016年後半から2017年(来年)にかけては「円高基調における資産バブル」としての「日本バブル」第2弾が急発進・急展開する。様々なリスクが対外的には”炸裂”し、当然、円高が急伸していくわけであるが、それを間断なく吸い込むかのようにして我が国だけは株価が急騰していくのである。だが「上げは下げのため」なのであって、未来永劫続くものではないことを今から覚悟しておかなければならない。2018年の声を聞くや否や風雲急を告げる状況となり、場合によってはそこで「リーマン・ショックを超える金融崩壊」が発生するのである。その後、我が国を待ち受けているのはハイパー・インフレーション展開であり、“デフォルト(国家債務不履行)”である。

その意味で「生き残りのためのエンド・ゲーム」は既に始まっている。何故に我が国の本当の”権力の中心“が「元号の変更」を示唆する動きを示されたのか。すなわち”歴史“が変わることをはっきりと私たち国民に対してお示しされているのか。あなたは・・・身心共に、既に切り替えられているであろうか?ゲームの転換という歴史的局面に対して。いよいよ「日本バブル」第2弾、始動である。

2016717日 東京・仙石山にて

原田 武夫記す

(※画像は「社会実情データ実録」より引用)

 

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