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第二創業への想い。(COOブログ “創業から次のステージへ─これからのIISIA” Vol.2 )

変化の時代における「社長交代」
「社長が代わると会社は変わる」。経営の世界ではよく耳にする言葉です。2025年以降、大企業のみならず中堅・中小企業でも後継社長の交代が加速し、社会的にも注目されています。ソニーや日立、資生堂といった日本の代表企業が次世代リーダーに経営を託し、経済界全体で新しい時代を迎えています。
一方で、中小企業やファミリー企業では「後継者不在問題」が深刻化しています。実際、日本の中小企業の約3割は後継者不在と言われ、その多くは創業家に後継者がいないか、次世代への承継がスムーズに進んでいません。
私も社外から入社し、執行役員を経てこの度、代表取締役社長COOに就任しましたが、「後継社長」という責任の重さと向き合う日々を過ごしています。

会社の歴史と向き合うということ
創業者である弊研究所会長・原田武夫は、ゼロからこの事業を立ち上げました。会社の思想や立ち振る舞い、対外的な信用、人脈──全てが会長のビジョンと行動によって築かれたといっても過言ではありません。
私はその「背中」を間近で見ながら、次のステージを託されたのです。
外部から来た自分が、この創業者の想いをどう引き継ぎ、どこに自分らしさを出すべきか。これは後継社長に共通する、非常に難しい問いであり、私も日々葛藤しています。

静岡の知人から伺った一つの事例ではありますが、住宅会社ウィングホーム(静岡県菊川市)では社長交代後も前社長が「代表取締役プランナー」として経営に関与し、後継者と共に経営に参加しながら会社の伝統と革新を両立させています。この「共創」のスタイルは、ファミリー企業の後継における新しい形として注目されました。
弊研究所においても二本柱体制に刷新しました。弊研究所会長・原田武夫は引き続き創造的なビジョン策定と革新推進に注力し、私が事業執行を担うことで、双方の強みを最大限に活かす狙いです。
両者に共通するのは、「後継社長が会社の歴史や理念を受け継ぎつつ、自身の経営スタイルを確立し、変革を推進する」という点です。これは単なる継承ではなく「第二創業」とも言うべき、新たな成長フェーズへの挑戦であり、組織全体の覚悟と連動したリーダーシップの進化を示していると考えております。

後継社長が直面する5つの課題
私自身、就任前後から次のような課題に直面しています。そしてこれは、一般的な後継社長も等しく経験していると聞きます。成功の鍵は「共感力」と「実行力」の両立にあると考えております。

① 社内の信頼獲得
社員にとって社長交代は不安要素であり、とくに創業家以外からの社長には警戒心が伴います。「この人は本当に私たちを理解してくれるのか?」という疑念は当然です。肩書きだけでは信頼は得られず、誠実な対話と具体的な行動で信頼を築いていくしかありません。

② 先代との距離感の取り方
創業者は偉大です。しかし“いつまでも創業者が経営している状態”では、次に進めません。適度な距離を保ちつつ、必要なときは助言を求める──このバランス感覚が難しいのです。
これは前述の住宅会社ウィングホームの事例における「代表取締役プランナー」との連携にも通じています。

③ 過去と未来の統合
先代の築いた価値観を守りつつ、新しい時代に適応する革新を進めるのは容易ではありません。過去の成功体験をすべて否定することも、新規路線に無理に傾倒することもリスクが大きい。両者をどう融合させるかは後継者の腕の見せどころです。

④ 外部との関係再構築
対外的にも、「社長が代わったから信頼を再確認しよう」という空気はあります。会長時代に築かれた信頼を、改めて自分の言葉と態度で裏付けていくことが必要です。

⑤ 自分のリーダーシップ・スタイルの確立
最も重要で、最も時間がかかるのがここかもしれません。
「先代のようになろう」とすると、無理が出る。自分なりの強み、リズム、価値観を活かした経営スタイルを少しずつ構築していくプロセスが求められます。

代表取締役が担う重要ポイント
代表取締役は会社の舵取り役であり、ただの肩書きではなく、責任と役割が明確でなければなりません。法的責任を伴う立場であること。会社法の下での義務を理解し、リスク管理を徹底することが求められます。経営者としての適性・能力の評価として株主や取締役会だけでなく、社員や外部の声も加味し、総合的に判断することが重要です。
先代経営者との役割分担や距離感の調整。後継社長が経営の主体となる一方で、先代の知見を活かす共創の関係を築くことが望まれます。「覚悟」と「柔軟性」を持って創業者や先代の想いを尊重しつつ、自らのリーダーシップで組織を進化させるバランス感覚が不可欠です。
これらのポイントは、弊研究所の後継体制構築にも大きな示唆を与えています。

次の10年を見据えた進化戦略
AIカンパニー化を推し進める中で、それに適合する組織体制も並行して構築する必要があります。それに伴い組織文化の変革も進めています。フラットで対話型のマネジメントを促進し、社員一人ひとりが挑戦できる環境を整備。これにより、会社全体の活力を高め、未来の変化に柔軟に対応していきます。
そして次世代への投資と未来志向の経営として、若手インターンのAIプロジェクト参加など未来への積極的投資を行っていきます。これにより、次世代人材の育成と技術革新を加速させ、企業の競争力強化を図ります。

「第二創業への想い。」というタイトルに込めた意味
タイトルに込めた「第二創業」とは、単なる事業の継続ではなく──
企業の理念と組織の体制を一度見直し、もう一度“生まれ変わる”覚悟を持つこと
を意味しています。
会長の築いたものを、敬意を持ってしっかりと「引き継ぐ」こと。
そして、私自身の責任で「進化させる」こと。
この両立こそが、私に課せられた使命だと考えています。

代表取締役の選任は、単なる形式的な手続きではなく、企業の未来を切り拓く重要な意思決定であることを再認識させられます。
これは、私の挑戦でありますが、社員全員の旅でもあります。
そして、このブログを通じて「共に歩む読者」の皆さんとつながる未来でもあります。
変化の時代だからこそ、想いを言葉に。ビジョンを行動に。
下記を心に留めて邁進する所存です。
・理念と現実の橋渡しをする存在であること
・組織の継承と革新の両立を推進すること
・所員とステークホルダーの信頼を獲得し続けること
・未来を見据えた技術と人財への投資を怠らないこと

次回は日々奮闘しながらではありますが、Vol2を踏まえ諸先輩方からのご助言や書籍などの「学び」とそこから得た「気づき」について記載したいと思います。

このブログでは、そんな私の想いや、日々の経営の現場で感じていること、挑戦していることを、等身大の言葉で綴っていくつもりです。

今後ともご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いいたします。

代表取締役社長COO 長野修拝