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後継社長力。(COOブログ “創業から次のステージへ─これからのIISIA” Vol.3)

2025年春、日本経済にとっても、企業経営者にとっても、大きな示唆を与えるニュースがありました。経済産業省が発表した「2024年度 事業承継白書」によれば、日本企業の経営者のうち、約半数が60歳以上。その中で約7割が「後継者未定」という現状が明らかになったのです。
この数字を見て、「まさに自社の話ではないか」と感じた方も少なくないはずです。
事業承継は、決して“いつか取り組むべき課題”ではなく、いままさに進行中の、極めて現実的な経営テーマです。
そんな中、受け継いだバトンをどう握り、何を変えるべきか。──その問いが、私の経営人生のスタートでした。
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「誰と、どこへ、どうやって」進むのか
加賀隼人氏の著書『後継社長力』に出会いました。
その中で提起されていた、以下の三つの問いが心に残っています。
1. 誰をバスに乗せるのか
2. どこに向かうのか
3. どうやって進むのか
シンプルながら、本質を突いた問いです。経営の起点には必ず「人」があり、理念や戦略の前に“誰と進むか”が問われるのです。どれほど優れたビジョンを描いても、それを実現する「仲間」がいなければ、組織は前に進みません。
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組織文化を「見える化」する
私が取り組んでいるのは、「企業文化の可視化」です。
社内には、「うちは、うちのやり方があるから」といった言葉が流れる場面があります。もちろん、それは誇りである反面、ときに新しい価値観や方法を受け入れにくくする“壁”にもなりかねません。
だからこそ、経営理念や行動指針を言語化し、誰もが理解・共感できる形に再定義していく必要があると考えました。
文化は共有されて初めて、組織の「力」になるのです。
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採用は「価値観重視」の時代へ
組織文化が明確になると、それは採用の基準にも直結します。
今後の採用において、私が何よりも大切にしたいのは「価値観の共鳴」です。もちろん、スキルや経験も重要ですが、それ以上に「同じ方向を向いて働けるかどうか」が重要だと考えています。
シリコンバレーでは、採用時にカルチャー・フィットを重視した面接(カルチャーフィット・ラウンド)が導入されている企業が多くあります。企業の価値観に共鳴できるかが、成果を生む前提になるからです。
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【カルチャー・フィット メッセージ】

新卒者の皆さんへ
The Future We Build ― カルチャー・フィット
私たちは「未来を設計するシンクタンク」です。
このカルチャー・フィットは、あなたがこの知的共同体に参加する前に、「この場所がどんな思考の規律を持ち、どのような未来志向で動いているのか」を知ってもらうためのガイドです。
社会が複雑さを増し、不確実性が日常化した今こそ、論理と洞察、そして意思あるビジョンが必要です。
私たちの仕事は、短期的な成果ではなく、未来の“可能性”を科学し、戦略を描くことにあります。

このカルチャー・フィットに書かれているのは、「あなたがこの知的空間でどうふるまい、どう考えるか」の土台になる行動規範と価値観です。
もしあなたが、自分の知性を社会に還元したい、自ら問いを立て、未来をデザインしたいと願うなら、きっと私たちの文化は、あなたにとって“正しい居場所”になるはずです。

所内メンバーへ
Why Culture, Why Now?
今、私たちは転換点に立っています。
様々な課題は、スキルや制度の問題ではなく、「文化」の問題だと私たちは捉えています。
だからこそ、「誰が何をやるか」よりも前に、「どうあるべきか」という文化的なルールを再定義する必要があります。
このカルチャー・フィットは、私たちが「持続可能に働き、成長し続ける」ための共通認識の出発点です。

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「人事評価」も見直すとき
私が次に取り組んでいるのが、人事評価制度の見直しです。
たとえば、企画力に長けた人材が営業に配置されていたり、ロジカルな若手社員がルーティンワークに埋もれていたりする場面を見て、「もったいない」と感じることもありました。
これからは、「誰が、どこで最も力を発揮できるか」という視点から評価・配置のあり方を見直していきたいと考えています。
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経営と現場が「同じ言葉」で語る組織へ
私は現場出身の経営者です。だからこそ、経営と現場が“同じ言語”で語り合える組織づくりを目指しています。
経営者の言葉が届かないのではなく、「伝え方」にもっと工夫が必要です。また、トップダウンだけでなく、現場からの声をしっかりと受け取る「傾聴の姿勢」も欠かせません。
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最後に
このブログでは、私自身の視点で、日々の経営の現場で感じていることや課題、そして挑戦を率直に綴っていきたいと考えています。
後継という言葉には、どうしても「受け身」の印象があります。しかし、私は「次を創る」という意志をもって、この役割に取り組んでいます。
過去を継ぎながら、未来を変えていく──そのために、誰とどこへ進むのかを常に問い続けていきます。
今後とも、皆さまのご指導・ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

代表取締役社長COO 長野 修